2023.11.18(かぐやフェス)〜11.20

Diary日記

かぐやフェスに参加してきた。

私は関東在住なのだが、かぐやフェスは京都で開催されるということで、ついでに2日ほど京都を観光しようと考えた。

「かぐやフェス」のことを書くにあたって、SFレーベルのKaguyaについて簡単に説明しておく。
Kaguyaは、主にKaguya Planet、Kaguya Books等の活動を通じてSFシーンを盛り上げているレーベルである。
Kaguya Planetでは、オンラインで読めるSF作品を掲載している。掲載作家については、新人作家のフックアップが丁寧な印象を抱いている。
出版レーベルKaguya Booksでは、SF小説やアンソロジーなどの書籍を出版されている。最近では、観光地"ではない"京都を舞台としたSFアンソロジー『京都SFアンソロジー:ここに浮かぶ景色』、2045年の大阪を舞台としたSFアンソロジー『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』等を刊行して話題を呼んだ。
かぐやフェスは、そんなSFレーベルKaguyaが主催する初のオフラインイベントである。
60人程度と小規模開催となる見込みだが、当日は物販コーナーが用意され、参加者は誰でもブースを出店することが可能だという。

私は、かぐプラで公開されているSF作品をすべて読んでいるというわけではなく、かぐプラの執筆者でもない。しかし、当日発表されるという、かぐやの新プロジェクト10個と、物販への興味、それからSNSで交流のある人々と会えるかもしれないという理由で参加を決めた。

ここからは自分の備忘録も兼ねて、当日どういった足取りを辿ったか、要点をまとめずにだらだら書いていこうと思う。

羽田空港から8:25発の伊丹空港行きに乗るために、1時間ほど前に空港に到着する。なぜ新幹線でなく飛行機を使ったのかは想像におまかせするが、飛行機のほうが安く現地へ到着できるうえマイルも貯まるのである。飛行機に乗るのなんて数年ぶりでほとんど忘れている。保安検査場を抜けて、パワーラウンジへ行って時間を潰した。メープルナッツティーがあって、味に期待したがあまり美味しくなかった。ラウンジの窓からは遠くに富士山が見えた。東京は暖かいが、京都は今日極寒だという。厚着をしてコートを羽織ったが、東京だとまだまだ汗だくになってしまう。

飛行機が滑走路で渋滞していて離陸が遅れたとかで、予定時刻より少し遅れての到着だった。飛行機たちがわたわたしている様子を思い浮かべる。機内でのドリンクサービスではコンソメスープをいただいた。フライト中は伊東黒雲『やーばん』を読んでいた。空で読んだ人は初めてだろう。どれもこれも良い。9:40ごろ伊丹空港着。京都行きのリムジンバスに乗り換えた。学生時代は伊丹空港の近くに住んでいたこともあって、バスから見える風景が懐かしい。住吉神社の近くに、ニワトリを飼育し、玄関先にはキウイが実る不思議な家があったのだが、確認するとまだその家はそこにあった。50分ほど揺られ、京都駅八条口にたどり着く。荷物が重い。バスに荷物をあずける際に「これ割れもん入っとんとちゃうん?」と係のおいちゃんに聞かれ、関西弁が懐かしかった。物販のため『鳩のおとむらい 鳩ほがらかアンソロジー』を11冊(10冊販売用、1冊見本用)持っていったのだが、それが1冊1kgほどあるので、単純計算で11kgの荷物を抱えていたことになる。ちなみにトランクケースではなく、大きめのショルダーバッグに詰めていたので余計重く感じた。

烏丸線で四条駅に移動して歩く。前から目をつけていた、INDIA GATEというお店に向かう。ビリヤニの専門店だ。11時すぎに京都駅に着いて、開店は11時半だった。店の前に到着してから5分ほど待たなければならない。店の前の道路は狭くて車が一台通れるほどで、そこをタクシーやチャリがびゅんびゅん通り過ぎていく。大きな荷物をやっと下ろし、道路の隅の方に置いていたら、チャリに乗った女性から「めっちゃ邪魔やねんけど」と言われて怖かった。わざわざ言わんでいいやんそんなん、と思う。

開店したので、気を取り直して狭い店内へ。合い盛りができるとのことで、鯛出汁チキンビリヤニと、マトンビリヤニの合い盛りにした。めちゃくちゃ美味しい。鯛出汁の方は、優しい味で、ビリヤニという感じではなく馴染みのある雰囲気なのだが、マトンの方はちゃんとスパイシーで辛い。全マトンにしなくてよかったかもしれないと思うほどの辛さ。マトンを食べて、辛くて舌が耐えられなくなったら鯛出汁の方に戻ってほっとして、といった食べ方を繰り返した。ライタが特に美味しかった。こちらも二種類盛られていて、それぞれ味が微妙に異なった。

食べきってしまうと10分ほどしか経っておらず、11時40分ごろ。かぐやフェスの入場開始は12時半だったような気がする。だいぶ時間が余ってしまうが、これ以上重い荷物を持ってうろうろしたくないので、会場付近で時間を潰せる場所を探そうと思って、タクシーを呼んだ。タクシーなんて普段は使わないが、それくらい荷物が重かったし疲れていた。GOというアプリで500円クーポンを得られたので、半額で済んだ。タクシーを呼んだあとビリヤニの会計をして、店を出て、店の角で停めてあったチャリに荷物をぶつけて倒して、通りすがりのおじさんに助けられながらチャリを起こしていると、すぐにタクシーが来た。

普段は、寺の黒板に掲示されている言葉をしゃらくせー!と思っている性格の悪い人間なのだが、タクシーの車窓から見かけた寺の言葉は、なんだかそういうものと一線を画しているような気がしたので、つい撮影してしまった。そうこうしているとイベントホール洛央の前に着いた。会場は地下だった。探してもあまり時間を潰せそうな場所はなく、仕方なく階段を降りる。井上さんや齋藤さんといったかぐやの方々がせわしなく会場を行き来しているのを見て、ああやっぱまだ入っちゃだめそうだな隅の方でじっとしておこう……と思っていたら井上さんが気づいてこちらへやってきた。てんぱって「隅の方でじっとしておくので(開場まで)置いておいてもらえませんか」みたいなことを口走ってしまったのだが、物販する人はもう入場してかまわないと言われる。それで、入口からは見えなかったのだが、奥の方に進むと物販コーナーがあって、そこでは既に何名かがブースの設営を行っていた。ほっとして、私も設営を開始する。

鳩アンソロジーのほかに、1万字程度の書き下ろしの短編小説『鳩造りの工程』のコピ本を14部、カモガワ奇想短編グランプリ最終候補作をファイルにした(なぜ?)『とり、の、しんわ、クリアファイル』を5部持って行っていた。ガマグチヨタカのヒナのぬいぐるみ2羽も連れてきた。完璧なブースといえる。

会場入口には、これまでかぐプラで公開された作品のサムネイルがずらりと展示されていた。いつかここに加われたらいいのになと思う。自分がSFを書いているとは言い難いけど。

ぬいぐるみコーナーにはハシビロコウさんがいたので、一緒に撮らせてもらった。

かぐやフェスのタイムスケジュールは下記の通りだった。

13:00 開場・ソーシャル
14:00 開会・挨拶
14:30 かぐやSFコンテスト授賞式
15:00 ソーシャル
15:30 新プロジェクト発表会・くじ引き
16:30 ソーシャル
17:00 物販終了
17:30 閉会

この「ソーシャル」というのがよく分かっていなかったが、ご自由にご歓談ください、の時間だった。この手のパーティーが初めてで、誰に話しかければいいか分からない。と思っていたら、糸川乃衣さんから話しかけていただいた。モズが好きで、はやにえを探しているらしく、その様子を『はやにえ日記』という本にまとめられてもいる。『はやにえ日記』の存在は以前から知っていて、今日ちょうど買おうと思っていた。実家の木には毎年モズが来て、はやにえも毎年刺さっていたことを思い出したが、言わなかった。どういう鳥が好きなのかと聞かれ、脚のゴツい鳥、と答えた。『君たちはどう生きるか』のアオサギの足音が最高だった話をする。鶴見川でのバードウォッチングをおすすめされた。双眼鏡すら持っていない。意外に思われそうだが、こんなに鳥の作品を書いていながら私はまだバードウォッチングに手を出していない。色々と理由はあるが、個人的にはそこまで鳥の同定に興味がないことが大きい。あと、沼っぽくて怖いから。多分実際にバードウォッチングをやってみたらとてもハマると思うけど。今だって街の鳥を見ているだけでもそこそこ満足してしまうし。しかし、かぐやフェスで鳥好きの方に複数お会いして、私もバードウォッチングをしてみるか、という方に気持ちは傾いてきた。

やることもないので、物販ブースを回り、一通り目当てのものを購入した。野咲タラさんがツノニガウリ(キワノ)を出店していて、緊張しつつも購入してしまった。未知すぎる。あとで野咲さんと話したのだが、まだ食べ方が確立しているわけではなく、ヨーグルトに混ぜたり、はちみつを掛けたりと工夫の上で食されているそうだ。私はなんとなく、この料理法と決めているものがあって、マリネをつくろうと思っている。マリネ?というか、クリームチーズと生ハムと合わせて、シロップと胡椒と和えて食べてみたい。どんな味がするのか気になるが、熟して黄色になるまでは置いておかなければならない。

そうしていると、紅坂紫さんがやってきたのでご挨拶した。お互いに名刺を交換した。色々とお世話になっているのでお会いできてよかった。青島もうじきさんとも初めてお会いできた。ずっと気になっていたアイコンの話を尋ねると、適当に設定していたものを、名刺に印刷してしまった手前変えられなくなってしまったのだと仰っていて共感が湧いた。

開会の挨拶があって、再びソーシャルへ。そろそろやることがなくなってくる。私自身が極端な人見知りであると同時にコミュニケーションスキルにかなりの難がある人間なので、知り合いを見つけたとて生身を目の前にして何を話せば良いか分からない。これは、運営側の問題ではなく私自身の問題である。パーティーにやってきてから、ここで何をすれば良いのか分からないことにようやく気づいた。また、私は読者としても作者としても中途半端な立ち位置の人間で、読者にも作者にも名前が知られているわけではないし、どちらかのグループに入って話そうとしたって共通の話題はないしで、どうすればいいか分からなかった。一方的に名前を知っている人はたくさんいたけれど、じゃあその人たちを捕まえたとてどうにもならない。やることなくなっちゃったな、と思いながらコーヒーを啜ったり、席について物販で買った本を読んでいた。はやにえ日記を読み終わった。

かぐやSFコンテストの授賞式があって、ふたたびソーシャルへ。ソーシャルに不慣れかつ適応できなかったため、ひたすら本を読む。新プロジェクトの発表はとても楽しかった。なんとかいっちょ噛みできないものか、と思い、そのあとのソーシャルの時間でも、稲田一声さんに「なんとかいっちょ噛みできないもんですかね〜」と素直な感想をそのままぶつけてしまった。稲田さんは愛知の方らしく、愛知SFアンソロジーができたらな〜と零していた。私の育った県や住んでいる県についてもまだアンソロジーの話は持ち上がっていないようなので、順番待ちですね〜と相槌を打つ。最後のソーシャルでは、なんとなく席を立ってうろうろしていた。自分のブースの近くに突っ立っていたら、「これ書いた方ですか?」と『鳩造りの工程』を持った方から話しかけられた。会の間に読み終えてくださったらしく「なんか、すごかったです!」とコメントをいただき嬉しい。私もよくわからないまま書いたものなので、なんか言葉にはできないけどすごいと感じてもらえたのなら上出来だなあと思った。サインを求められてうろたえた。まさか自分がサインを求められる立場とは思わなかった。名前の横に鳥の絵も書いた。その後も一人からサインを求められて、嬉しかった。この会場にいる書き手の人たちの中では、サインをした人数が二人だというのは、少ない方かもしれないけど、それでも数だけに還元してしまうのではなくて、ただ「藤井佯にサインしてもらいたい」と思ってくれた人が確かに存在してくれたのだという事実がめちゃくちゃ嬉しい。それから、ブースが隣だった枯木枕さんとも少し話して、鳩アンソロジーをお買い上げいただいた。そうして、鳩アンソロジーは10冊全部売り切ることができた。『鳩造りの工程』は4冊、『とり、の、しんわ、クリアファイル』は2部だけ売れた。正直少ないが、それが今の私の実力にゃんねー、と思うしかない。てか4冊しか売れていないのに1人サインを求めに来てくれたのはすごいことだよ、などと前向きに考えることにする。私なんかは、物販があれば舐めるようにすべてを買い占めてしまう人間なので、多くの人がそうではないということが新鮮だった。あと、物販メインというよりはみんなソーシャルするために来てたんだな、とも思った。私は、この場であわよくば自分のことを知ってほしいという下心もあったので、正直もっと買ってもらいたかったが仕方がない。

物販の売上を受け取って、会場を後にする。二次会を紅坂さんが企画してくださっているが、18時半からなので先にドミトリーのチェックインを済ませることにした。歩いて20分ほど。めちゃくちゃ寒くて、去年コートのポケットにいれっぱなしにしていた手袋に助けられた。ここまでとは。宿について、やたら黒目で笑顔のお姉さんにホテルの説明を聞かされ、実際部屋に行ってみると外国人の男性が上裸で寝ており、というかやはり男性がほとんどで、あーやっぱ6人1室なんて泊まるもんじゃないなと後悔しながら、安かったからという理由だけで宿を決めた自分を殴りそうになった。アクセスも微妙に悪いし。大きな荷物(鳩アンソロジーがなくなったのでだいぶ軽くなった)をロッカーにぶちこんで、そのまま二次会会場へ向かった。他の方は先に店内に入っていたようで、宗方涼さんと大木芙沙子(エレガントザリガニ)さんの座る席へ着席した。前菜とサラダが出てきた。サラダにでっかいベーコンがついていて、嬉しかったのでベーコンを切る役を申し出た。だが、切ったあとどうすればいいかわからずにとりあえずカトラリーを置いてじっとしていたら、エレガントザリガニさんから「あっ、ここからは各自で取るようにしましょうか!」とフォローをいただいた。それで初めて、そのまま皆さんにサラダを取り分けるのが自然な流れだったか……と気がついた。一連の流れは健常者エミュレーターっぽかった。「最初に手をつけた者は/あるいはその場で最年少の者は/あるいは(これには抗っていきたいが)女性は、サラダを取り分けるべきである」。会社での飲み会というものを、コロナで一度も体験しないまま適応障害で退職してしまったので、そういう場での振る舞い方がわからないのだった。少ししょんぼりする。けっこうお酒を飲んだので何を話したのだか正直あまり覚えていない。途中で渡邉清文さんがやってきて、そのあと渡邉さんが他の席を回っていき、入れ替わりで孤伏澤つたゐさんがやってきたことは覚えている。

それから、ななめのハウスの古本市に参加した。家へ行ってみると、橋本輝幸さんや野咲タラさんらもいて、ワンルームの部屋に人がぎゅうぎゅうで床に並べられた本を物色しているのはなかなかおもしろい光景だった。

山尾悠子作品集成をはじめとして、面白そうな本を5冊も手に入れることができた。『摂子』は、どこかの女学校の憧れだった摂子さんを慕う女性の会が中心となって、摂子さんとの思い出や摂子さんへの追悼文をまとめた本だということで、あまりにも面白そうだったのでもらいうけてしまった。『処刑が行なわれている』と『どこにもない都市どこにもない書物』はタイトルに惹かれた。『森の世界爺』は、樹木にまつわるエッセイとのことで、こちらも興味のあるものだったので譲り受ける。全部で3500円とのことで、やっすと思った。

宿に帰って、横たわる。大変居心地が悪かった。眠剤を飲もうにも、二段ベッド下のロッカーへしまった荷物の中だし、二段ベッドの上のほうが割り当てられていたので、はしごを下って物音を立ててまで荷物を取りに行くというのがやりづらかった。変なところで気にしいなので、そういう「他を刺激する動き」を取ることに抵抗がある。しかし、それから二時間くらいはじっとしていて、あまりにも眠れないので観念して荷物をベッドの上へ引き上げた。眠れたのは結局1時すぎで、もうへとへとだった。

へとへとだったのに、6時半には目が覚めてしまい、これ以上宿にもいたくないので移動することにした。京都駅まで出て、嵯峨野線から嵐電に乗り換えて、龍安寺へやってくる。

到着したのは9時前後で、まだ人はまばらだった。

ずっとここへいられると思った。石の数を数えている人たちを何度も見かけて、馬鹿らしく思った。30分ほど庭を見ながらぼーっとしていた。

エナガ?らしき鳥を見かけてよかった。小さい。よく熟れた柿を食べていた。

それからバス停で一駅先の立命館大学前に移動して、堂本印象美術館へ赴く。ちょうど無料で観覧できる日だったらしい。写真撮影不可だったのが残念だが、鳥の絵がたくさんあって最高だった。ドバトと白鳩が交差する『双鳩』や、鳥たちのスケッチの数々、鷺を描いた作品を多く集めた空間など、私の見たいものがことごとく存在していた。日本画の鳥が好きなのだ。嬉しかった。

13時からランチを予約しているのだが、それまでミスドで時間を潰した。ドーナツポップが大好きで、普段通っているミスドではまず見かけないので、感動してデカいサイズのものを頼んでしまった。ドーナツボールをちまちま食べながら作業をする。非常に眠たい。編集者のための〆切手帳、なるものを購入してみて、来年はそれで進捗を管理できないか試してみるのだが、3月31日までに書きたい作品が複数あるので、その予定を立てていた。そうしてみると、一日8枚は書かなければならない計算になって、私にそんなことが可能だろうかと慄いた。一日に一万字は書けても、毎日数枚を継続することには困難を感じていて、しかしコツコツ書けるようにもなりたいので、そういう計画を立てているのだが、どうなるか。

時間になったので、喫茶 李青へ。入口から既に雰囲気が最高。店内も非常によかった(撮影はしていない)。

月一回、予約制でしかやっていないという特製ビビンパを食べに来たのである(他に、キムチとワカメスープがつくようだったが、なぜか私の分だけ運ばれてこず、気が弱いので言い出せもせず、その二品は食べられないまま退店してしまった)。紅坂さんに教えてもらったのだが、すぐに満席になるほどの人気ぶりで、私がキャンセル待ちで滑り込めたのは奇跡である。とりあえず混ぜて食べてみた。美味しい。まあ上品な味、といった感じ。そうしてしばらく食べていると、お店の人から「コチュジャンをかけてお召し上がりください」と言われ、初めてテーブルの上にコチュジャンが用意されてあったことに気がつく。掛けて混ぜてみると、確かに食べたことのあるビビンパの味に近づいた。薄味なのをそういうものだと思って「上品な味……」と食べていたのが馬鹿みたいだ。しかし、上品なビビンパであることに変わりはなく、たとえば通常ビビンパに入っているとは想像もつかない「お揚げ」が抜群に美味しかったりする。サラダや生ピーマンの青さも食欲をそそった。

食後は、韓国茶の一つである漢方茶と、韓国の餅が出てきた。これもまた美味しい。生姜?が入っているのだろうか、ぽかぽかする。そして甘い。意外とするする飲めてしまう。お餅も、ビビンパで大量のご飯を掻き込んだあとだと重く感じるかと思ったが、しっとり美味い。あっという間に平らげてしまった。

退店して、鴨川のほうへ歩く。

ダイサギかチュウサギかわからないが、いた。最高だ。

コサギも大量発生していた。嬉しい!

一時間ほど鴨川でぼーっとしていた。疲れている。鴨や鷺や鳶をただひたすら眺めていた。それで、双眼鏡がほしくなってしまった。やはり鳥は良い。

17時からCLUB METROであるイベントに参加しようと思っていたのだが、限界が来てしまった。鴨川を下り、滑り込んだかもがわカフェで、ミントティーを飲みながらぼんやりしていると、全てがどうでもよくなってきて、「飯食って宿に戻るか……」と思った。あと、疲れすぎていて、もう観光したくなかった。それで、明日は早々と伊丹空港に戻ってしまって、ホテルのデイユースを使ってのんびりしよう、と思い立った。

夜は、ラーメンの坊歩にいった。鶏豚骨ラーメンというものがどんなものか気になったからだ。美味しかったけど、個人的には豚骨ラーメンでいいなと思った。あっさりが好きな人は鶏豚骨のほうがいいかもしれない。私は豚骨県出身の豚骨人間なので、後味が物足りなかった。

宿に戻って、寝る。かぐやフェスでもらった、選書フォーチュンクッキーを開くと、ベーオウルフの主人公を女性にした作品が紹介されていた。洋書を読めるようになりたいな、と思って、洋書版のフォーチュンクッキーを選んだのだが、YA向けの本っぽいし、入門には最適かもしれない、ちょうどよい本があたったな、と思った。

3日目。11月20日。朝マックを食べて、伊丹空港へ戻る。虹が出ていた。

大阪国際空港ホテル(空港内にホテルがある)に行くと、ちょうどデイユースの部屋があいていたので18時までそこで過ごすことにした。まずはシャワーを浴びた。ドミトリーの宿にもシャワーはあったが、どうにも使いづらかったので2日ぶりのシャワーである。さっぱりとして、それからしばらく眠ってしまった。

昼は空港内のピザ屋で食べる。かなり美味しかった。あと、空港内を財布とスマホだけ持った状態で闊歩できるのはかなり気持ちの良い体験で、満足度メーターが上昇した。空港に定住する人々の話をいつか書きたいな、と思っていて、今のところ鳥以外の題材で唯一書いてみたいものなのだが、そういうことを考えていると、壁面にちょうど渡り鳥の絵があって、「空港や豪華客船に定住する」というのも確かに渡り鳥を描くことの変奏かもしれない、と思った。

18時までぼんやりとする。写真はかぐやフェスで買った本たち。また本が増えてしまった。とりあえずコピ本があったら買ってしまうので、そういうのが増えている。繰り返すが、逆にそうじゃない人のほうが多いというのが意外だった。特にかぐやを応援している人は、新規開拓に重きを置いている人が多いのかなと思っていたので余計に。もっと開拓されたかった。

18時にチェックアウトして、ラウンジオーサカへ行く。コーンポタージュが飲み放題で激アツだった。コーンポタージュ大好き。

保安検査場を通過したあと、お腹が空いてたこ焼きを食べた。空港でたこ焼きって逆に贅沢なんじゃないか、と思った。それで、帰りの飛行機に乗る。後ろに小学生の男の子が座っていて、何度も母親に飛行機事故について尋ねるのが可愛かった。離陸着陸のときは、母親にぴとっとくっついて、耳をふさいでいた。子、かわい〜と思った。機内のドリンクサービスでは、スカイタイムをいただいた。フライト中は、『森の世界爺』を読んだ。めちゃくちゃ面白くて、良い買い物をしたなあと満足する。

夜遅く、ようやく自宅に到着する。やっぱり自宅が一番いい。読む本が増えてしまったので、明日以降少しずつ消化していこうと思う。