【見習い鳥卜】文学フリマ東京41想定質問集
表題の通りです。
末埼鳩(まつさきはと)さんが、ChatGPTに文フリ当日の想定質問集をつくらせて回答しているのを見て、良いな〜! と思ったので私もやってみることにします。末埼さんのnoteはこちらから↓
新作短編集『アンダー・ザ・スキン』よくある質問集|末埼鳩(まつさきはと)
藤井佯(ふじい・よう)です。鳥の神話を伝えます。
11月23日(日)に開催される文学フリマ東京41にて、初の短編集『見習い鳥卜』を刊行します。
見習い鳥卜 藤井佯短編集 – 鳥の神話 – BOOTH
収録作のあらすじなど、詳しいことは↑にまとまっていますので、こちらもぜひお時間のあるときに目を通してみてください。
文学フリマ東京41全体の告知記事はこちら↓

今回は、この短編集『見習い鳥卜』について想定される30の質問に回答してみました。といっても、この質問をつくらせたClaudeは私について既に詳しいので、けっこう詳しめのことをがっつり質問してきています。現地でこんなこと聞かれへんやろ〜と思う質問もありましたが、全部まじめに答えたのでぜひ読んでみてください!
それではさっそくいってみましょう!
【作品・表紙について】
Q1. この本はどんなお話ですか?
A1. 鳥の神話が13編収録されています。短編集です。SFだったり奇想だったりといったジャンルに近いと思います。一作品ごとに必ず鳥が一種以上登場します。女性、または性別をもたないものが登場する話が多めです。
Q2. 表紙の切り絵、素敵ですね。どなたが描かれたんですか?
A2. よくぞ聞いてくれました! 熊谷隼人さんという絵描きの方です。(https://hayatokumagai.com/)サイトはこちら。サイトの「描くということ、それは風のように世界をうつろいながら至るところにイメージを芽吹かせてゆく、神さまみたいな存在だと思う。もうひとつの時間へといざなう無類の光が、そこにあると信じている。いのちが続く限り、絵を描き続けていきたい。」という言葉に共感して、(あと単純に作品のファンで)依頼しました。現在は北海道に住んでいらっしゃり、来年1月にKaguya Booksから刊行される『北海道SFアンソロジー:無数の足跡を追いかけて』の表紙もつとめられていらっしゃいます。
Q3. 全13編で324ページということですが、どのくらいのボリュームの作品が入っているんですか?
A3. 8000字〜1万字程度の作品がボリュームゾーンで、なかには2万〜2万6千字の作品も収録されています。2千字程度の短めの作品も一篇収録されています。
Q4. 一番のお気に入りの作品はどれですか?
A4. 冒頭の完成度で言えば「砂に刻まれるものたちへ」、全体の美しさで言えば「幽玄の惑星」、これらはどちらも受賞作です。しかしやはり、書き下ろしの「見習い鳥卜」が一番気に入っています。
Q5. 初めて読むならどの作品がおすすめですか?
A5. 頭から順に読んでいくのがおすすめですが、SFが読みたければ「とり、の、しんわ、を、つたえ、ます」、変なのが読みたければ「鳩造りの工程」、エンタメ性なら「バベルの暗躍」てな感じでしょうか。やっぱ、先頭からがおすすめです。
Q6. 書き下ろしの「見習い鳥卜」はどんな話ですか?
A6. 大学在学中に新人賞を受賞して小説家デビューした女性の物語です。彼女は大学に秘密の場所を持っているのですが、ある日そこにカラスのヒナが迷い込んできます。彼女はカラスを観察し、それをもとにちょっとした遊びとして「占い」をすることを思いつき、「鳥卜ノート」を始めます。しかし次の日ノートを見ると、なんと「続き」が書かれていて……という話です。
Q7. 実際に掲載されたことのある作品もあるんですね。どの作品ですか?
A7. 「砂に刻まれるものたちへ」は第3回星々短編小説コンテストの佳作を受賞して、文芸誌『星々 Vol.5』に掲載いただきました。「幽玄の惑星」も第2回カモガワ奇想短編グランプリの優秀賞を受賞して、『カモガワGブックス Vol.5 特集:奇想とは何か?』に掲載されています。どちらも文学フリマ東京41にてお求めになれますよ!(カモガワGブックスは私のブースで委託します)
【「鳥」というモチーフについて】
Q8. なぜ鳥なんですか?
A8. 鳥が好きだからです。正直なぜここまで鳥に惹かれるのか自分でもよくわからないです。でも、なんとなく自分のことは人間よりも鳥に近い存在だと思ってしまっています。おそらく、もっと踏み込むと、飛べる種がいること(≠憧れて空を飛びたい)と、哺乳類とは別の形で知性を発達させてきた存在たちだってのがグッとくるポイントなんだと思います。でも飛べない鳥たちもめっちゃ好きですよ。
Q9. 鳥がお好きなんですか?実際に飼育経験などは?
A9. 小学生のころ、2羽のセキセイインコを飼育していました。その影響は確実にあると思います。今も、鳥をお迎えする準備をしているところです。
Q10. 登場する鳥はすべて実在する種類ですか?
A10. 「とり、の、しんわ、を、つたえ、ます」に登場する鳥たちは、実在するかどうかわかりません。また、「砂に刻まれるものたちへ」に登場するマパピスクは架空の鳥です(地図の鳥、という意味です)。それ以外は実在の鳥ですね。
Q11. 一番好きな鳥は何ですか?
A11. 迷いますが、タチヨタカです。ネットで画像検索してみてください。タチヨタカの物語も『見習い鳥卜』には収録されています。「がまぐちぎょろめのグラム・スピナー」がそれです。タチヨタカについては、今後も書いていきたいと思っています。
Q12. 鳥の生態について取材や観察はされましたか?
A12. たとえば、「平熱の君」を書いたときは、上野動物園のハシビロコウ飼育ゾーンの前のベンチに3時間座っていました。あと、これは書き上げてからにはなりますが、「幽玄の惑星」を書き終えたあと、佐渡島へ実際にトキを見に行きました。
Q13. 鳥以外の動物が登場する作品もありますか?
A13. 「Betta splendens」はベタ(闘魚)という熱帯魚が主役です。しかし、鳥も登場します。
【ジャンルと作風について】
Q14. SFと純文学の中間というのは、具体的にどういう感じですか?
A14. 難しいのですが、私はエンタメとも純文学ともつかないものを書いていて、自分では純文学と思っているのですが、信条としてまず小説にはエンタメ性が最低限担保されなければならないだろうと考えているところがあります。それで、100%エンタメに振り切っている作品は書かない(書けないかも)のですが、エンタメ性がないかといわれるとそうでもないねという感じになってしまい……自分でもよくわからんのですよね。がっつりSFらしいガジェットや設定を求められるとおそらく私は期待に添えないと思うのですが、スペキュラティヴフィクションということであれば、私の作品はそこに含まれるだろうと感じます。
Q15. 「奇想」というジャンルについて教えてください
A15. 詳しいことはわかんないですすみません! 雰囲気で奇想をやっている。カモガワ編集室さんから『カモガワGブックス Vol.5 特集:奇想とは何か?』が刊行されていて、その本では多角的に「奇想」について検討しています。私のブース【鳥の神話】でも委託販売するので気になる方はそちらをお読みいただければと思います。
Q16. 影響を受けた作家はいますか?
A16. カーレン・ブリクセン、フランツ・カフカあたりにがっつり影響を受けています。多分気づいていないだけで他にもたくさんいると思いますが、主な作家はこの二人です。
Q17. カフカへのオマージュ作品があるそうですね
A17. 「ニューギニアのマニア」は私小説ですが、カフカの「日記」からの引用が多いです。カフカ、小説より私は日記が大好きで、適当にページを捲って読む、ということをよくやります。
Q18. どの作品が一番SFっぽいですか?
A18. 正直謎なのですが、多分「わたしはエミュー」かなと思います。アボリジナルのドリームタイムの神話と、実際に起こった戦争「エミュー戦争」を軸に話が進みます。エミューがどんどん進化します。
【「鳥の神話を伝えます」というコンセプトについて】
Q19. 「鳥の神話」ってどういう意味ですか?
A19. 私の言う「神話」は、従来の神話学が想定する起源譚や英雄譚ではありません。
・親密な関係性の中に時折現れる神性
・個別具体的な交感の記録
・類型化され洗練された大きな物語に「取りこぼされてきた」神話
・個人の、わたしたちの神話
のことです。
一般に神話とは、長い時間をかけて類型化され、多くの人々の中に根付いていくものでしょう。しかしそのプロセスで取りこぼされる神話があります。たとえば非定型発達者から見た世界の記述や、「人間以外」の物語——これらは、これほど長い間物語が紡がれてきたにもかかわらず、わたしたちのための神話として語られてきませんでした。
私の指す「神話」とは、オルタナティブな神話のことです。既存の神話を解体し新しい視点から眺めた結果として立ち現れるもの、あるいは全く語られてこなかった文脈にひっそりと眠っていたもの……それらを私は「鳥の神話」と読んでいます。なぜ「鳥」なのかについてはさらに紙幅が必要そうなのでこのくらいで。
Q20. 「書く」ではなく「伝える」というのがコンセプトだそうですが、どういうことでしょう?
A20. 「書く」ではなく「伝える」という言葉を選んでいるのは、これが創作ではなく、そこにあるものを気づかせる行為だからです。すでにそこにあり、見えなくされてきたものを、可視化する行為。私には、言葉という才能がありました。だからこそ文章を、特に小説を書くことによって「人間以外の物語」である「鳥の神話」を伝えることを、自分の使命のように思っています。
Q21. 神話というと壮大な物語を想像しますが、この本の神話は違うんですか?
A21. 壮大に見える物語もあるかもしれませんが、「鳥の神話」では、ふとした瞬間に立ち現れる神性のようなものを掬い上げたいなと願って書かれています。
Q22. 普段小説をあまり読まない人でも読めますか?
A22. こればっかりは相性なのでわかりません。しかし、基本的には短編ばかりなので、短い時間で読める作品ばかりだと思います。一番短い作品「がまぐちぎょろめのグラム・スピナー」から試してみてください。
Q23. 定型発達者には分かりづらい部分があるとおっしゃっていますが、定型発達の私でも楽しめますか?
A23. えっと、これはまず質問の意図から説明しなければなりませんね。私は、表立っては言ってこなかったのですが、非定型発達者を主な読者としてターゲティングしています(そしてこの試みはまだまだ発展途上です)。これも説明を省略しますが、それは私が、非定型発達者のことを人間よりもむしろ「鳥」に近い存在であると考えているからです。私自身もASDであり、非定型発達者です。しかし、非定型発達者と定型発達者は明確に二分されるものではありません。ニューロダイバーシティと言われるように、そこにはグラデーションがあります。そのため、定型発達者「だから」私の書いた小説の意味がわからない、ということは起こらないと思います。誰でも楽しめる作品は理想的ではありますが、私は「型の定まらなかった存在」のためにまずは書いている、ということで、そうでない読者が全く楽しめないというわけではないと思います。
【執筆プロセスについて】
Q24. この短編集を作るのにどのくらいかかりましたか?
A24. この短編集は、2022年ごろからコンテストなどに応募してきた作品を集めたものになります。そのため、シンプルに考えると3年かかっていることになりますが、本格的に短編集の作業を始めたのは今年の5月ころからで、書き下ろしを書き上げたのが11月でした。だから、実際に本にする作業でかかった時間は半年くらいかなと思います。
Q25. 2022年から2025年までの作品が入っているそうですが、作風の変化はありますか?
A25. まだ自分でもよくわかっていないのですが、どうなんだろう。ずっと同じコンセプトではやってきたのですが、昔は「鳥の神話を伝えます」という言葉だけがあって、その意味を完全には理解できないまま、でも直感的にそれが私にとっての正解だと思って取り組んできた側面があります。最近ようやく、鳥の神話を伝えるということが一体どういうことなのか少しだけ言葉にできるようになってきました。そのため、個々の作品ごとに見るとおそらくぶれはあるのだと思います。コアな部分は変わっていないと思います。
Q26. 作品の配置順序にこだわりはありますか?
A26. 最初は「とり、の、しんわ、を、つたえ、ます」から始めなきゃダメだよなと思い、そこから自然と決まっていった形です。あまり迷わなかったです。
Q27. 表題作「見習い鳥卜」を最後に置いた理由は?
A27. 一番力を入れた、かつ一番新しい作品だから、かつ表題作だからですね。もともと『見習い鳥卜』という言葉が短編集のタイトルとして天啓のように降りてきて、そこから「見習い鳥卜」ってどんな物語だろうと考えるところから始めました。話があってタイトルが決まるんじゃなく、先に「見習い鳥卜」という言葉があったというか。それで、きっとこの作品がこの短編集のなかで一番大事になるのは確定していたので最後に据えました。
Q28. 次回作の予定はありますか?
A28. 次回作のプロジェクトはすでに動き始めています。来年の7月に、絶滅した鳥類のための本をつくる予定です。そうでなく単発での作品となると、ひとまずは公募や、声をかけてくださる(ことがもしあれば!)寄稿の原稿になるかなと思います。
【今後の活動について】
Q29. 公募賞にも挑戦されているそうですね。今後の目標は?
A29. 第17回創元SF短編賞で、最低でも二次選考を通過したいです。あと、文藝賞にも応募予定です。商業デビューしたいです。
Q30. 2026年7月に【辺境有機体】というイベントを開催されるそうですが、どんなイベントですか?
A30. ネタバレですね。実は、藤井佯主催の小さな即売会を都内で開催する企画を立てています。今はこの方に、と思った方に水面下でお声掛けしている状況です。文学フリマも良いのですが、見ての通りイベントの規模がどんどん大きくなっていますし、私たちには新しい場も必要だろうと考えてのことです。取り急ぎ、来年7月に藤井が何かたくらんでいるらしい、ということだけ覚えて帰ってください。
『見習い鳥卜』をよろしくおねがいします
ふう〜! いっぱい質問に答えたぜ。少しでも『見習い鳥卜』に関心をお寄せいただければこれほどありがたいことはありません。
えっと、120部刷っていて、増刷は今のところ予定していません(減りが速かったら検討します)。できればお早めにお買い求めいただきたく……!
よろしくお願いします。
最後にポスター貼っておきます。文学フリマ東京41当日は、このポスターが目印です。南3・4ホール「け-27〜28」【鳥の神話】ブースにてお待ちしております! よろしくね〜。ではまた。




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