凡蔵稀男短歌

Works,胎界主短歌,胎界主



親切なお兄さんへ

亡くし屋と人はこう呼ぶただ彼を恩人ならばただバイバイと

その黒は幽寂の黒 致死の黒 やさしいひとのやわらかい黒

凡小が昏がりに乞う(まだいたの)列車はとうに俺を残して

今日限り人は書を捨て町を捨て鯖缶だけが残されました

マナ使用、舵を取らない親切は銀の弾にはなるべくもなく

幻肢痛 井戸に四つ葉が咲いている胸元に挿す半分のチョコ

墓守は二度目の死者と手を握り 今日があなたの誕生日です

信じない目を離さない揺るぎない正しさに靴押し込めるため

その瞳があまりに僕に似てたから袋小路の信仰でした