映画『砂の器』感想

Diary映画感想

『砂の器』(1974)・2時間22分

観た日付:2023/3/30

どこで観た:アマプラ

あらすじ(コピペ)
東京・蒲田にある国鉄の操車場内で殺人事件が発生。しかし被害者の身許が不明で捜査は難航。迷宮入りかと思われた矢先、被害者が殺される直前に或る男と会っていたことが判明した。ふたりの会話のなかで交わされていた「カメダ」という言葉。地名か?人の名か?事件解明のために奔走する刑事、今西(丹波哲郎)と吉村(森田健作)は偶然、新進気鋭の天才音楽家、和賀英良(加藤剛)と遭遇する。そして、やがて事件は思わぬ展開を見せ始めるのだった…。(C)1974松竹株式会社/橋本プロダクション

観たきっかけ
後輩が勧めていた。

コメント
 松本清張を読んだことなく、野村芳太郎監督作品も初めて。面白かった。面白いというか、映像と音楽が抜群に良い。いくつ地名が出てくるんだというくらい縦横無尽に日本の古き良き風景が切り取られていて、それだけでも観る価値がある。子役がすごすぎる。オープニングめっちゃ良いよね……。子役の名前をいま確認したのだが、春田和秀というひとだった。調べたら『砂の器』で抜擢されたという感じっぽく、それ以前から有名な子役だったというわけではなさそうだ。加藤剛に似ているからというのはあるんだろうけど、それだけじゃ説明できない迫力がオーディションの時点であったんだろうなと思う。和賀英良の子供時代を務める彼には台詞が一言もない、にもかかわらず強く印象に残る。映画を語る語彙をあまりに持っていないので「すごかった」としか言えないのがもどかしい。
 本編は2時間22分あるのだが、45分間も解決編に使われていた。はじめは、「こんな時間から解決編が始まるなんてあと一捻りあるのか?」と警戒してしまったのだが、全くそんなことはなくて、しかもめちゃくちゃ出来が良くて驚いた。捜査の顛末とオーケストラ、ハンセン病を患った父とその子が各地を転々とする旅の回想が入り混じり、45分も尺があるとは全く感じさせない。映像や演出はもちろんなのだが、音楽の力に改めて驚いた。全体の3割使って、しかも(原作とは異なって)大きなトリックがあるわけでもないのに、オーケストラに上手く嵌め込めばこんなに退屈しないんだ! というのが自分にとっては大きな発見だった。