中澤一棋『漫画を読むとき』感想

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中澤一棋『漫画を読むとき』

読み始め:2023/5/22  読み終わり:2023/5/22

読んだきっかけ
文学フリマ東京の造鳩會ブースでフリーペーパーとして取り扱わせていただき、その際に一部頂戴した。

コメント・感想
 漫画への新鮮な驚きや恐ろしさに満ちた良いエッセイだった。特に最後の『無限の住人』についての記述にはぞっとさせられる。知らぬ間に加害に加担させられるというと、うまくいえないけど私はやっぱり藤本タツキ作品にもそれを感じるなぁと思う(ちなみに本エッセイでは、4コマ漫画としての『さよなら絵梨』が取り上げられている)。
 まず、筆者の漫画の読書量に圧倒される。読んだ漫画の作品名だけをひたすら列挙するページがあるのだが、そこから漫画への愛と畏怖がこれでもかというほど伝わってくる。コマと視線について、漫画における文字について、四コマ漫画、そして読者の「漫画を読む」という行為について、全部で4つのトピックで構成され、どれも面白く読めた。こういう漫画論をもっと読みたいんだけど案外うまく見つけるのが難しい。良いのを知っている人がいたら教えてください。