布施英利『マンガを解剖する』感想

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布施英利『マンガを解剖する』(ちくま新書)

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読み始め:2023/4/3  読み終わり:2023/4/3

あらすじ・概要
マンガの「吹き出し」とは何だろう。マンガと絵画のちがいは?マンガに「コマ割り」があるのはなぜか。改めて考えると、マンガというメディアはすごく面白い。マンガの絵と文字の関係は日本語の漢字とかな(ルビ)の関係に似ている、マンガは脳と一体化したメディアである(だからマンガを読むと脳が鍛えられる!)、マンガの原型はルネサンス絵画にある―等々、美学と科学を貫く斬新な視点と鮮やかな手さばきで、特異なメディアであるマンガの本質を解明する。

読んだきっかけ
図書館で見かけたから。

コメント・感想
 最初のほうの、メディア論的な論考が面白かった。「マンガの吹き出しとは、「呼吸」を映像的なイコンにしたものである。」(p.12)、「マンガとは、映像のなかで、もっとも文字に近いメディアなのだ。」(p.36)、「だからコマの枠は、この広い世界の一部を切り取って描いています、ということの表明でもある。」(p.66)、などが付箋を貼った箇所。ある漫画について論じてみたくて、そもそも漫画についてなにか述べた本を読んだことがないなと思い手に取ったのだが、なかなかよかった。後半はでもそこまではまらなかったな、と思ったら、別々の連載を一つにまとめた本だったらしい。どうりで前半と後半とで雰囲気が違うわけだなと納得した。私はやはり、漫画のメディア的な側面に興味があるのだと思う。それについては、『マンガメディア文化論』というそれっぽいタイトルの本も図書館で借りてきたので、そちらを読むのが楽しみだ。