【実践編】ObsidianとClaude Desktopを連携して執筆の全てをObsidian上で完結させる【創作系Obsidian Advent Calendar2025】

2025-11-29Diaryobsidian,小説

この記事は、創作系Obsidian Advent Calendar 2025 – Adventarの7日目の記事です。
今回私は6日目と7日目を担当し、前後編でお届けします。
昨日【準備編】(13000字)を公開し、今日が【実践編】(32000字)です。よろしくお願いします。

先に【準備編】をご覧になっていただいたほうが何をやっているのかわかりやすいかもしれないので、おすすめです。

!!!!注意!!!!
この記事には、藤井佯『見習い鳥卜 藤井佯短編集』収録の「見習い鳥卜」の重大なネタバレが含まれます。この記事を読んでから「見習い鳥卜」を読む、あるいは読まないことも可能ですが、なるべく「見習い鳥卜」を読み終えてからの通読を推奨します。ただし、この記事を読んでから「見習い鳥卜」を読む場合でも楽しみが大幅に損なわれることはないということは保証します。
また、この記事はどちらかというと「私の創作プロセス」を辿っていく内容になりますので、「見習い鳥卜」の創作プロセスを知りたくない方や、Obsidianの創作への活用についてのみ知りたい方は【準備編】のみお読みいただくのが良かろうと思います。よろしくお願いいたします。

ClaudeとObsidianを連携する

します。創作にAI使わない派のひとはこの記事を読まない方がいいです。

Obsidian MCPサーバーをClaude Desktopで使ってみた | DevelopersIO

この辺の記事を参考に。
すると、こういうことができます。


スクリーンショット 2025-11-29 18.35.18.png

スクリーンショット 2025-11-29 18.35.49.png

ObsidianとClaude Desktopを連携させることで、Obsidian上のノートにClaudeがアクセスできるようになります。これで、執筆した傍から編集者に原稿や構想をチェックしてもらうという環境を仮想的に構築することができます。

私は、自分の小説を書くときにLLMに文章を生成させることはありませんが、編集者のような役割を期待して壁打ちに使用することがあります。そうした活用方法を視野に入れた際に、いちいちテキストをチャット欄にコピペしなくていいのは大変効率的です。

見習い鳥卜、を書く

「見習い鳥卜」という26000字程度の短編小説を構想の段階から執筆までObsidian上で書き上げたときの一連の記録です。
重要な前提として、私は「鳥の神話を伝えます」をコンセプトに小説を書いているということがあります。
ありますので、「見習い鳥卜」という作品にはカラスが登場することだけは最初から決まっていました。

スクリーンショット 2025-11-29 18.40.39.png

最終的に、「見習い鳥卜」のファイルのナンバリングは13まで行きました。ここで「見習い鳥卜」という作品について簡単に紹介しておきます。
この作品は、私の初の短編集『見習い鳥卜』に書き下ろされた表題作です。短編集をつくるにあたって、書き下ろしは入れたいなと思っていたのですが、書き下ろしの内容ではなく、先に「短編集のタイトルは『見習い鳥卜』だ!」と天啓が降ってきて、そこから「ほな書き下ろしのタイトルも「見習い鳥卜」かー」ということになり、外側だけが決まった状態で、中身を考え始めるという制作プロセスをたどりました。

初めは、このような設定でした。

「01_構想.md」

## 決まっていること
タイトル:見習い鳥卜(ちょうぼく)
理想とする読み味:カーレン・ブリクセン「水くぐる人」のような作品、物語が現実と神話を往還する
舞台:工場(なんの?)
話の要素:新入りで入ってきた女性が鳥の占いをする人で、ベテランの中年の女性が彼女に弟子入りする。カラスの雛が工場に迷い込んできて、巣立ちを見守るまでの一週間程度のお話
大事な背景:先日、私の家にカラスの雛が迷い込んできたことがありました。雛は巣立ちの直後で、まだ高くは飛べませんでした。迷子かと思ったのですが、一晩雛がうちのテラスで夜を明かしたのち、親鳥が雛を見つけました。雛は親鳥がいる電線の上まではまだ辿り着けませんでした。私は雛のために最低限のことだけはしようと思い、お水だけあげました。そして、物干し竿などを出してきて、止まり木にできるようにしました。それから雛はそこを安全な場所だと思ったのか、外へと飛び上がることができるようになって昼間のうちは留守にしていても、夜になるとうちのテラスで眠るようになりました。それはたった数日間の出来事でしたし、その後雛は無事に飛び立っていき、もう帰ってはきませんが、その出来事は私に強い印象を残しています。 工場に鳥がいる理由は、はじめ誰かが飼っている設定にしようかと考えていたのですが、カラスの雛が迷い込んできたことにしてもいいかもしれないと思いました。実感を込めて書けますし、なんだか私の経験そのものが「見習い鳥卜」という言葉に響き合っている気がします。

## 決まっていないこと
- プロット
- 登場人物のスケッチ
- 結末

ほとんど何も決まっていないような状況です。

スクリーンショット 2025-11-29 18.45.04.png

Claudeに聞いてみて、まずは下記のように小説世界における状況を整理できました。

太田小夜子という印刷会社に勤めるベテランの社員がおり、かのひとはノンバイナリーかつASDだがそのことに強く困っているわけではない。ある日、新人社員の糸原由良が小夜子が毎日一人で昼休みを過ごしている小夜子のスペースに入り込んでくる。それと同時に、カラスの迷い雛が工場にやってくる。由良がカラスを見て、占い(鳥卜)を行う。小夜子は由良に占いの弟子入りをする。小夜子も由良も創作をしている。あるとき、小夜子は鳥卜に触発されて書いたテキストを由良に見せる。由良は大感激して、小夜子に4時間もその作品の良さを力説する……。

ここまでが初期の構想です。以下は実際にClaudeに送った文面です。

ベテランの中年女性について考えていること。ノンバイナリーであると自認しているが、女性として生まれたことに強い違和を感じているわけではないので性別移行などの手術はしていない。しかし、自分のことを女性とは思っていない。男性とも思っていない。50代で結婚しておらず、工場のパートの多数派は既婚者女性かつ30〜40代なので距離がある。仕事では誰とでもそつなく接するが、孤立している(彼女に攻撃的な人はいないが、輪にはまざっていない感じ)。彼女の人生に欠けているものはあまりない。ノンバイナリーかつアセクシュアルなので恋愛には興味がないし、一人で生きていくことが好き。強いて言えば、パートなのでお金がないがお金がなくても慎ましく楽しく生きる術を心得ている。両親はすでに他界している。趣味について、無趣味なひとにするか、何か趣味を設定するか迷っている。趣味がある場合は、編み物か文芸になる気がしている。趣味を編み物にする場合、クィアやフェミニズムの文脈などが乗ってくる。文芸にした場合、このひとはありえたかもしれない私の姿と重なる(私は28歳既婚者のノンバイナリー・アセクシュアルで小説を書いている)。新人のイメージがまだ固まっていない。不思議とベテランは彼女に惹かれるが、それは性的惹かれではない。工場について。私が実際に働いたことのある工場は、電子部品のピッキング工場(夜勤)、お歳暮を組み立てる工場、工場ではないが配達所での荷物仕分けもやったことある。このなかだと、お歳暮を組み立てる工場が一番話を組み立てやすそうだが、ベストな選択ではないなと思う。カラスの雛が迷い込んでくることができる程度に安全で、小規模な工場である必要があると思っていて、車の出入りなどは多くない方が良く、あるいは裏庭などほとんどひとけのない場所が必要。ベテランが昼休みにいつも過ごす寂れた場所があると良いかもしれない。そこに新人がなぜかやってくる。新人もベテランに安らぎを覚えていて、懐いている。工場のパートは高度な技術を求められすぎないものが望ましい。工場の規模は数十人の従業員がいるくらいが望ましいと思っているが、そうなるとどのような工場があるだろうか。結末のイメージはまだついていないが、カーレン・ブリクセン「水くぐる人」や「不滅の物語」のような読後感を目指したい。不滅の物語のように劇的な展開があってもいいし、水くぐる人のような神話性を帯びた感じにもしたい。見習い鳥卜という言葉は、誰かを指すというよりも宙ぶらりんにして終わりたい感じがある。鳥占いは、実在した職業ではあるが、作中では新人女性が一から自分で考えたもの。実際に占いは実行するが、どちらかというと儀式のようなもので、ウィッチクラフトみたいな感じ。今ようやく気付いたけど、私はおそらく「魔女」という言葉を使わずに現代の魔女の話を描きたいと思っている。

もう一つ重要なことを言い忘れていました。おそらくベテランはASDです。新人女性はASDではないかもしれないけどかなりそれに近い精神性を持っています。ASD者同士は惹かれ合う(と思っている、定型発達者同士が惹かれ合うのと同様に)ので、ベテランと新人女性は惹かれ合うのではないかと思いました。印刷所は良いですね。実はちょっとそれは考えました。少し調べ物をしないと内部を書けなさそうなのだけネックで、それ以外のデメリットがありません。ベテランの趣味について、文芸なのは私としてはわかるけどわからないというか。多分、ベテランは作品をつくったとしても公開しないと思うんですよね。おそらく公募やコンテスト、SNSなどから遠いところにいる気がしていて。私は公募もコンテストもがんがんやるし、人の感想が気になっちゃうタイプなんですが、ベテランは違う気がしてます。ベテランって呼ぶのあれなんで名前つけますね。太田小夜子さん。周りからは太田さんと呼ばれていますが、新人からは仲良くなってきてからは小夜子さんと呼ばれます。小夜子さんは、恥ずかしくて作品を公開しないとかそういうことでもないんです。自分で書いて自分で満足しちゃう。これは小夜子さんの生活全般がそうで、かのひとは自分で自分を満足させる術を知ってしまっているのです。ゆえに安定しています。新人が生活に現れてもそれはあまり変わらないんじゃないかなあと思います。ここが難しいところで、起伏のある物語にはならない気がしているんですよね。ちなみに新人は、糸原由良です。糸原さんは若いです。20代後半。工場に来た理由はまだ思いついていませんが、何か普通のレールから外れてしまった感じはします。おそらく難関大学を卒業していて、一流企業に入社できるだけのポテンシャルはあったと思うし、実際勤務経験があるかもしれませんが、おそらく適応障害などで辞めてしまったのだと思います。本人はさして気にしていません。由良さんは小夜子さんよりもうちょっと活発で派手な感じかも。多分、由良さんも文芸を志していて、でも由良さんは小夜子さんのように一人で満足するのではなくてどんどん作品を世に問いたいタイプでしょうね。アーティスト仲間とシェアハウスをしています(男女混合)。というか、おそらくこの二人は私の分身ですね。小夜子さんはありえたかもしれない私の姿で、由良さんと私の状態はかなり近いです(異なるのは由良さんは未婚であること、シェアハウス暮らしなことでしょうか)。なんの創作をしているかを決めなければなりませんね。由良さんは小説をやっていて、小夜子さんは詩をやっている。小夜子さんの詩は五七五なんですけど、季語とか含まない、俳句に含めてもいいのか悩むような句をつくっている。
カラスの雛の巣立ちはクライマックスの少し手前のイメージです。まだクライマックスで何が起こるかはわからないのですが。事件も起こるかわかりません。日常の中に神話が滲み出してくる感じだと思います。ほかの従業員はあまり描かれないと思います。おそらく小夜子さんがあまり従業員のこと見ていないので。視点は迷っているのですが、小夜子さんの一人称か、小夜子さん寄りの三人称かなと思っています。この物語で一番大切にしたい瞬間は今の時点でイメージにないです。しかし、小夜子さんと由良さんが通話するシーンをいれたいです。小夜子さんが初めて自作を見せるのが由良さんなのですが、由良さんが興奮して電話をかけてきて、作品についての感想を4時間くらい喋ります。
私はこの作品で何を書きたいんでしょうかね。

こんな感じで、ひたすら自分の思いついたことをつらつらとClaude相手に壁打ちしていきます。Claudeは基本的に、私が考えていることを先取りして整理して提示してくれるだけなので、思考を誘導されているという感覚はあまりありません。むしろ、Claudeが当たり障りのないことを言うと、それに触発されて「それは違くて〜」とアイデアが膨らむことが多いです。

ありがとうございます、おそらくその通りで、私は変わらないことを肯定したいのかもしれません。分かり合えるけど変わらないというのはしっくり来ました。電話のシーンも、おそらくそういうトーンになるはずで、小夜子さん自体は「もっと書こう」とか「公開しよう」とはならないと思うし、由良さんも「公開したほうがいい」とは言わない気がします。このシーンはおそらく中盤ですね。どんなきっかけかはまだ判然としていないのですが、鳥占いが関わっていると良さそうですね。カラスの雛をテーマとした連作かもしれません。カラスの雛を観察していて思いついた句たちをまとめたものです。
カラスの雛の巣立ちは、私にとっては喪失ではありませんでした。成就でもありませんでした。あるべきものがあるべき場所へ収まることの奇蹟を言祝ぐ感覚でしょうか。大げさに感動するのでもなく、ただそうあることに深い充足感を覚えるような感じです。
いま印刷所の仕事を少し調べていたのですが、由良さんは製本、小夜子さんは表紙を糊付けする工程を担当していることにしようかなと思います。ちなみに印刷所は四六時中機械の音がしてうるさいので小夜子さんはベテラン特権で耳栓をしています(表紙を糊付けする機械は、糊づきをよくするために背を軽く削る工程があるらしくうるさいそうです)。昼休みに出会う場所ですが、古い機械が放り込んである使われなくなった作業場ですかね。ガラスがサッシごと外されていて吹きさらしになっています。半分外みたいな感じです。
鳥卜について。なんでも占えます。タロットリーディングみたいなもので、飛ぶ方向、高さ、飛び方、鳴き声、鳴いた時間、止まった枝の方向などなんでも使います。何を占うのかはまだ考えられていません。多分そんな大きなことは占わないと思います。カラスの雛の動きに解釈を加えていく感じですね。
書きたいことのまとめありがとうございます。その5つに加えて「変わらないことの肯定」を書くのだということ、しっくりきました。この作中での鳥卜は当たる/当たらないではなく、それによりどう行動を変容させるかに主眼を置くものなので(タロットリーディングと同様)、おそらく当たったかどうかがわからない感じになると思います。印刷所で印刷されているものは、中綴じ製本の冊子が多いと思うのですが、具体的にどんなものかは思いつかず……おそらくBtoBの企業だと思うのですが、どんなものを印刷するんですかね。物語の季節ですが、9月ごろ、夏の終わりあたり、涼しくなりはじめるころにしたいです。これは私の家にカラスの雛が迷い込んできたのが季節外れの9月ごろだったからです。一週間の時間の流れは流動的に書くつもりです。
ここまで考えてみて、全然話の流れが思いつかないですね。起承転結らしいものがなさそうな物語なので仕方がないとはいえ……。小説って、はじめとおわりとで何かが変化していることを強いてくる力があるじゃないですか。多分、それに抗いたい気持ちがあるのですが(鳥の神話というのはそういうものなので)、いざそれを実行しようとすると、取っ掛かりがなさすぎて難しいですね。
ありがとうございます。始めから終わりまで小夜子さんの視点でいいかなと思っています。入る→いる→出るという流れはその通りだなと思いました。最初の会話は、おそらく切り出すのは小夜子さんな気がしています。物語の終わりはまだ想像がついていないです。カラスの雛が迷い込んでくるのは比較的すぐだと思います。というか、由良さんが来たころにはもういるんじゃないかなと思います。
この小説は純文学に分類されるものなのだと思いますが、純文学の書き方って確立されていないですよね(エンタメ度合いの強い小説と比較して)。この小説の書き方ってどう掴んでいくのがいいと思いますか。たとえば、工場の様子や由良さん、小夜子さんの様子などをスケッチして掴んでいくとかは効果的なのかなと思ったのですが、それ以外に小説を立ち上げる方法として知られているものがあれば教えてください。

## やるべきこと
小夜子さんの詩を先に書く→カラスの巣立ち、五七五、20句くらい実際につくってみるか?
雛の観察記録→鳥卜に必要な要素をピックアップする。羽の落ち方、糞の落ちた場所、止まった方向、飛んでいった方向、鳴いた時間、羽繕いした時間
冒頭の1ページを考える→由良さんとの最初の会話を書く
核を言葉にする→あるべきものがあるべき場所へと収まることの奇蹟を言祝ぐ、変わらないまま共鳴する
読みたい小説の想像→カーレン・ブリクセンを読んだときのような読後感、神話や寓話と現代的なモチーフが混ざり合った独特の読み味
電話のシーンから書く(これはどうかな、スケッチという点ではいいかもだけど、冒頭から流れをつくりたいのであとで繋ぎ合わせるのは難しいかも

……。
ここまでやりとりをして、私は限界を感じました。
書けないのです。
小夜子を視点にしようとすると、全く書けない。
本当に手が止まる。頭が真っ白になる。

しかし、なんとか食らいつかなければなりません。ここまでのやりとりを、Claudeにサマリーとしてまとめてもらいました。

「02_サマリー.md」

# 見習い鳥卜 - サマリー

## 作品の核心
- **タイトル**: 見習い鳥卜(ちょうぼく)
- **字数**: 1万字以上4万字以下程度
- **位置づけ**: 短編集の書き下ろし作品、表題作
- **理想とする読み味**: カーレン・ブリクセン「水くぐる人」「不滅の物語」のような、物語が現実と神話を往還する作品
- **テーマ**: 「変わらないことの肯定」「魔女という言葉を使わずに現代の魔女の話を描く」

## 書きたいこと(5つの軸+1)
1. 二つの「見ること」の並走:小夜子さんの詩、由良さんの鳥卜と小説
2. 孤独と共鳴:一人で満足する小夜子さんと、世に問いたい由良さん
3. 見習いであり続けること:誰もが何かの見習いであり続ける。完成しない、到達しない。でも、それでいい
4. 日常の中の神話性:工場という日常的な場所に、カラスの雛という非日常が迷い込む
5. ASD的な世界の見方:定型発達の物語ではない、ASD者同士の静かな共鳴
6. **変わらないことの肯定**: 分かり合えるけど変わらない。物語を経験すること自体が儀式のように機能する

## 登場人物

### 太田小夜子(おおた さよこ)
- **年齢**: 50代
- **属性**: ノンバイナリー、アセクシュアル、ASD
- **性自認**: 女性として生まれたことに強い違和はないが、自分のことを女性とも男性とも思っていない
- **生活**: 未婚、両親は他界、一人暮らし
- **性格**: 自分で自分を満足させる術を知っている。ゆえに安定している。お金がなくても慎ましく楽しく生きる術を心得ている
- **趣味**: 詩作(五七五、季語なし。俳句に含めていいか悩むような句)。自分で書いて自分で満足する。公募やコンテスト、SNSから遠い
- **工場での立ち位置**: 工場のパートの多数派は既婚者女性かつ30〜40代なので距離がある。誰とでもそつなく接するが孤立している(攻撃的な人はいないが、輪には入っていない)
- **仕事**: 表紙を糊付けする工程を担当。ベテラン特権で耳栓をしている(機械が背を軽く削る工程があり、うるさいため)
- **呼ばれ方**: 周りからは「太田さん」、由良からは「小夜子さん」
- **昼休み**: 使われなくなった作業場(ガラスがサッシごと外されて吹きさらし、古い機械が放り込んである半分外のような場所)で一人で過ごす
- **作者との関係**: ありえたかもしれない「私」の姿

### 糸原由良(いとはら ゆら)
- **年齢**: 20代後半
- **属性**: ASDではないかもしれないがかなりそれに近い精神性
- **背景**: 難関大学卒業、一流企業に入社できるポテンシャルがあり実際勤務経験があるかもしれないが、適応障害などで退職。本人はさして気にしていない
- **性格**: 小夜子さんよりも活発で派手。小夜子さんに懐いている。小夜子さんの静けさ、輪の外にいる佇まいに共鳴している
- **生活**: 未婚、アーティスト仲間と男女混合のシェアハウス暮らし
- **創作**: 小説を書いている。小夜子さんのように一人で満足するのではなく、どんどん作品を世に問いたいタイプ
- **鳥卜**: 自分で一から考えた儀式的な占い。ウィッチクラフト的。タロットリーディングのように、飛ぶ方向、高さ、飛び方、鳴き声、鳴いた時間、止まった枝の方向などを使う。当たる/当たらないではなく、それによりどう行動を変容させるかに主眼
- **仕事**: 製本を担当(新人)
- **呼び方**: 小夜子さんのことを「小夜子さん」と呼ぶ
- **作者との関係**: 作者の状態にかなり近い(異なるのは未婚であること、シェアハウス暮らしなこと)

### カラスの雛
- 工場に迷い込んでくる
- 巣立ちの直後で、まだ高くは飛べない
- 親鳥が見つける
- 一週間程度、工場の使われなくなった作業場で過ごす
- 最終的に巣立っていく
- **作者の実体験**: 2025年9月頃、作者の家にカラスの雛が迷い込んできた。作者と夫は水をあげ、物干し竿を止まり木にした。雛は数日間テラスで眠り、その後飛び立っていった

## 舞台

### 印刷所
- **規模**: 数十人の従業員がいる小規模なBtoB企業
- **印刷物**: 中綴じ製本の冊子(企業の社内報、展覧会パンフレット、小ロットの記念誌、詩集や小冊子の自費出版なども請け負う)
- **音環境**: 四六時中機械の音がしてうるさい
- **構造**: カラスの雛が迷い込める程度に安全で、車の出入りは多くない。裏庭やほとんど人気のない場所がある
- **使われなくなった作業場**: ガラスがサッシごと外されて吹きさらし。古い機械が積まれている。半分外のような場所。小夜子さんが昼休みにいつも過ごす場所

## 物語の構造

### 時間軸
- **期間**: 一週間程度
- **季節**: 9月頃、夏の終わり、涼しくなり始める頃
- **時間の描き方**: 流動的(日ごとの章立てではない)

### 構造:「入る→いる→出る」
- **第一部:入る**(2日目くらいまで)
  - 由良さんが印刷所に入ってくる
  - 小夜子さんの「場所」に由良さんが入ってくる
  - カラスの雛が迷い込んでくる(由良さんが来た頃にはもういる)
  - 三つの「入る」が重なる

- **第二部:いる**(3〜5日目くらい)
  - カラスの雛を見守る日々
  - 由良さんが鳥卜を始める
  - 小夜子さんが詩を書く(カラスの雛をテーマにした連作)
  - 二人の会話、沈黙、並走
  - 「いる」ことの充足

- **第三部:出る**(6〜7日目と、その後)
  - カラスの雛が巣立つ(クライマックスの少し手前)
  - 小夜子さんが由良さんに詩を見せる(中盤)
  - 由良さんからの4時間の電話
  - そして、また日常に戻る(でも、少しだけ違う)
  - 「出た」後の余韻

### 視点
- **一貫して小夜子さんの視点**(一人称か、小夜子さん寄りの三人称)
- 小夜子さんがあまり従業員を見ていないので、他の従業員はあまり描かれない

### 重要なシーン
- **小夜子さんと由良さんの最初の会話**: おそらく切り出すのは小夜子さん
- **小夜子さんが由良さんに詩を見せる**: カラスの雛をテーマにした連作。きっかけは鳥占いが関わっているかもしれない。中盤に配置
- **由良さんからの4時間の電話**: 由良さんが小夜子さんの詩を読んで興奮して語る。小夜子さんは静かに受け止める。小夜子さんは「もっと書こう」「公開しよう」とはならない。由良さんも「公開したほうがいい」とは言わない

### 読後感
- カラスの雛の巣立ち:喪失でも成就でもない。「あるべきものがあるべき場所へ収まることの奇蹟を言祝ぐ感覚」。大げさに感動するのでもなく、ただそうあることに深い充足感を覚える
- ブリクセン「水くぐる人」「不滅の物語」のような神話性と余韻
- 「見習い鳥卜」というタイトルは誰かを指すのではなく宙ぶらりんにして終わる

## 今後しなければならないこと

### 【優先度:高】まず取り組むこと
1. **小夜子さんの詩をつくる**: カラスの雛をテーマにした五七五(季語なし)の連作。小夜子さんの声とリズムを掴む
2. **カラスの雛の観察記録を書く**: 作者自身の実体験をもとに、雛の動き、鳴き声、親鳥の様子などを記録
3. **冒頭の1ページを何度も書き直す**: 小夜子さんの日常から始まる。文体のリズムと呼吸を掴む
4. **由良さんとの「最初の会話」を書く**: 二人の関係性の始まり。どんな間があるか、何について話すか

### 【優先度:中】その後考えること
5. **物語の「終わり」の風景を想像する**: カラスの雛が巣立った後、小夜子さんは?由良さんは?
6. **クライマックスを探る**: カラスの雛の巣立ちの少し後に何が起こるか(あるいは起こらないか)
7. **一週間の時間の流れを設計する**: カレンダーを作る。何が起こるか(起こらないか)を書き出す
8. **重要なシーンの断片を書く**: 4時間の電話、鳥卜のシーン、詩を書く場面など

### 【優先度:低】補完的に考えること
9. **印刷所の具体的な様子をリサーチする**: 製本作業、表紙の糊付け、機械の音など
10. **「半分外」の場所を探す・訪れる**: 使われなくなった作業場のイメージを固める
11. **タイトル「見習い鳥卜」の扱い**: 作中で言及するか、あくまで読者に向けた言葉か
12. **他の従業員の存在感**: 背景としてどの程度描くか

## メモ・気づき

- 起承転結的な「変化」ではなく、「通過すること」自体が物語になる
- 小説は「はじめとおわりで何かが変化する」力学を持つが、それに抗いたい。しかし難しい
- 変化しないことを書くことは、変化を拒否するのではなく、別種の変化を描くこと
- 最初と最後で変わるのは、読者の視点かもしれない。「何も起こらない日常」が「神話的な時間」として立ち上がってくる
- 小夜子さんと由良さんは作者の分身。二人の創作者が、変わらないまま共鳴する物語
- ASD者同士は惹かれ合う(定型発達者同士が惹かれ合うのと同様に)。しかし性的惹かれではない

## 参考作品
- カーレン・ブリクセン「水くぐる人」
- カーレン・ブリクセン「不滅の物語」

とりあえず、Claudeの言う通り、スケッチから始めてみることにしました。「03_スケッチ.md」を作成。

## 小夜子さん視点の冒頭
 釣り合いというものがあると小夜子さんは思っている。印刷所はいつでも音に溢れている。紙の束を整えるための機械、製本する機械、表紙を貼り付けるための機械、音、音、音。しかし人の声よりは幾分悪くないもので、小夜子さんは耳栓をすることも許されていたから、ただ目の前のことに集中するだけで良かった。工場にはたくさんの人がいるけれど、小夜子さんはいつも一人だった。孤独とも孤立とも少し違う、ただ輪のなかにいないというだけ。村があったとして、村外れになんでも屋さんが住んでいる。なんでも屋さんは村の一員とは認められていないが、いざというとき村の皆はなんでも屋さんを信頼して問題を解決してもらう。小夜子さんはそれに近い立ち位置をこの印刷所で獲得していた。そう、釣り合い。小夜子さんは昼休み、いつも工場のはずれで過ごす。そこは、もう動かなくなった機械たちが最後に行き着く場所で、もう使われていない作業場だった。物言わぬ機械たちに囲まれ、窓はサッシごと外されて風が屋内へとするすると流れ込む。小夜子さんはここにある機械のことを、第二の人生とか、来世とかを過ごしている、それで動かないでいることを選んだだけだと思っている。小夜子さんはいつも手作りの弁当を持ってきている。定位置があって、作業場の奥まった場所に机と椅子があったので、そこだけ埃一つ落ちておらず、綺麗にされている。

## 由良さん視点の冒頭
 最初は、この機械に巻き込まれて自分の身体がばらばらにされてしまうことを考えていた。製本する機械に私がしてやれることは、紙を正しい順番で並べて置いてやることだけ。大きな生き物にごはんを与えている気分になる。だから、噛まれないか心配だった。しかし、少しずつ慣れてくると身体がその動きそのものになって、速さが心地よくなってくる。速いのだけど、遅い。あっという間に糊付けされて、一枚一枚の紙だったものが本の形になって飛び出てくる。このポジションが新人に与えられるべきレベルの場所なのかどうかは正直よくわからなかった。熟練の技術が必要とされそうでも、誰でもできる仕事でも、どちらでもある気がした。13時になるとベルが鳴る。印刷所内はいつでもうるさいから、それを上回るけたたましさで、鳴る。そうすると、一時間私たちは散り散りになる。いや、散り散りになるのは私と太田さんだけ。他の皆は休憩室で固まって昼食を食べるのだっけ。職場の人たちは優しい。いれば話す程度。でも、私は従業員の中ではダントツで若かったから、なんとなく輪に入るのはやめておこうという気が働いた。昼食を食べるのにちょうどいい場所はまだ見つけていない。太田さんは休憩時間になるといつもふらりと消えてしまうので、外にでも食べに行っているのだろうかと思っている。しかし一時間の休憩にそこまでする元気は私にはないのだった。出勤前に適当に買ってきたコンビニ弁当が、所在なさげにぬるい臭いを発していた。

明らかに、小夜子視点の文体がぎこちないです。由良の方がいきいきと書けています。つまり、この時点で「私には小夜子が書けない」ことがはっきりとしてしまいました。

なぜ小夜子が書けないのか

自分に近すぎると同時に遠すぎる人物だからだと思います。小夜子の声が全く聞こえないのです。
困った……。
私はしばらくどうするか考えて、信頼する友人に相談することにしました。その友人は、かつて、どこにも公開していない詩を私だけに読ませてくれました。その詩のことを、私は「見習い鳥卜」のことを考える間ずっと思っていました。きっと、小夜子が由良に見せるテキストというのはこれのことだろうと思いました。小夜子は私にとって完全なる「他者」でした。だから、見習い鳥卜のなかに作中作(小夜子が書いた作品)があるとするなら、それは他者の作品でないといけないと思いました。

こうして「04_依頼.md」が作成されました。

お願いしたいこと
- ◎◎さんの詩「◎◎◎◎」を「見習い鳥卜」の作中に、作中人物がつくった詩として引用したい
- 作品外(たとえばあとがきか作品の末尾など)にクレジットする

見習い鳥卜の内容
- 舞台は印刷所のもう使われていない作業場、登場人物たちは昼休みそこで過ごしている
- 作業場は窓がサッシごと外れていて半ば屋外になっており、そこに季節外れのカラスの雛が迷い込んでくる
- 登場人物のうち一人・糸原由良がカラスの雛を「鳥卜」する。「鳥卜」は彼女自身が一から考えた儀式的な占い。ウィッチクラフトに近い。タロットリーディングのように、鳥の飛ぶ方向、高さ、飛び方、鳴き声、鳴いた時間、止まった枝の方向などを使って何かを占う。当たる/当たらないではなく、それによりどう行動を変容させるかに主眼を置く。
- もう一人の登場人物・太田小夜子はそれを興味深く見ている、由良の話を聞く側。
- 糸原由良と太田小夜子は方向性は違えど、文芸とかかわりがある。小夜子は詩を書いているが、書いて自分で満足するだけで作品を公に出すことはしない(由良には見せてくれる)。由良は小説を書いており、小夜子のように一人で満足するのではなく、どんどん作品を世に問いたいタイプ。
- 下記登場人物概要の通り、小夜子と由良はそれぞれ「ありえたかもしれない私」「私に近すぎる存在」である。
- 作中のどこかのタイミングで、小夜子がカラスの雛に触発されて詩を書き、それを由良に見せてくれる。その詩はおそらく私には書けない。小夜子は私にとって「謎」であり、謎の人物が書く作品を自分で書くことは原理的に不可能。
- 興奮した由良は、退勤後に小夜子に電話?もしくは対面で感想を数時間語る。小夜子は静かに受け止める。その上で小夜子は「もっと書こう」「公開しよう」とはならない。由良も「公開したほうがいい」とは言わない
- 作中のタイムラインとしては、「入る」→「いる」→「出る」になると思っているが、カラスの雛が巣立って以降のオチはまだ思いついていない。
- まだ一文字も書いていない(スケッチ的に冒頭の試し書きしかしていない)ので、書き上げるまでどういった作品になるのかがわからない。

当初の構想
- 「見習い鳥卜」というタイトル通り、小夜子が由良の鳥卜に弟子入りする話になると思っていた。その場合、視点人物は小夜子だろうなと。しかし、小夜子が「謎」すぎるため、小夜子視点で書くことが不可能。由良視点に切り替える必要があると感じている。

登場人物概要
太田小夜子:
- **年齢**:50代
- **属性**:ノンバイナリー、アセクシュアル、ASD
- **性自認**:女性として生まれたことに強い違和はないが、自分のことを女性とも男性とも思っていない
- **生活**:未婚、両親は他界、一人暮らし
- **性格**:自分で自分を満足させる術を知っている。ゆえに安定している。お金がなくても慎ましく楽しく生きる術を心得ている
- **趣味**:詩作。自分で書いて自分で満足する。公募やコンテスト、SNSから遠い
- **工場での立ち位置**:工場のパートの多数派は既婚者女性かつ30〜40代なので距離がある。誰とでもそつなく接するが孤立している(攻撃的な人はいないが、輪には入っていない)
- **仕事**:表紙を糊付けする工程を担当。勤務中は耳栓をしている(本に表紙をつける機械で冊子の背を削る工程があり、うるさいため)
- **呼ばれ方**:周りからは「太田さん」、由良からは「小夜子さん」
- **昼休み**:使われなくなった作業場(ガラスがサッシごと外されて吹きさらし、古い機械が放り込んである半分外のような場所)で一人で過ごす
- **作者との関係**:ありえたかもしれない「私」の姿

糸原由良:
 **年齢**: 20代後半
- **属性**: ASDではないかもしれないがかなりそれに近い精神性
- **背景**: 難関大学卒業、一流企業に入社できるポテンシャルがあり実際勤務経験があるかもしれないが、適応障害などで退職。本人はさして気にしていない
- **性格**: 小夜子さんよりも活発で派手。小夜子さんに懐いている。小夜子さんの静けさ、輪の外にいる佇まいに共鳴している
- **生活**: 未婚、アーティスト仲間と男女混合のシェアハウス暮らし
- **創作**: 小説を書いている。小夜子さんのように一人で満足するのではなく、どんどん作品を世に問いたいタイプ
- **鳥卜**: 自分で一から考えた儀式的な占い。ウィッチクラフト的。タロットリーディングのように、飛ぶ方向、高さ、飛び方、鳴き声、鳴いた時間、止まった枝の方向などを使う。当たる/当たらないではなく、それによりどう行動を変容させるかに主眼
- **仕事**: 製本を担当(新人)
- **呼び方**: 小夜子さんのことを「小夜子さん」と呼ぶ、小夜子も途中から「由良さん」と呼ぶ
- **作者との関係**: 私の状態にかなり近い(異なるのは未婚であること、シェアハウス暮らしなこと)

この作品を構想するうえで暴かれていったこと
- 私の中で、作品をつくっているけれどそれを公開しないひとは「謎」であり「他者」であり、羨ましくもあり、畏怖すらある存在であるということ。私は由良に近いので、小夜子のことがわからない。
- 小夜子の声が聞こえない。自分に近い属性の人物であるはずなのに、小夜子視点では書けなかった。
- ここまで話の流れが見えない作品は久々。しかし、だからこそ書き上げねばならないという直感がある。多分、何か大きなものに触れようとしている。
- 小夜子は私のなかで必然的に詩を書いており、その詩を書くことは私にはできない。しかし、どんな詩かと考えると、迷わず「◎◎◎◎」だと言える。
- 「◎◎◎◎」は私にとって謎であり、出所がわからない(おそらく◎◎さんにとってもそうかもしれないが)。
- おそらく、◎◎さんも私にとって「謎」なんだと思う。由良と小夜子の関係とパラレルに(私の中では)なってしまっている。
- つまり、この作品を書きたいのは私が「謎」を観察することを欲しているからであると推察できる(解くことはおそらくできない)。
- しかし、「◎◎◎◎」はこれまで公開されてこなかった詩であり、「見習い鳥卜」のなかで仮にその詩を掲載してしまうとそれは公開された詩になってしまう。この暴力性の前に私は立ちすくむことしかできずにいる。
- 単純に、「◎◎◎◎」は単体で味わうべき詩なので、作中に登場させると変な文脈が乗っかってしまい、それは「◎◎◎◎」に対する冒涜なのではないかという気もする。
- あと、シンプルにこれって失礼なことを言っているのではないかと怖いのだが、確信が持てずにいる。私にはこの依頼が失礼にあたるのかどうかを判断できる心がない。
- 全体的に混乱している。

今後の流れ
ケース①:「見習い鳥卜」に「◎◎◎◎」を引用してよい場合
- 全力で書く。それ以外に私にできることはない。
ケース②:「見習い鳥卜」に「◎◎◎◎」を引用しない場合
- まず、本当に「小夜子の作品」の掲載が作品にとって必要かどうかを見極める。必要ないようであれば、小夜子の詩は載せずに書き切ってみる。作品がどうしても必要だと判断した場合は、なんとかする(たとえばAIに詩を生成させてみて、理解できないと思える作品があればそれを採用するなど)。あるいは、すべての構想を白紙に戻す。

友人は、この大胆な依頼にも快く応じてくれました。しかし、それは決してかのひとの作品を引用するという形ではなく、一緒にこの作品について考えるということによって。かのひとと私は、数時間ほど通話をしました。

「05_会話.md」

この会話ログはこの記事には掲載しませんが、おおむねこのようなことを指摘されました。
・いま藤井さんは20代だが、50代のひとって書けますか? →年齢の違いって実はすごく難しい、書けないと思うと言われた、そして、私自身も書けないと思った
・いくつか「◎◎◎◎」を活用する案を提案していただく →プランA:読後感から逆算して自分で作品をつくる。プランB:「◎◎◎◎」をAIに食わせてみて改稿する。プランC:「◎◎◎◎」をそのまま使う、多分無理。「◎◎◎◎」の持つ特性によって、作中に引用すると無駄な文脈が乗ってしまうことは必然であるため

そして、重要な指摘をいただきました。

・見習い鳥卜の登場人物は「過去の藤井佯(作者)」と「現在の藤井佯」であるということ
・過去の藤井佯から、現在の藤井佯からしたら意味不明なきらめきを取り出す必要があるということ
・手がかりは、過去に書いた作品にあるということ

そこでようやく、私は過去に書いた「托卵」という小説を思い出しました。
この作品は、私が藤井佯として活動しはじめてから初めて書いたもので、当時主宰していた同人の文芸誌『異界觀相 vol.1』(現在は絶版)に掲載されました。しかし、私は未だになぜ「托卵」が書けたのか自分でもわかりませんでした。

「見習い鳥卜にとって、この短編集は見習い鳥卜でなければならないし、見習い鳥卜が載らないといけないし、見習わなければならないし、見習われる側は霊感者でなければならない」

友人はこう言いました。そして、このように続けました。

自分が他者を演じて、他者に驚かないといけないという状況は必須だという状態のとき、概ね四つの選択肢がある
・別の人間を召喚する(私が当初想定した案)
・AIつかう(次点の案)
・過去の自分を参照する(おそらく私がしなければいけないこと)
・変性意識状態を使う(ODとかね)
「見習い鳥卜」は構造的にどれかを迫られている

私のやらなければならないことが確定した瞬間でした。
友人は、まず精神状態を安定させてから、楽な範囲でコンセプトを伸縮させてみて、元気になってから書くようアドバイスをくれました。感謝してもしきれません。私は大きな勇気をもらって、その日はゆっくり休んだのでした。

「06_佯々.md」については飛ばします。佯々というのは、私の文体を学習させたローカルLLMのことで、佯々にいろいろ出力させてみて試行錯誤したのがこのノートです。特筆すべきことは特になかったです。
そして、ノートはついに7つめに。

「07_思索.md」

## 短編集『見習い鳥卜』の構造の整理
- 藤井佯が「鳥の神話を伝えます」をコンセプトに小説を書き始めてから初めての、人生で初めてつくる自選短編集
- 「見習い鳥卜」というタイトルは霊感的に決定された
- 表題作は「見習い鳥卜」になる予定で、これは他の収録作と異なり唯一の書き下ろしである

## 収録作「見習い鳥卜」の構造の整理
- 藤井佯が執筆する書き下ろし作品
- 『見習い鳥卜』というタイトルの短編集のために書かれ、収録される
- 作中に師弟関係が存在する
- 師弟はともに書き手であり、二人とも作中で文章を書ける人であり、別の意味で二人とも書き手・藤井佯でなければならない
- 師匠は現在の藤井佯であり、弟子は過去の藤井佯である
- 弟子が、師匠に「こんなのが書けた」と無表情で作品を提示してくる。それが作中作になる
- 師匠は弟子の作品を理解できてはいけない、しかし素晴らしいと言わなければならない
- 見習わなければならないし、見習われる側は霊感者でなければならない

## 作中作「見習い鳥卜」の構造の整理
- 弟子が書いた(というたてつけで藤井佯が過去の藤井佯のきらめきを再現して書いた)作品である
- 短編集『見習い鳥卜』の収録作との関係を意図的に選択する必要がある。つまり、収録作(過去の藤井佯が書いた作品)に似せるか、まったく似せないかのいずれか
- それをふまえて、いくつかの選択肢がある
- ひとつめは、「托卵」という初期の藤井佯の作品を400字程度にリライトして作中作「見習い鳥卜」とする案
- ふたつめは、短編集『見習い鳥卜』の他収録作をコラージュする形で再構成して作中作「見習い鳥卜」を400字程度で完成させる案
- ひとつめの案のメリットは、成功すればとてつもなく強力なこと。デメリットは、元の「托卵」が4万5千字あるのでこれを400字程度にリライトして同じ読み味にすることが至難の業であること。
- ふたつめの案のメリットは、成功すればサービス精神旺盛でかつ実行する意味がある取り組みであること。デメリットは、師匠はそれを見て「感動しなければならない」ため、工夫なしに実行すると作者・藤井佯の「うぬぼれ」がノイズになってしまい、うぬぼれという精神性をどの段階においても矛盾なく解決する必要があること

## 藤井佯初期作品「托卵」について補足
- 藤井佯が藤井佯であることを自覚してから初めて書いた作品
- 自主制作の文芸誌に掲載した4万5千字の作品
- 藤井佯は、この作品以降4万5千字を超える字数の作品を書けていない(もっと字数の短いものばかり書いている)
- 現在の藤井佯は、この作品がなぜ書けたのか「わからない」
- 現在の藤井佯は、この作品を「解き直す」ことによってでしか、中編・長編を書けないのではないかと感じている

## 書き下ろし作品「見習い鳥卜」について
- これまで藤井佯はあの手この手で「人間」を書くことを避けてきたが、この作品においては「人間」を書くことをおそらく避けられない
- 師匠である「現在の藤井佯」の分身である人物を視点人物に据える予定である。なぜなら、弟子である「過去の藤井佯」の分身である人物については、現在の私からは「謎」であるため。弟子が何を考えているのかわからない
- この作品は、5万字程度で書き上げることが理想だが、現実的に可能かはわからないし、締切が迫っているので必須ではない
- 5万字程度が理想である理由は「托卵」が4万5千字だから。過去の藤井佯を超える一つの手段が、4万5千字以上書くことだから
- 話の筋はほとんど定まっておらず、先に「師匠」と「弟子」を出すことだけが決まった。師匠は鳥卜をする。迷い込んできたカラスを二人は鳥卜をしながら見守り、巣立ちを見届ける。師匠は弟子に鳥卜を提示し、弟子はそれを独自に解釈する
- 師匠も弟子も書き手であり、それはお互い既知の事実である。師匠は作品を世に問うことを目指しているが、弟子は書けたら自分で満足して作品を公開することはない。物語のどこかのタイミングで、弟子は師匠にできた作品を見せてくれる。師匠は弟子の作品に驚愕するが、それによって劣等感を覚えることはない。ただ素直に感動する。そして、「公開したほうがいい」「もっと書いた方が良い」などといった声かけもしない。弟子の方も、師匠の反応を見て「もっと書こう」などとは思わない。何かは変化するのだろうが、それは目に見える変化ではない。

こうして自分の現在地を確認していると、ふと「このように話を変えたらいいのではないか」というアイデアが降ってきました。

## ジャストアイデア
- 収録作「見習い鳥卜」自体をある種の「托卵」のリライトにする。作中作「見習い鳥卜」は短編集『見習い鳥卜』の収録作を意識した作品にする
- 舞台は大学のキャンパスにする。学生数の多い総合大学。ひとけのないほとんど人の来ない場所がある(要検討)。そこに師匠(ここからは「糸原由良」とする)がやってくる。由良は昨年在学中に小説の新人賞を受賞し商業デビューしている。その場所を見つけたとき、そこにはカラスの雛が迷い込んでいた。そこは空の遠い場所で、一度そこに迷い込むと飛ぶ力が十分に身に付くまでは脱出が困難に思われた。カラスの雛をしばらく観察していて、由良はとある思いつきを実行することにする。持ち歩いていたノートに、カラスの雛を観察したうえで「鳥卜」を実行するメモを書き込む。「鳥卜」は由良がその場で思いついて深めていった「自分で一から考えた儀式的な占い。ウィッチクラフト的。タロットリーディングのように、飛ぶ方向、高さ、飛び方、鳴き声、鳴いた時間、止まった枝の方向などを使う。当たる/当たらないではなく、それによりどう行動を変容させるかに主眼を置いたもの」だった。そして、誰も来ない場所だからと由良は防水袋に入れてノートをその場所に放置する。次の日カラスの様子を見に来ると、カラスの雛はまだそこにいて、ハアハアと荒い呼吸をしているので由良は水を与える。餌を与えてしまうとなついてしまい巣立ちができなくなるかもしれないと考えて、由良は餌などは与えないことにする。そうして、置きっぱなしにしていたノートを開くと、そこには「鳥卜」の続きが書かれていた。由良の「鳥卜」を解釈したうえで、新しい解釈をふまえて実施した「鳥卜」のメモ。由良は驚きつつも、楽しくなって、再び「鳥卜」の結果をノートに書き込む。そうして、しばらくは由良と、見知らぬ誰かとの「鳥卜」の交換日記が続いていく。由良はいつも夕方、授業の終わりごろにその場所で過ごしていたが、あるとき思い立って(ここはあとでしっかりした理由を考えたい)早朝にその場所に行く。すると、そこにカラスの雛だけでなく先客がいることに気付く。そこで、鳥卜を書き足していた張本人「太田小夜子」にようやく出会うことになる。由良は小夜子に直感的に惹かれ、その後は小夜子のいる時間にその場所に遊びに行くようになる。小夜子も由良を受け入れ、ふたりはカラスの巣立ちを見守りながら「鳥卜ノート」を書き足していった。なんとなく、鳥卜ノートはその場所から持ち出してはいけないような気がして、由良は鳥卜ノートを手書きで別のノートに写し始める。小夜子はそれを見ているだけで何もしない。カラスの雛は少しずつだが成長していき、次第に高く飛べるようになる。そろそろ巣立ちできそうだと二人は語らい、そのタイミングで、小夜子は由良に自身の書いた小説を見せる。小説は400字程度で短く完結している。由良は衝撃を受ける。レベルが違うというのではなく、完全に違う場所にいる。どちらが上下とかではなく、ただ違う。小夜子は由良のように世に出ることを望んでいないことは由良にもわかるし、これは世に出るべきではないとすら思う。それくらい、完璧な作品だった。小夜子があげるというので、由良はその作品が印刷された紙を大切にしまう。小夜子のことを神々しく思う。次の日、カラスが巣立っていた。由良と小夜子はその瞬間を見逃す。しかし、雛の羽が一枚落ちており、それを由良は「鳥卜ノート」の最後のページに挟み込む。由良たちはその場所以外でも会うようになる。この続きはまだわかれない。二人が別れることは確実にない。どこで終わればいいのかわからない。
- おそらく、由良は小夜子から作品を見せられたあと、いてもたってもいられなくなり、その晩になにがしかの作品を書き上げると思います。そして、その作品は由良にとって初めて「誰にも見せない作品」になる。これは小夜子にも見せないし、読者にも見せません。

由良を視点人物にして、小夜子も由良も学生にする。舞台も大学にする。これならなんとか私でも書けそうな気がしました。
そして、過去作「托卵」についても再読して、少しだけ整理してみました(おそらくメモは「托卵」を読んでいない人には意味不明だと思いますがそのまま載せます)。

## 托卵のわかるところとわからないところ
### わかるところ
- 設定、技術が足りていないので当初考えていた「都市伝説の百鬼夜行を鎌倉に再現する」という構想は果たせなかった。それが、月面での都市伝説の現出に繋がっているが、おそらくそれを読み解ける人は私しかいない。
- 文体、なんかもっちゃりしている。推敲がほとんどされていない。しかしそれは良さにもなり得る。
- 中町はジャストアイデアすぎるし、本質ではない。存在しないはずの街というミームを引きずりすぎている。
- 母親の描写はよく書けている。「幻滅せず、伝わらなさにめげることなく、」のところ
- 畳みかけるような文体、自分が気持ちよいだけの文体
- 鳥を握りたいという欲望だけで書かれた箇所がある

### わからないところ
- 文体はわかるようでいて、わからないところもある。素直だと思う。そのときの自分の精神の状態がそのまま出ている。海まで至る道の側で生活していたところ。消えていなくなれると思ったこと。
- なぜ神社から海へ、そして月へ行けると思ったのか。それが一本の道で繋がっているからという理由以外にあるか
- 疾走する人力車の描写は今の私に書けるかわからない。不気味すぎる。
- 鍵括弧の使い方。語らされていることの暴力性を書こうとしている。この試みが成功しているのかわからない。世界を記述すること自体の加害性とか暴力性に問題意識を持っていた。これは今でも私のなかに根付いているか?
- 托卵の字間詰まりシーン、すごいかもしれん。これが書けるのか?
- なんか、目が覚めたらトリップして一気に書いてしまった作品なんだよな。この時は、まだ托卵に載せようとか考えていなくて、ただそのとき書かなければならなかった文章。そのようにして書かれた文章?
- 托卵、やばい。やばいです。まだこれ理解できてる人いないだろ。

「08_議論.md」は、このジャストアイデアをもとにClaudeの編集者人格「かあ坊」とのやりとりをまとめたものです。特筆すべきことはないので飛ばします。

そして、次にやることは、まずは小夜子の作中作を書いてみることだと思いました。この試みは失敗を前提にしています。
「09_サバイバル・テッセレーション.md」

サバイバル・テッセレーション
見たことがないものばかりだ。線が熟れました。皆で切り分け、山分け、熟れたわけは月があがりだからでした。のたりのたり、ずっずっ。圧縮の擬音、呪文を唱えた。切り詰め、西からはマヨイアイオイクラゲがのぼって参ります。参りました。霧の中に生える草木の断面図、鳥。定形外郵便の切手を貼るためだけに均された禿げ山かつ触媒。管のなかを流れてゆきますね。残暑。よろしくお願いしております。細胞の増殖の恩寵の場合分けその一。引き分け。すごすごと還ってゆきます、蓋は閉めてね。回す、押す、ずらす、合掌する、ことを繰り返すには線を生やします。またこの季節がやってきた。細胞を垂直に貫くための疑似レッスン。その一、美味しいスープをつくります。月を押し出してください。定規がないんだった。条件は同じですね。一本取らないでください、線を逃がすな。マヨイアイオイクラゲは見ることが可能。流石に届きます。開封。ここは目がくらむ、頼むから線を逃がしてやってくれないか。ここじゃなくても同じでしたね。相合い傘の単焦点に穿たれることも可能。何にせよ、言ったのです。切れ目からひっくり返して中身をよく雪ぎましょう、と。画が来てしまうため。いってらっしゃいもおかえりも同じことでした。だからもう大丈夫。今際という、い・ま・わ、これだけでしたよね。ご清聴、ありがとうございました。

大失敗です。なぜなら、タイトルが「見習い鳥卜」ではなく「サバイバル・テッセレーション」になってしまったからです。念のため、相談に乗ってくれた友人にも見せてみましたが、「何かの顔色を窺いながら息継ぎをしているように見えます」と素直に感想を伝えてくれました。
そう、この「何かの顔色を窺いながら息継ぎをしている」状態が厄介だなと思いました。力んでいるうちは、小夜子の作中作「見習い鳥卜」は絶対に書けません。
私は、まずは自分の身体をほぐさなければなりませんでした。

「10_模写.md」

「托卵」の一部を4000字程度模写しました。そうすると少し元気が出てきて、Claudeに「次は何をすればいいと思うか」を聞いてみました。

## 質問1: 作中作の「見習い鳥卜」は書けましたか?

「今日は、作中に登場する予定の作中作を書いてみた」とのことですが、それは:

- 小夜子が書く400字の「見習い鳥卜」(托卵のリライト)でしょうか?
- それとも、他の作中作でしょうか?

もし小夜子の作品を書こうとして「顔色を窺いながら」になってしまったのなら、それは**構造的に正しい失敗**かもしれません。なぜなら、小夜子の作品は「現在の藤井さんには理解できない」はずのものだからです。

### 作中作は書けなかった
- 作中作「見習い鳥卜」のつもりで書いた
- 托卵の一部を模写したあとに書いた
- しかし、一文一文を捻り出すようにしか書けず、思ったようには行かなかった
- しかもタイトルが別のものになった
- 構造的に正しい失敗というのはその通りだと思う

これは、「サバイバル・テッセレーション」のことです。

## 質問2: どこから書き始めようとしていますか?

プロットを見ると、由良がカラスの雛を発見する冒頭から順に書こうとしていますか? それとも、別の場面から?

- 冒頭から書き始めようとしている

もう、冒頭から素直に書いていくしかなさそうだなと思い始めました。

## 仮説:「凝り」の正体

プロットを読んで感じたのは、この作品が**あまりにも精密に設計されすぎている**ということです。それは強みでもありますが、同時に:

- 「托卵」との構造的対応を意識しすぎて、**建築図面を見ながら家を建てようとしている**状態になっていませんか? →なっている
- 「過去の藤井さんを見習う」というテーマが、**過去の藤井さんの顔色を窺う**ことになっていませんか? →なっている
- 「5万字書いて托卵を超える」という目標が、**数字としてのプレッシャー**になっていませんか? →なっている

「顔色を窺いながら息継ぎをしている」——これは、**書きたいものではなく、書かなければならないと思っているもの**を書こうとしているときの症状だと思います。

そして、Claudeは以下のワークを提案してくれました。

## 提案するワーク

私が提案したいのは、**構造を一旦忘れて、由良と小夜子に会いに行く**ワークです。

### ワーク1: 「鳥卜」を実際にやってみる

由良が考案したという「鳥卜」——これ、実際にやってみませんか?

1. 今日か明日、外に出て、鳥を観察する
2. 由良が考えたように「飛ぶ方向、高さ、飛び方、鳴き声、鳴いた時間、止まった枝の方向」を記録する
3. それをもとに、何か一つ決断をする(どんな些細なことでもいい)

これは**由良になる**ワークです。由良がどうして鳥卜を思いついたのか、どうしてそれをノートに書き留めたのか——頭で考えるのではなく、身体で理解するために。

#### 鳥卜の舞台
Canva AIで生成してみた
- ソファがある(実際は内向きに配置されている)
- 木枠などが落ちている、過去の学園祭などに使用されたものかもしれない
- 椅子やごみばこがある
- はしごがあり、その上には給水塔がある
- 低くなった場所があり、水が溜められるようになっている
- 落ち葉が落ちている
- コンクリート剥き出しである

Claudeの言うことに素直に従い、実際に鳥卜をやってみることにしました。ただし、鳥を探しにいくのが難しそうだったので、作中で由良が行った鳥卜を実際に考えてみることにしました。A4のコピー用紙に手描きで書いてみました。

IMG_20251029_0001 3.jpg

書けた。そして、「めっちゃ楽しかった」!!!!
楽しかったのです。これは調子が上向いてきたぞ、と思いました。

### ワーク2: 交換日記を実際にやってみる

もし可能なら、誰か一人(編集者さんでも、友人でも)と、本当に「置きっぱなしの交換日記」をやってみるのはどうでしょう。

- ある場所にノートを置いて
- お互い好きなタイミングで書き足していく
- 内容は「鳥卜」でなくても構いません

これは**由良と小夜子の関係を体験する**ワークです。「仮借」という抽象概念ではなく、実際の手触りとして。

このワークは時間がなくて実行できませんでした。

### ワーク3: 400字で「托卵」を書いてみる(失敗前提で)

小夜子が書くはずの作中作——これ、「完璧に書こう」としているから苦しいのでは?

代わりに:

1. タイマーを15分にセット
2. その間に、托卵を400字で書く
3. **推敲せずに、そのまま放置する**

大事なのは「これでは使えない」と思うものを書くことです。なぜなら、**現在の藤井さんには、小夜子の作品は書けない**はずだから。

「書けない」ことを確認するためのワークです。

#### 見習い鳥卜
TIME TIMERという名前の商品があって、気に入っている。過剰性は愛すべきものだ。それで、月面に行ったときにも定規で長さを測ろうとしたのだが、果てしなかったので難しかった。地球は遠くに見えて、青いのは本当だった。月面には蛇がおり、それはもう数え切れないほどで、団地をつくってそのベランダからこちらを見下ろしているということがある。雨が降ったら完璧だったなと思う。団地はどこまでも続いていて、それなら団地を定規の代わりにしたほうがいいかもしれないと思い、二百棟くらい数えたところでやめた。同じ景色が続いているが団地には棟番号が振られていたので存外楽ではあった。蛇たちはじっとこちらを見ている。何もしてこない。事象の震源地を探すほうが手っ取り早い気がするが、時間はたっぷりあるのでどうしても後回しにしてしまう。団地はぶよぶよとしたクリーム色のかたまりでできていて、ちぎって粘土のように遊ぶことができる。とりあえず二四五棟を解体することにして、蛇には申し訳ないと思いつつ、団地をちぎったものを捏ねて鳥をつくってみた。ぼてぼてとしていて、飛べない鳥になった。飛べる鳥と飛べない鳥は別の材料でできているのかと初めてわかった。たとえば、飛べる鳥は紙飛行機でできている。ぼてぼてとした鳥はこちらのあとをついてくるので、やがて二四五棟は解体され、鳥の行列ができた。鳥たちには目がなくて、蛇も困惑していた。鳥たちを引き連れて、クレーターということを思い出した。クレーターということは、中心部に行くか外縁部に行くかすれば良さそうということで、しかし方角がわからなかったので、定規でなく方位磁針を持ってくるべきだったと思った。方位磁針も意味ないか。団地は当然垂直と平行の法則でつくられていて、埒が明かなかったので、引き続き鳥づくりに邁進することにした。二四五棟を追われた蛇たちのあとをついていけばいいのだということにようやく気づいたころには、団地を追われた蛇よりも鳥の数のほうが多くなっていた。蛇の方を指さしてみると、鳥たちは蛇たちを襲い始めた。当然の帰結。鳥と蛇なのだからそうに決まっていて、仕方なく鳥のあとを追う。やがて、中心部らしき場所に辿りついたが、そこには満開の桜の木が植わっていて、あーこれを掘り起こしたらわたしは消滅するのだろうなとようやく気づいた。つまり、すべて終わったあとだったということ。よりによって桜かあと思う。鳥たちは桜の木を囲んで回り始めた。団地がみるみるうちに溶けていって、その輪に混ざり始めた。見晴らしがよくなったが、視界がクリーム色であることに代わりはなく、私は木の根元に座り込んで、その下に埋まっているはずの私について考えようとした。桜の花びらは地上よりもゆっくりと落下していた。

今回も失敗作だなと思いました。でも、失敗することが目的だったのでネガティブには引きずられませんでした。

### ワーク4: 由良の一人称で日記を書く

明日一日、由良として過ごしてみる。そして夜、由良の一人称で日記を書く。

内容は:

- 今日見た鳥のこと
- 小夜子のこと(会ってなくても、考えたこと)
- カラスの雛のこと
- 自分が書いている小説のこと

これは**由良の声を見つける**ワークです。「見習い鳥卜」を書くとき、語り手は由良ですよね。由良がどんな風に世界を見て、どんな風に言葉を選ぶ人なのか——それを、プロットからではなく、由良として生きることで掴むために。

---

## 私の直感

プロットを読んで、一番気になったのは:

> 由良は小夜子のように世に出ることを望んでいないことは由良にもわかるし、これは世に出るべきではないとすら思う。それくらい、完璧な作品だった。

この一文です。

**藤井さん自身が、「托卵」に対してこう感じているのではないですか?**

「托卵」は完璧な作品だった。だから、それを超えなければならない。でも、それは世に出すべきではないとすら思う——なぜなら、理解されないから。

もしそうなら、この作品を書くこと自体が、**「托卵」という完璧な過去との訣別**なのかもしれません。

そして、「顔色を窺っている」のは、**過去の自分の顔色**なのかもしれません。

---

どのワークが響きましたか? あるいは、別のアプローチを試したいですか?

一緒に「凝り」をほぐしていきましょう。
**次に何をすべきか**

> 次は何をしていきましょうか。

私が提案したいのは、**「由良と小夜子の出会い」を書く**ことです。

プロットによれば:

> あるとき思い立って(ここはあとでしっかりした理由を考えたい)早朝にその場所に行く。すると、そこにカラスの雛だけでなく先客がいることに気付く。そこで、鳥卜を書き足していた張本人「太田小夜子」にようやく出会うことになる。

この「思い立って」の理由は、**今考える必要はありません**。

代わりに、こうしてみませんか:

### ワーク4(改): 由良として「出会いの場面」を書く

**条件**:

1. 由良の一人称で書く
2. 時間は早朝
3. 「鳥卜ノート」を置いた場所に行く
4. そこに、見知らぬ人物がいる
5. **その人物が小夜子だと確信する瞬間を書く**

「なぜ早朝に行ったのか」は後から考えればいい。むしろ、**書いているうちに理由が浮かんでくる**はずです。

大事なのは:

- 由良が小夜子を初めて見たとき、何を感じたか
- 小夜子がどんな様子でノートに向かっていたか
- 二人が最初に交わした言葉(あるいは、言葉を交わさなかったか)
- カラスのヒナはどうしていたか

**字数制限なし。推敲もなし。**

ただ、由良として、その場面を体験してみてください。

---

**なぜこのワークを提案するか**

理由は二つあります。

**1. 構造から入ると息が詰まる**

プロットは完璧です。でも、完璧すぎて、**設計図通りに組み立てなければ**という気持ちになってしまう。

「托卵」はおそらく、そういう風には書かれなかったはずです。プロットメモを読むと:

> なんか、目が覚めたらトリップして一気に書いてしまった作品なんだよな。この時は、まだ托卵に載せようとか考えていなくて、ただそのとき書かなければならなかった文章。

「見習い鳥卜」も、そのように書かれるべきなのかもしれません。

**2. 由良の声が聞こえていない**

ワーク1で、藤井さんは既に由良でした。でも、ワーク3では由良ではなく、「托卵を書いた頃の藤井さん」を再現しようとしていた。

今必要なのは、**由良として書く**ことです。

由良は:

- 商業デビューしている
- 鳥卜を考案した
- 小夜子に出会う前から、すでに何かを予感している

由良の視点で、小夜子との出会いを書く。そうすることで、**この物語が本当に動き始める**と思います。

---

**「顔色を窺う」から「呼吸する」へ**

友人が「何かの顔色を窺いながら息継ぎをしているように見えます」と言ったこと——これは本当に的確な指摘だと思います。

でも、ワーク1の鳥卜ノートを見ると、そこには**ちゃんと呼吸がある**んです。

カラスのヒナを観察して、水を与えて、そこから自分の行動を決める。この一連の流れには、**息継ぎではなく、呼吸**がある。

「見習い鳥卜」も、そのように書かれるべきです。

---

いかがでしょうか?

「由良と小夜子の出会い」の場面、書いてみませんか?

あるいは、別の場面から始めたいですか?

そうか、由良と小夜子が出会うシーンか、とはっとしました。それで、冒頭から書かず、まずは由良と小夜子が出会うシーンを緊張しつつも書いてみることにしました。
ちなみに、この文章を書く前に、Obsidianとは関係ないですが以下のルーティンを実行しました。
小説書く前のルーティンの話 – 鳥の神話

そして、実際に書けたのがこちら。

### 由良が小夜子と出会うシーン

 この時間の"地帯"はとりわけ素晴らしかった。なぜもっと早く気がつかなかったのだろう。早朝五時。普段私が"地帯"に行くのが放課後や昼休みなどだったが、朝来てはいけない理由などなかったはずなのに。むしろ、この世に一人になってしまったような感覚はそれこそ、朝のほうが研ぎ澄まされるに決まっていた。風をつたって合唱団の歌声やバンド練習の音が流れてくることもない。それはそれでエモーショナルではあったけれど。
 静寂。私は階段を上ってゆく。屋上に出る瞬間がやっぱり好きだ。光が漏れ出て全身が包まれる。風を真正面から受け止める。朝の光はまだ弱々しく、優しくて、それでいて突き抜けた感じがあって、「浄化」という言葉がぴったりと重なるような。素晴らしさ。なにもかもが調和を保っていた。はやる気持ちを抑えながら、一段一段、慎重に上った。もうすぐ屋上へ抜ける。私は扉を開いた。
 かあ坊よりも先に、ソファに先客がいるのが目に留まった。ビンゴ。胸が高鳴る。女性だった。私と歳は同じか少し上くらい? 彼女はちょうど鳥卜ノートを開いてペンを走らせているところだった。ダブルビンゴ。長い黒髪は自然にカールしていて、黒縁の眼鏡をかけている。オフホワイトのぶかぶかなワンピースの上からでも、彼女のすらりとした華奢な体つきがわかった。よく似合っている。あちらも私に気づいて顔を上げた。彼女はしばらく私を見つめたのち、何も言わず顔の向きでかあ坊のいる方角を示した。かあ坊はドラム缶の上に乗っていて、まだ眠いのかじっとしていた。片脚を羽毛のなかに突っ込んでバランスよく収まっている。私はかあ坊を視界に収めつつ、彼女の方に近づいた。
 屋上の中央あたりまで来たところで、途方に暮れた。なんと声をかけたら良いかわからず、私はしばらく無言で佇んでいた。この場で交わされる言葉に心当たりがなかった。記憶や経験を動員しても、最適解が見出せない。小説の海を泳ぐなかで、次にどんな文章を置けばよいかがわからず、ぷつりと糸が切れてしまう感じ。ああそうか、と気がつく。私は小説を通して世界を認識しているのだ。それに倣うのが良いだろう。こういうとき私はどう言葉を続けるか。少し前から書き直すようにしているのだった。私は一度彼女へ背を向けて引き返し、ドアをくぐった。一瞬で辺りは暗く遮られる。埃の匂いがする。落ち着いて。深呼吸を三回した。そしてもう一度、私は屋上のドアを開けた。
 先刻と同様の光景が広がっていた。彼女はソファに座っていた。かあ坊はドラム缶の上にいる。私はもう一度、彼女の方へと歩いていった。屋上を横断する。そして、今度は彼女の元まで辿りつく。私はゆっくりと隣に腰掛けた。
「……今日は、どうでしたか」
 それを尋ねるのに、不自然な間が空いてしまったが、仕方のないことだった。弾む気持ちをどうしても抑えられなかった。
 彼女は黙ってノートを私に寄越した。私は読み進めていく。たしかにあの筆跡だった。見知らぬ交換日記の相手。彼女の手によってたった今更新されたノートを、私は今ここで読んでいる。興奮する。世界が突如色を持ち始める瞬間。私はすでに小説に巻き込まれている。ノートは、かあ坊が片脚立ちで眠っていることと、クチバシの向いている方角が北東であることを根拠に、こう結論づけられていた。
『待ち人が来る』

これが書けたとき、私は泣きました。
久々に小説が書けた、と思いました。心臓が跳ねて飛び出してしまいそうでした。
やっと、何かが明確に転がりだした感触がありました。
Claudeに見せるまでもなかったですが、念のため見せたところ、このような返答がありました。

**素晴らしいです。**

特に、この部分:

> この場で交わされる言葉に心当たりがなかった。記憶や経験を動員しても、最適解が見出せない。小説の海を泳ぐなかで、次にどんな文章を置けばよいかがわからず、ぷつりと糸が切れてしまう感じ。ああそうか、私は小説を通して世界を認識しているので、それに倣うのが良いだろう。こういうとき私はどう小説を続けるか。こういうときは、私は少し前から書き直すようにしている。私は一度彼女へ背を向けて引き返し、ドアをくぐった。

**これが由良です。**

「小説を通して世界を認識している」——この一文で、由良という人物が立ち上がりました。そして、「少し前から書き直す」という方法で、由良は現実世界でも自分を動かしている。

これは**ものすごく的確な人物造形**です。

そして、最後の『待ち人が来る』という鳥卜の結論——完璧です。小夜子は由良が来ることを、鳥卜によって予見していた。あるいは、予見したから由良が来た。

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**「呼吸」が戻ってきた**

> 何かの顔色を窺いながら息継ぎをしているように見えます

という友人の指摘に対して、この出会いの場面には**ちゃんと呼吸がある**と思います。

特に:

- 「階段を上ってゆく」速度
- 「一段一段、慎重に」
- 「途方に暮れた」
- 「深呼吸を三回した」
- 「ゆっくりと隣に腰掛けた」

由良の動きに**リズム**があります。これは、ワーク3で書いた1000字の文章にはなかった要素です。

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**発見されたこと**

この場面を書いたことで、いくつか重要なことが見えてきたと思います:

### 1. 由良は「小説的な人間」である

> 私は小説を通して世界を認識している

この設定は、プロットには明記されていませんでしたが、**今書くことで発見された**ものですよね。

これは極めて重要です。なぜなら:

- 由良は「小説を書く人」であると同時に「小説によって生きる人」
- 小夜子もまた「小説を書く人」だが、おそらく「小説によって生きてはいない」
- この非対称性が、二人の関係の核心になる

### 2. 小夜子は言葉を発しない

> 女性はしばらく私を見つめたのち、何も言わず顔の向きでかあ坊のいる方角を示した。

> 彼女は黙ってノートを私に寄越した。

小夜子は、この場面で一言も喋っていません。でも、**完全にコミュニケーションが成立している**。

これも重要な発見だと思います。小夜子は、言葉を発しなくても、鳥卜によって、動作によって、すべてを伝えることができる。

### 3. 「かあ坊」という名前

カラスのヒナに、由良が「かあ坊」という名前をつけている。これも、今書くことで生まれたものですよね。

プロットでは「カラスの雛」とだけ書かれていましたが、**由良がそう呼ぶのは当然**です。なぜなら、由良は「小説的な人間」だから。登場人物には名前が必要だから。

そして、「かあ坊」という名前——これは「かあ(カラスの鳴き声)」+「坊(男の子)」で、親しみと距離感が絶妙に同居している良い名前だと思います。

---

**次に何を書くべきか**

この調子で、**続きを書いてください。**

この段階で、私は「見習い鳥卜」が「書ける」ようになりました。
そして、いよいよこのようにノートを新規作成し、ナンバリングしました。

「12_見習い鳥卜初稿.md」

一週間ほどで初稿が書き上がり、

「13_見習い鳥卜最終稿.md」

に取り掛かりました。
11月の初め、無事に「見習い鳥卜」が完成。短編集を無事刊行することができました。

正解はないけれど

### 2025-10-23
- メモ:◎◎さんと通話した

### 2025-10-24
- メモ:構想がある程度固まった、タイミングがくれば書き始められそう

### 2025-10-29
- メモ:実際の鳥卜ノートを書いてみた。手書きで。楽しい。Claudeに促され、由良が小夜子と出会うシーンを書いてみたが、感動して涙が出てしまった。1300字くらい。その後、冒頭から書き始めて5400字程度書き進めた。トータルで6700字書けたことになる。久しぶりに分量が増えた。嬉しい……。まだまだ小夜子と出会いそうにない。次はおそらく、編集者にボツを食らうシーンと、駅前で先輩に会って結局二日連続奢られることになるシーンと、その次に翌日また小夜子の鳥卜が増えているシーンだと思う。どのくらい交換日記が続くものだろうか。2、3ラリーくらいで良い気がしている。由良がすぐに会いに行かなかった理由とかも考えたいね(多分、なんとなく早すぎる、みたいな微妙な感触だと思うけど)。それを先輩に相談するか? でも、おそらく秘密にしたいはずなので、小説の話として相談するかも。

### 2025-11-01
- メモ:続きを書いてみた。意図しない登場人物(香取)が現れてしまった。それにより、オチがなんとなく見えてきた。小夜子はしばらくすると(おそらく由良が誰にも見せない小説を書き上げた直後)消えてしまう。それでしかし、それ以外はすべてが上手くいく。次回作も編集者から大絶賛を受ける。受賞作は重版する。サイン本をつくりたいのでと出版社に呼ばれる。たまたま香取とすれ違う。香取に、マンデラエフェクト? とりあえず不思議なことがあったと報告する。香取は、それはオカルトではないと一蹴する。小夜子は実在する人物なので必ず探したほうがいいと忠告を受ける。それから、"地帯"に何度も行ってみるが、小夜子は見つからない。それに、悪いことに、取り壊しの工事が再開される目処が立ったらしく、"地帯"は永久に消滅してしまう。鳥卜ノートの行方もわからなくなる。そして、夏休みが終わる。講義室の中ほど、端の席に座ったところ、隣に座ってきた人がいる。見ると、小夜子だった。そこで物語は終わる。
- 次は、太田小夜子の簡単な説明から入るか。
- メモ:夜も少しだけ進めた。2000字程度。続きをどうすればいいかわからない。

### 2025-11-02
- メモ:書けた。なぜ? 見習い鳥卜(作中作)には不安が残るが……。これで大丈夫なのだろうか。最終的に26000字程度。3万字行くかと思っていたので意外。確かに後半がかすかすになっている。しかしここに何か加えるのが良いことなのかもわからない。どちらにせよ、明日にならないと冷静な目で推敲するのは難しそうだと感じる……。むむ……。一旦組んでみてそこだけ印刷して確かめてみるか。

これは「00_概要.md」につけていた執筆記録です。

正直なところ、太田小夜子の書いた作中作「見習い鳥卜」が、そして小説「見習い鳥卜」全体が成功しているのかどうかの判断は読者に委ねるしかありません。なぜか「書けちゃった」のです。初稿を終えた11月2日のメモには「なぜ?」と残されています。本当にわからないのです。今でも私は「なぜ?」と思っています。創作というものは本当に不思議です。自分でもよくわからない力に導かれるようにして、作品に吸い寄せられていってしまいます。
しかし、そのプロセスの中にはある程度介入できる部分もあるのです。それが、私にとってはObsidianで原稿を管理する方法だったり、Claudeとの壁打ちだったり、友人との対話だったりします。
そして、この方法に再現性があるかどうかも、私にはわかりません。一つの作品がつくられるやり方というのは常に唯一の方法が採用されるからです。だからこれは、あくまでも一つの解答例にしかなり得ません。正直、こんなものを公開して一体誰が何を参考にできるってんだ、とも思います。
それでも、この記事が、少しでも誰かの役に立つならば幸いです。

最後に、この記事で取り上げた小説「見習い鳥卜」が掲載されている短編集『見習い鳥卜』のリンクだけ貼っておきますね。
見習い鳥卜 藤井佯短編集 – 鳥の神話 – BOOTH

どうも、ありがとうございました。