鏡リュウジ『鏡リュウジの実践タロット・リーディング』感想

DiaryC0011,書籍感想

鏡リュウジ『鏡リュウジの実践タロット・リーディング もっと深く占うための78枚』(朝日新聞出版)

https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=19604

読み始め:2023/6/23  読み終わり:2023/6/23

あらすじ・概要
大アルカナ22枚・小アルカナ56枚の物語と意味を、鏡リュウジが徹底解説。イメータロットのイメージを、あなたの中で動かしていこう!
大アルカナ22枚・小アルカナ56枚を、鏡リュウジがやさしく、丁寧に解説。
カードのイメージが膨らむ図解から、初級〜上級対応の重厚スプレッドまで。
タロット・リーディングをもっと深く、実践的にするための「意味」と「物語」。

読んだきっかけ
タロットカードにハマっているので。

コメント・感想
 面白かった。基本的には「しかもこの本は、タロットのそれぞれの札をめぐってぼくが思いを紡いだ、一種のエッセイや随筆としての色が濃くなっています」と書かれているように、大アルカナ、小アルカナのそれぞれの札に対しての筆者の見解や図柄にまつわる歴史を紐解く一冊になっている。タロットそれぞれの図像について、まだあまり詳しくなかったので非常に参考になった。
 個人的には、ソードの10にまつわる記述が非常に印象的だった。え、こんなふうに見てるの!と新鮮に驚いた。
 知性やアイデアが現実になるには「グロウダウン」ないしは「グラウンディング」することが必要となる。
 思考は実体化する時に、ある意味では「死ぬ」ことになる。絵に描いた餅は食えないが、逆にいうと腐りもしないし、なくなりもしない。「絵」の元になるアイデアを、実体化したとたんに、思い描いていたものとは違うものになり、最終的には消滅する運命を担う。アイデアは「過剰なまで」に殺されるのである。だが同時に、実体化したアイデアや理想は、肉体をもって味わうことができるようになるのだ。
(p.236-237)
 ……いや、本当に、そう見るんだ!と感激した。ソードの10に関してこれまであまり良いイメージがなかったが、なるほどだった。確かに、アイデアが受肉した瞬間と見ることもできるのか。それは非常に面白い見方だと思う。
 また、掲載スプレッドが多くて面白い。正直、全78枚のカードを全て使うスプレッドとか「あほか」と思うけど、スプレッドってマジで自由だということを思い出させてくれて良い。さっそく、グランドスター・スプレッドというスプレッドを試してみた。形が綺麗で、見ているだけでも楽しい。また、鏡リュウジ氏は逆位置をとらないことでも有名(個人の印象)だが、こうして多彩なスプレッドを見ていると「確かに正位置・逆位置にこだわりすぎるとスプレッドによっては見方がむしろ阻害されそうだな」と感じた。グランドスター・スプレッドなんかはその典型例のような気がする。今はまだ正位置・逆位置をとって解釈しているが、今後どうしようかな〜とちょっと迷った。もちろん気分で占うたびにころころ変えても良いと思うのだが。
 折に触れて読み返したいと思った。