吉田親司『作家で億は稼げません』感想

DiaryC0095,書籍感想

吉田親司『作家で億は稼げません』(MdN)

公式サイトから引用

https://shinsho.mdn.co.jp/books/3221903018/

読み始め:2023/2/17  読み終わり:2023/2/17

あらすじ・概要
「ベストセラーは出せなくとも好きな本を書いて生きていこう」 ……ぶっちゃけた話、『作家で億は稼げません』などというタイトルの本をウッカリと手に取ってしまったあなたは、 かなり高い確率で天才ではないと思うのですよ。 しかし、それで正解なんです。本書は、神に愛された天才や、強い運を持って生まれてきたひと向けではありません。 そういった御仁は、放っておいても世に出ていくでしょうし、凡才にすぎない僕が教えられることなど、ひとつもございません。 僕がレクチャーしたいのは「凡才ならではのサバイバル方法」です。やり方によっては長く戦えます。 この本が、天賦の才や運を持って生まれなかった、以前の僕のような小説家志望者の道標になればと思います。 まずは本を出せないと意味がありませんから、ベストなデビューの方法を一緒に考えていきましょう(本文より)

読んだきっかけ
松岡圭祐『小説家になって億を稼ごう』を読んだのでこちらも読むべきだろうと思ったため。

コメント・感想
 どちらが良い悪いの話ではないのですが、正直私にはこちらの本の方が参考になりました。なぜなら私は天才ではないからです。『小説家になって億を稼ごう』では、原稿を持ち込めと書いてあるのですが(もちろん困難な道のりであることは申し添えられています)、どう考えてもそれは現実的ではないだろ、と思っていたところをこの本が綺麗にフォローしてくれている感じです。(とはいえ、著者自身は新人賞からのデビューではないのですが、)その辺りについては自身の経歴をつまびらかに書いてくださっており、各デビュー方法のメリットやデメリットも検証しているので参考になります。献本を出版社に送りまくれ、宛先は担当者様でも良い、商業出版したその新刊が一番の名刺なのだから、という主張には納得しました。そして、一冊目が出せた先の話。ここは、億を稼ごうと主張が被っていて「とにかく続編を書け」「とにかく二作目を書け」です。まあそれしかありませんものね。
 この本は、今では縮小してしまった架空戦記という一ジャンルについての愛に溢れた本でもあります。著者の半生、そして架空戦記というジャンルの辿ってきた歴史を振り返る一冊になっているのも興味深いところです(あの、この部分が本当に面白いんです。やばい編集者の話はもちろん、どういう経緯で様々な出版社から本を出すに至ったのか、とか、なぜ架空戦記は衰退してしまったのか、とか)。
 一冊を出すペースの話については深く受け止めました。3〜4ヶ月書店に作者名が並んでいなかったら(欲を言えば平積みされていなかったら)読者は作者の名前を忘れてしまう……、ライトノベルの刊行状況で続編が書店に並ぶのがだいたいそのくらいのペース……。著者は年9冊出していた時期があるらしく、単純計算して毎日十枚弱書き続けていた計算になる、と書かれていてウッヒャーとなりました。まず書くペースをもっと上げなければ……。企画書の提出の仕方も参考になりました。今のうちに企画書形式でネタを溜める練習をしておこうかな。執筆における専門書のおすすめも参考になりました。持っていた一冊以外は早速買いました(今月本買いすぎ……)。
 あと、各章ごとの注釈が面白いです。章を読み終えるのが楽しみでした。