ジャン=フィリップ・トゥーサン『浴室』感想

DiaryC0197,書籍感想

ジャン=フィリップ・トゥーサン『浴室』(集英社文庫)

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読み始め:2023/8/18  読み終わり:2023/8/19

あらすじ・概要
「午後を浴室で過ごすようになった時、そこに居を据えることになろうとは……」同居人の恋人は心を萎ませ、お母さんはケーキを持って、様子をうかがいに来る。「危険を冒さなきゃ、この抽象的な暮らしの平穏を危険に晒して」とひとり呟やきつつ、浴室を出てはみるのだけれど、いずれ周囲の人々とはギクシャクぎくしゃくしてしまう。そして、また浴室へ……!?

読んだきっかけ
読んでいくぞ、とリストを作って一冊目。

コメント・感想
 面白かった。なんかわかんないけどするする読み進められた。冒頭から「これは映画だな」と思っていたら本当に映画になっているらしくて、というかジャン=フィリップ・トゥーサンがわりと映画に傾いている人らしくてなるほどなと思った。めっちゃフランスじゃんと思ったけどベルギー人らしいとあとがきに書いてあった。読みながらカフカを思い起こしていたがそれもあとがきに書いてあった。やっぱり、タコを捌くシーンがとびきり良い。あそこで回想に入ってそこから綺麗にタコにまた戻ってくるのが素晴らしい。あー日常にするすると他者が滑り込んでくる。こうやるんだなぁと思った。第三部はお約束だなと思ったけど、当時の反応はどうだったんだろう。「あらすじ」を読むと、けっこうこの作品の説明に苦労しているような気がする。「直角三角形の斜辺」、なんて気の利いたタイトルなんでしょうね。