故郷喪失アンソロジー、クラウドファンディング開始

2024-03-30News告知,故郷喪失

表題のとおりです。

https://camp-fire.jp/projects/view/751897?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_show

↑クラウドファンディング実施ページへは上記リンクから

「故郷喪失」という言葉がやってきて突き動かされるまま作品を募集し、ついにクラウドファンディングが始まりました。クラウドファンディングを実施する目的としてはやはり「初版部数を増やす、あるいは把握する」「持続可能な制作をする」という二点が大きいです。初めての試みなので、本当にどきどきしています。「故郷喪失」という言葉にどれだけピンと来る人がいるのかということからして何もわからないので……。

ここで、クラウドファンディングについて概要を説明しておきます。本プロジェクトは、自主制作誌『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー』の制作販売強化のためのクラウドファンディングです。『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー』は、公募で採用された12篇に藤井佯の書き下ろしエッセイ&論考を加えた14篇を収録したアンソロジーになります。公募では「広義の故郷喪失者であること」を応募資格に設け、「故郷喪失」をテーマとした作品を募集しました。全34篇の応募があり、そこから12篇を採用した形です。現在鋭意制作中で、ちょうど初校の確認が終わったあたりです。制作にあたっては、アンソロジー参加者のみのdiscordサーバーを立て、その中で各自の作品にコメントしあったり、藤井の論考執筆を応援してもらったりなどしています。各作品と作者について、主に主催者である藤井佯との関係という観点から簡単にご紹介します。

いとー「あらかじめ決められた喪失者たちへ」
いとーさんとは、AAF戯曲賞関連プログラム:戯曲キャンプにてご一緒いたしました。その際にSNSをフォローし合い、故郷喪失アンソロジーの公募を知ったいとーさんから今回ご応募いただいたという形です。いとーさんは、戯曲キャンプの際からパレスチナで起きている虐殺に心を痛めている姿が印象的でした。今回寄せていただいたエッセイでも、パレスチナで起こっていることに対してどうしても特権的傍観者としてしか存在しえない「自分」のもどかしさが描かれます。しかしそれでも応答するのだという論旨で展開される力強い文章となっております。


城輪アズサ「ロードサイド・クロスリアリティの消失」
城輪アズサさんとは故郷喪失アンソロジーを募集する前後で(それとは関係ない形で)SNSにてFFになりました。ふだんは批評をされていて、今回はエッセイにてご参加いただきました。応募作を見たときまず「タイトルかっけー」と思いました。エッセイを読むとタイトルの意味がわかります。同世代のはずなのですが、全然知らないインターネットの話が出てきて、そうした面でも楽しめる作品でした。


闇雲ねね「これはあくまで私の話」
闇雲ねねさんは、前回の『鳩のおとむらい 鳩ほがらかアンソロジー』にもご参加いただきました。そのときから良い文章を書く方だなあと思っていたのですが、今回の作品では初読時に涙ボロッボロになりました。泣きながら、あーこれは絶対載せなくちゃと思ったことをよく覚えています。


オザワシナコ「採集作業」
オザワシナコさんのことはこの公募で初めて知りました。描かれている耽美な世界観に惹かれ、そしてその中に渦巻く情念の鬼気迫る感じに惹かれました。短めの作品ですが、後に引く余韻がすごく、その引力がアンソロジーの個々の作品を確かに繋ぎ止める鍵となっていると思います。


江古田煩人「帰郷の旅路」
江古田煩人さんも、前回の鳩アンソロジーの際にお世話になりました。一人称視点というか、「私」が語りかける作品はあまり書かれたことがないとのことでしたが、アンドロイドの「私」の語りにみるみる引き込まれる作品をお送りくださいました。爽やかな終わり方に勇気づけられる方も多いかと思います。


伊島糸雨「塵巛声」
伊島糸雨さんには、鳩アンソロジーのころからお世話になっておりますが、それまでも何作か作品を拝読したことがあり、今回も伊島ワールド全開の作品をお送りいただきました。儚く美しい世界観のなかで、登場人物たちが血を、心を通わせる様を存分にご堪能いただきたいです。


万庭苔子「回転草タンブルウィード
万庭苔子さんのことはこの公募で知りました。初読時にぐんとその場の重力が強まったような感覚を受けました。もともと長編として書かれていたものを、この公募を知って短編にまとめ直していただいたとのことで、改めてこの作品を載せられてよかったと思います。いま読まれる必然性のある作品かと思います。


藤井佯「安全で安心な場所」
自身のエッセイですが、正直掲載するかどうかをかなり迷っていました。今も少し迷っています。かなりパーソナルな部分に突っ込んで書いていて、しかしdiscordで複数の参加者から「読めてよかった」と仰っていただけたことに後押しされて掲載する運びになりました。


湊乃はと「遺愛」
湊乃はとさんのこともこの公募で知りました。鳥好きなので個人的に筆名に親近感があります。おそらく明治〜大正時代あたりが作品の舞台かと思うのですが、文体がまず舞台設定とばっちりはまっていて素晴らしいです。拙作エッセイの後に置かせていただいたことについては、読まれると「なるほどね」と思われるかと思います。


灰都とおり「絶対思想破壊ミーム小夜渦ちゃん」
灰都とおりさんのことはRikka ZINEのころから存じていたのですが、正直な話、私は今作「絶対思想破壊ミーム小夜渦ちゃん」が現時点での灰都とおり作品のベストだと思っています。本当にこの作品を読めて、掲載できてよかったと思います。きっと多くの人、特に同世代の皆さま(20〜30代)に刺さる作品だと思います。


神木書房「祝杯」
神木書房さんのことも今回初めて知りました。こんなに上手い小説を書ける人がこの世界にはまだまだいるのか、と思いました。応募いただけたことが本当に嬉しいですし、掲載できて光栄です。本作品は神木さん曰く「包容力抜群デブおじさん×元ビッチの歪な若者」とのことで、読めばきっとこの二人のことが愛おしくなること請け合いです。


犬山昇「壊れていくバッハ」
犬山昇さんには鳩アンソロジーでお世話になったのですが、実は元から知っていたメギド72にまつわるツイートをよくされているアカウントの筆名だったと知ったときの衝撃が大きかったです。どこか頽廃的な青年期を描かれることを非常に得意とされる小説家だと思っています。今回の「壊れていくバッハ」もゴルトベルク変奏曲がずっと底の方で鳴り続けている感じがあって、それが心地よくも物悲しいです。


玄川透「富士の雅称」
玄川透さんのことも今回初めて知りました。まずその構成力に驚かされました。芙遠、「フォン」という名前から、ここまで人物を、その人生を深く掘っていけるのかと感服いたしました。そして描かれる「故郷喪失」観にも説得力と必然性があり、アンソロジーの最後を飾る作品として完璧だと思います。

いかがでしょうか。もう読みたくなってきましたか?
そうであればとても嬉しいです。作品のあらすじについては、クラウドファンディングのページに載せてありますのでそちらもぜひご覧になってみてください。

次に、リターンについて紹介いたします。

基本的には、

・紙の書籍(通常版)
・電子書籍
・紙の書籍(特装版)
・参加者による故郷喪失ブックガイド
・藤井佯書き下ろし小説(故郷喪失テーマ)
・アンソロジー制作日誌
・藤井佯コミッション(5000字、10000字、各3名ずつ)

のいずれかが組み合わさったプランになっています。
紙の書籍(特装版)は、トレーシングペーパー製の特製カバーをつけた状態でのお届けになります。本アンソロジーのタイトルは「沈んだ名」なのですが、それをイメージして、表紙に印刷された沈んだ風景がぼんやりと浮かんでくる様子を表現したく、このような装丁を考えました。特装版は約50部限定です。その他、コミッションプランのご支援でも特装版が手に入ります。

おすすめはやはり、¥5,000のプランでしょうか。紙の書籍(特装版)と、電子追加コンテンツが全部盛りになっています。全部電子でほしい!という方には¥3,000の「電子書籍+ブックガイド+書き下ろし小説+制作日誌」のセットもおすすめです。リターンは全部で10ありますので、ニーズに合ったリターンをご選択いただけますと嬉しいです。コミッションも余裕ある方にぜひ検討していただきたいです。MAX6本も短編が書けるということで、武者修行のつもりで取り組まさせていただきます。テーマや書いてほしい事柄は自由です(短編いっぱい溜まったら本としてまとめるかもです)。

クラウドファンディングのページへはこちらから。

今後のスケジュールです。

2024年4月30日(火)23:59 クラウドファンディング終了
2024年5月中旬 校了
2024年5月末 印刷完了、順次リターン発送
2024年6月末 電子書籍版発行

予定が前後する可能性があります。正直、5月19日(日)の文学フリマ東京に間に合わせたい気持ちもあるのですが、五分五分といったところです。また、間に合ったとしてもブースを確保していないので知人友人のブースを頼って少部数置かせていただくという形になるかと思います。クラウドファンディングが終了し、リターンも発送しおえたら、書店さま(これから営業をかけます)や自家通販、その他即売会等での販売を予定しています。その際の予定価格は、紙の書籍¥1,500、電子書籍¥1,200になります。ただし初版部数の把握のこともあるしクラウドファンディングで買っていただいたほうが正直ありがたいし支援する側にとってもリターン盛りだくさんなので損はさせない…と思っています。

というわけで、最後にもう一度クラウドファンディングのページを貼っておきます。

https://camp-fire.jp/projects/view/751897

マジで良い本になっていると思っています。お買い得です。よろしくお願いします。

最後に、
『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー』のお取り扱いをご検討いただける書店さまへ
・店頭お取り扱い開始時期はクラウドファンディングのリターン終了後、およそ2024年6月ごろからを予定しております。
・お取り扱いやご相談については、藤井佯メールアドレス(yo.fujii.hitohitsuji@gmail.com )あるいは本ブログお問合せフォームからご連絡いただけますと幸いです。
できる限り、全国で手に入る状態にしたいというのが理想でして、いつでもご連絡をお待ちしております。

以上、ぜひご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。