鳩造りの工程(試し読み)
「鳩が造れることを発見したわ」
宮野誉ほまれがそう言ったのはある冬の放課後だった。小倉おぐら闇子あんこはいつものように「ふうん」と心ここにあらずな返事をした。二人は学園のベンチに座っていた。今日は図書室が書架整理のため閉室し ...
heronverse
夜の色として…?
たなびく 電波塔
蠢くのが塊で、地上
見下ろしたりしなかったりしろ
鳥の字を三つ集めてniǎo
弛緩することはない
糞尿の二点ダーシ ぺりっと
廃棄されるまある ...
ウロツツキ
祖母はよく物を失くす人だった。ちょっとしたもの、飴だとか消しゴムだとか、そういったものならいいのだけど、実印を失くしたこともあってそのときは大騒ぎだった。ちょうど遊びに来ていた母と私が捜索に乗り出し、しかし祖母ひとりだけのほほんとし ...
なぜ四葉のクローバーは拾われなかったか——胎界主第一部「使い魔」
まずは第一部の第一話から見ていこう。胎界主の第一話は難解なことで知られていて、なかには第一話の解説記事なども存在する。私は初め、胎界主@wikiのエピソード考察を別ウィンドウで開きながら読んだ。
0001、001は、初読者 ...
これから胎界主の話をしよう
……どこから話せばよいのだろう。まずは、私が胎界主と出会ったときの話から。私が胎界主を読み始めたのは、どうやら2020年3月27日のことらしい。なぜ分かるかというと、LINEで「胎界主」と検索すると、友人に「一昨日読み始めた胎界主と ...
白鷺憑姫
あなたは最近同じ夢ばかり見ています。舞台はこの屋敷のようです。白無垢の花嫁の姿は悍ましいほど美しく、血の気の引いた白い貌かんばせはまるで人形のよう。雪の小径に川が流れるように、純白の着物に緑青色の帯が映え、なんとも艶やかに見えました ...
無見(むみ)
二◯二一年五月二十六日。私は夜な夜な家を出て、街灯の少ない小町大路をそろそろと歩き始めました。夏の気配がほんのり香る涼しい夜でした。小町大路を真っ直ぐ行けば材木座海岸に辿り着きます。風の強い日は潮の香りが陸まで盛り上がってきて、そこ ...
逆さ鳩
「ちょいとちょいと」
黒マントが怪しげに手招きしておりました。たかしくんは言いました。
「不審者にはついていかないことにしてるんだ」
「そんなこといわずお待ちよ、時間を巻き戻せる鳩だよぉ」
黒マント ...
アホウドリ
夕方、家にもどってくると、部屋の真ん中に大きな卵があった。おそろしく大きな卵である。机の上から零れ落ちそうなほどの大きさで、それ相応にふくらんでいる。かすかに左右にゆれていた。なんとも不思議でならず、そろりそろりとナイフで裂いた。も ...