【ネタバレあり】映画『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』感想

Diary映画感想

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』(2001)・100分

観た日付:2023/4/5

どこで観た:アマプラ(ウォッチパーティー)

あらすじ(コピペ)
富士山が一望できる、西多摩市のツインタワービル・スイートルームで殺人事件が発生する。殺されたのは市議会議員・大木岩松。傍らには2つに割られた猪口が残されていた。一方、黒ずくめの組織と灰原の怪しい動きに気づいたコナンは、この事件に黒ずくめの組織が関わっているのではないかと警戒を強める。そんな中、ツインタワービルで開かれるパーティーにコナンや少年探偵団も招待される。しかし会場では更なる殺人、そして、ビルの中階で謎の爆発が発生し…。

観たきっかけ
コナン好きの友人に誘われて

コメント
 面白かった。脚本が上手い。どうしても映画を観る時には脚本に目が行ってしまうが、今回の殺人は絵的にも綺麗だった。割られた茶碗、大きな富士山の絵を真っ二つに割る首吊殺人。また、冒頭で披露される博士の米についての雑学が重層的に効いてきて良い。本編で直接関係があるのは、爆発するビルに残ろうとする灰原哀を、元太が「米は最後の一粒まで!」的なことを言って無理やり連れ去って一緒に生還するところだが、それだけではなく作品の節々で、米や米寿、人間の年齢についての暗喩が盛り込まれる。ツインタワービルは天国への階段であり、また人間の年齢そのものの表現でもある。そして、例えば爆発する階やエレベーターが停まる階など(うろ覚えだが)、節々にゾロ目の階が登場する。これは、阿笠博士が冒頭で出すおとぼけクイズ(88歳は米寿、では44歳は? A.半ライス)という、◯寿の概念にも対応している。また、事件現場に残された茶碗が盃にも見えることから、否が応でも日本酒が想起され、ここにも(本編には直接関係ないが)米が現れる。
 映画の名探偵コナンには「爆発ノルマ」なるものがあるらしいが、これも派手で良かった。一度と言わず、二度、タワーからの跳躍が行われる。一度目は蘭とコナンで、二度目は灰原哀の手を引いた少年探偵団たちによって。アクションを惜しげもなくやってくれると、やはりこれぞ名探偵コナンの映画だな! と思わされる(私は他のコナンをあまり観ていないのでわからないが)。車で爆発して空を飛ぶのは『ゼロの執行人』でもやってたような気がする。とにかく、映画では派手に物をぶっ壊すぞ! という気概が感じられて良い。また、ピンチにはピンチを重ねるという脚本の鉄則を着実に踏襲して、とにかく面白い映画を作るんだ、という意気込みがばんばん画面から伝わってくるところには好感が持てた。今作は、劇場版としては、犯人の用いたトリックや動機が比較的シンプルだと思う。その代わり、灰原哀とそれを執拗に追う黒の組織について詳細に描く余地が生まれる。原という人物を使って、黒の組織がツインタワービルを爆破することへのストーリー上の違和感を消し去っているのもさすがだ。
 登場人物全員の見せ場があり、映画版ならではの、凝縮され徹底的に練り上げられた脚本に、ただただ「おもしれー!」と手を叩くほかなかった。ウォッチパーティーで観たのもまたよかった。盛り上がる。