反-重力連盟『圏外通信2023』感想

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反-重力連盟『圏外通信2023』

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読み始め:2023/6/9  読み終わり:2023/6/9

あらすじ・概要
SF 的文芸による重力からの解放を目論む秘密結社、反-重力連盟による SF アンソロジー。 [A5判・76ページ]

読んだきっかけ
毎号買ってる。

コメント・感想
脊戸融「朔月」
・収録作のなかで一番SFらしいSF。機械かれの描写が細かくて盛り上がる。また、難しい漢字とルビの組み合わせがたくさんあって嬉しい! 李白の詩が引用されているの最高。
佐久間真作「二◯██年反ミーム部門職員採用試験」
・「Adorable, Bothered, Critical, Doom」でアノマリーの危険度を評価する小ネタが最高。
・解答が知りたくなる。自分でも考えてみたがやはり分からない部分があるので。私はきっと不採用だろうな。
・ソファの手前に家族が並んで座り昔のビデオを見る、という光景が思った以上に不気味。
xcloche「グレート・マッスル・ワンス・アゲイン」
・面白かった! すごい完成度高い。「松尾」なのがなんかいい。
・フィジカル・スポーツとモーション・スポーツが分化したというアイデアも、その中でボディビルディングに着目するのもそれだけで面白いのに、時間遡行というアイデアまで盛り込まれてきて、面白くならないわけがない。すごい。
空舟千帆「一本の紙巻き」
・解釈がいろいろできそうだが、私は「紙巻き吸う→紙巻きの素となった存在の人生を追体験する→老けた状態で目が覚めた」と解釈した。二人称なのが味。細かい描写がよくて、四度目でようやく紙巻きの火がつくところが好き。
巨大建造「アノマリアンズ エピローグ・プロローグ
・なんなんやこれは。どうしたらええんや。
・何もわからんのにルル崎(とそのアノマリアン)とギャタ子&エクレアの戦闘がカッコいいのなんなんだ。「け」良すぎる。巨大建造さんの小説はわけがわからないままの語りが整合性をもって進んでいくところがすごい。
・なんかちゃんと映画か小説で全編読みたくなってきた。
庭幸千「図書館の澪標」
・すごい。とても好みの作品だった。ロジック部分は緻密でかつ追い求めるのはロマンな作品が好きなので……絶対自分には書けないものだなと感じるし。そして「澪標」という言葉がもうそれしかない言葉選びで最高。
・バベルの図書館を参考にした世界観だが、もうどう見てもこの世界のメタファー(かどうかを推し量る術は私にはないが)のようになっているところも好き。無意味! 無限!