【ネタバレあり】映画『キングスマン』感想
『キングスマン』(2014)・129分

観た日付:2023/6/14
どこで観た:Disney+
あらすじ(コピペ)17年前に父を亡くし、無職のままロンドンで母と暮らすエグジー。彼の前に現れたハリーは、普段は高級テイラー「キングスマン」の仕立て職人、だが裏の顔は秘密裏に活動する国際諜報機関のスパイだった。同僚だったエグジーの父にかつて命を救われたハリーは、エグジーをキングスマンの新人候補としてスカウトする。並みいるライバルたちの中、新スパイの座を賭けて熾烈な競争を繰り広げるエグジー。一方、ハリーは世界規模のテロ計画を進めるIT富豪、 ヴァレンタインの行方を追っていた。果たしてエグジーは、ハリーの助けを得ながら新たなスパイとなることができるのか?そしてハリーはヴァレンタインの恐ろしい計画を阻止することができるのか?
観たきっかけ
ロンドンを舞台とする映画が観たかった。
コメント
面白かった! 面白くなる法則を忠実に守って作られた映画だと感じた。散々カッコイイシーンばかり見てそこ? と思われそうだが、個人的に一番好きだったのはDV夫から離れられないダメ妻のあるあるな行動だった。そしてそれをいつまでも見捨てられない息子。特に、母親を殺人者にしないためのエグジーの心遣いが描かれたのが非常に良かった。自身が絶体絶命の状況でロキシーに頼むことがそれなのだから性根が本当に優しい。これがあるのとないのとでは全然違うし、絶対に描き漏らしてはいけないディテールだと思うので、さすがだなと感じた。
どことなくメタな視点の入る作品で、「これが映画だったら〜」と各登場人物が言及するところがあるのだが、冒頭の「キツネを轢けずに警察に逮捕される」くだりも、明らかに「SAVE THE CATの法則」への目配せを感じる(あと犬を殺せないくだりも)。丁寧にそういうことやってくれるから良い。犬殺せないくだり、エグジーとロキシーの明確な違いを描くことにも貢献しているので、本当に素晴らしいシーンだと感じる。
敵が魅力的で素晴らしい。ガゼルがえっちで強くてありがたい。やはり敵側には両脚が刃の美女がいなければお話にならない。ヴァレンタインは完全に狂っちゃってるのに冷静なところもあって素晴らしい。自分から出た血を見て気持ち悪くなってゲロ吐くところが最高。世界中の要人やお偉いさん方の頭が吹っ飛ぶところも、「はい、ここで笑ってください!」と完全に音楽と映像を用意してくれているので気楽に笑える(まあ、キノコ雲には日本人として若干抵抗あるっちゃあるんですけど)。仕込まれているコメディ部分がちょうどよく、楽しめた。
お約束をきちんと守っている反面、意外さを持ってきていたのはハリーの死に方だった。ハリーが死ぬこと自体には意外性はないのだが、前述の「映画だったら〜」の会話を利用して、「これは映画ではないから」としてあっさり頭を撃ち抜かれて殺されてしまう。そのシーンだけは、思い切ったな……と思った。それは、いやそうかもしれんけど、寂しいと思ったし、どっかで生きててくれんかなと祈ってしまう自分がいた。ただ、作品全体のテイストとして、冒頭の1997年のシーンで既に候補生が一人死ぬし、その後出てきたランスロットは真っ二つにされるし、良い意味でキングスマンが無敵の人間の集まりであるかのようには描かれていないので、ハリーが即死するのもむべなるかなという感じではある。そして、ヴァレンタインを完全な悪役として描くことにも一役買っている。その辺のバランス調整がうまいなあと思った。
典型的なシンデレラストーリー(ただしもちろん主人公は努力をする)で、テーマも明快、師の教えはきっちり受け継ぐ、お決まりのシーン変奏もバッチリ、総合点がものすごく高いエンターテインメントだった。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.