中沢新一『虹の理論』感想
中沢新一『虹の理論』(新潮社)

読み始め:2023/6/27 読み終わり:2023/6/27
あらすじ・概要意識と物質の発生をイメージさせる虹の体験は、文化を閉じ込める、終わりなき解釈のらせん階段からの脱出の方法を示唆してくれる。メタフィジカルな8つの物語。
読んだきっかけ
本に呼ばれた。
コメント・感想
虹を通して、あるいはバリの呪術師たちの世界観から、あるいはダンテのベアトリーチェへの愛から、「両義性の記号からの脱出、あるいは破壊」を考察する全八編の科学的寓話。面白かった。面白いんだけど何が具体的に面白かったのかを述べることが難しい。ただ、読んでいる最中はひたすら高揚感があった。特に、書き下ろされた「作庭家の手記」が好きだった。ほかには、「ファルマコスの島」も良い。
読んでみて、東方虹龍洞が『虹の理論』にめちゃくちゃ影響受けてることを理解した。ここまでがっつりとは。
良かった文・シーンそうです、私たちは
夜にささげられた者なのです。
たくらみぶかい
ねたみぶかい昼は、
いつわって私たちを引き離すことはできたけれども
昼のむなしい美しさ、
昼のほこらかな輝きは、
夜によってまなざしをきよめられた者を
あざけりますが、
昼の燃えかがやく光の
きらめく明るさも
私たちの目をくらますことはもうできません。
……
しかし昼のむなしい妄想のうちにも
ただひとつのあこがれはのこっています
それはきよい夜への
あこがれです。
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