【ネタバレあり】映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』感想

Diary映画感想

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)・3時間12分

観た日付:2023/1/9

どこで観た:映画館

あらすじ(コピペ)
世界歴代興行収入No.1の超大作『アバター』が、巨匠J.キャメロン監督自身の手により、人類史上最高の映画シリーズとして新たな奇跡を巻き起こす。それは、「観る」の先にある“超現実”映像体験──神秘の星パンドラの一員となった元海兵隊員のジェイクは、ナヴィの女性ネイティリと家族を築き、子供たちと平和に暮らしていた。再び人類がパンドラに現れるまでは…。神聖な森を追われた一家は、“海の部族”の元へ身を寄せる。だが、この美しい海辺の楽園にも、侵略の手は迫っていた…

観たきっかけ
書こうと思っている小説に、先住民が侵略されるシーンを取り入れたくて何か参考にならないかと思い観た。前作も一応観てはいるが何年も前のことで大まかな設定以外は覚えていない状態で視聴。

コメント
 結論から言うと「普通」だった。これは私が少数派だとは思う。脚本が大して響かなかった。映像や音楽はすごいと思う。一番心に残ったのは光る変な生物の造形だった。あれは素晴らしい仕事だなと感じる。相変わらず侵略者である人類は醜いのだが、別にナヴィ側も醜いなと感じてしまうので、「勝手にやっててください……」という感想に落ち着いてしまう。また、家族を前面に押し出される話は苦手なので、これが私に響かなかった最大の理由だろう。
 スパイダーというキャラクターは良かった。人間でありながらナヴィたちと交流し、自身もナヴィであるかのように振る舞っている。彼の実父は既に他界しているのだが、ある日敵側に捕らえられ、実父の記憶や人格などを引き継いだアバターである敵側キャラクターと邂逅することとなる。その人間(少佐だったか大佐だったか忘れた。とにかく軍人だ)は、主人公であるジェイクを一族もろとも皆殺しにすることを望んでいるのだが、そんな生かしておくと危険すぎるキャラクターを、彼は見捨てることができない。この、「実父の記憶や性質を受け継いではいるが赤の他人」という設定が面白くて、実は軍人側もスパイダーが殺されそうになったとき「やめろ!」と叫ぶのだった。親子の絆ってそうなんですか? まあでも、興味深いキャラクターではあった。
 ステレオタイプな「問題児の次男」とその扱いには辟易した。特に、父親であるジェイクが、死の淵から彼を救い出した次男を見て、死亡した長男の名前を口に出すところなんて最低のリアリティだった。次男が「ロアクだよ」と訂正するときの物悲しげな顔と、その後の気まずい沈黙。
 あとは、「てんかん」のくだりではどうしても笑いそうになった。キリという、母親は元人間の科学者、父親が不明という出自が謎の娘が登場するのだが(ジェイクに養子に迎えられている)、この少女がわりとスピっている。他のナヴィよりも明らかに自然と通じ合い、意のままに彼らを操ることすらできる。「エイワ(ナヴィの住む惑星、パンドラの意識)をすぐ近くに感じて怖い」という彼女は、ある日エイワと交信できる大樹と絆をつないでいるときに激しく痙攣を起こし失神する。それを見て狼狽したジェイクは、彼らの味方である医療班に駆けつけてもらい最先端の科学で娘を診察してもらうのだが、そこで下される診断が「異常なしだが前頭前野にのみ強い反応がある、典型的なてんかんの発作です」である。ギャグかよと思う。それを見ていたナヴィの部族の女が「わたしは必要ないようね」と吐き捨てて去ろうとする。ジェイクの妻が引き止めて、その女はしぶしぶ呪術的な儀式を行い、そこでようやくキリは目を覚ます。このくだりがもう、そんなことしていいんだ、と感動すら覚えるレベルだった。
 ……という感じで、個人的には光る変な生物しか好きになれなかったアバター2だが、上映後のトイレに行くと生の感想が聞けてありがたい。今回は下記のような声を聞くことができた。「感動したけど、トイレ行きたいが勝った」、「最初のほう専門用語ばっかりで挫折しそうだった」「キリちゃん可愛かった」、以上です。専門用語なんてほとんどなかったと思うが、大衆受けする作品をつくるのは大変なんだな……と改めて感じさせられた。