小林真大『「感想文」から「文学批評」へ』感想

DiaryC0090,書籍感想

小林真大『「感想文」から「文学批評」へ』(小鳥遊書房)

公式サイトから引用

https://www.tkns-shobou.co.jp/books/view/246

読み始め:2023/3/28  読み終わり:2023/3/28

あらすじ・概要
大学の文系学部を意識している高校生にも「文学批評」の基礎からわかる本書をお勧めします!

読んだきっかけ
図書館で見つけた。批評というものに苦手意識があったので入門書を読んでみたかった。

コメント・感想
 正直言うと、この本を読んだからといって批評はできるようにならないと思う。だが、想像以上の良書だった。批評について書かれた本をいくつか読んでみて、どうやら入門書として書かれている本でも「著者が当たり前過ぎてわざわざ書いていない前提」が抜け落ちているのではないかと常々思っていた。この本は、「高校・大学から始める批評入門」と銘打たれているだけあって、大前提となる批評の歴史が非常にわかりやすくまとめられている。もちろん、わかりやすさの弊害はあって、かなり大雑把な説明であったり、単純化していたりすることはあるのだが、そんなのは後からこちらで次のステップの本を読むので大して問題ではない。ある理論が生まれ、それが行き詰まってまた新しい理論が生まれ、それが批判され新たな理論が生まれ……の繰り返しを、丁寧にわかりやすく示してくれている。議論の流れが追いやすい。まず「批評理論って種類があるの?」という私みたいな超初心者は読むと良いと思う。