北村紗衣『批評の教室——チョウのように読み、ハチのように書く』感想

DiaryC0290,書籍感想

北村紗衣『批評の教室——チョウのように読み、ハチのように書く』(ちくま新書)

公式サイトから引用

https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480074256/

読み始め:2023/3/28  読み終わり:2023/3/28

あらすじ・概要
批評はなによりも、作品を楽しむためにあります。本書では、批評を「精読する」「分析する」「書く」の3つのステップに分けて、そのやり方を解説していきます。チョウのように軽いフットワークで作品を理解し、ハチのように鋭い視点で読み解く方法を身につけましょう。必要なのは、センスではなく調査力と注意深さ。そしていくつかのコツを飲み込めば、誰でも楽しく批評ができます。作品をより深く理解し、たくさんの人とシェアするための、批評の教室へようこそ。

読んだきっかけ
Kindleで長らく積んでいたのだが、小林真大『「感想文」から「文学批評」へ』を読んだついでに読んでみようと思った。

コメント・感想
 以前の私であれば、このレベルでも難しいと感じていた気がするが、批評の歴史をざっくり頭に入れたことで、どういう意図で書かれた文章なのかがぐっと分かりやすくなり、面白く読めた。本書に引用されていた本でいうと、ノエル・キャロル『批評について』を今まさに積んでいるのだが、その主張「批評とは、理由にもとづいた価値づけである」に対して筆者の見解と立場が書かれていて良かった(そもそも、『批評について』が難しすぎて、前提知識を仕入れるためにこうやって色々と批評についての本を読んでいる)。最後の、ゼミ生と実作を講評しあう対談が特に面白い。学生優秀すぎる。あと、全体を通して読んでみた印象としては「批評って、そこまで身構えなくても良いのかも」だったので、よかった。ノエル・キャロルの言う、成功価値が高い本なのではないでしょうか。
 批評については正直、積極的にやりたいと思わない(だってめんどくさいから!)のだが、「感想」で終わらせるには惜しいと思うような作品にこれから出会うかもしれないし、既に出会っている。批評って究極の愛だなと思う。逆に、それくらい、対象となる作品に入れ込んでいないと書きたくない(あくまで私は)。でも、いざ書きたくなったときに練習しておかないと初手で事故りそう……やっぱ来たるべき日のためにぼちぼち練習してみるのが良いかもしれない……。気が向いたら何かで、感想文に毛が生えたみたいな文章をこのブログに書くかもしれない。