Works,公募かぐやSF,公募,小説

 発端は第99回鳥人間コンテストだった。当時わたしは東京万能大学飛行部の学生で、その日はわたしの人生で一番の大舞台となるはずだった。わたしはパイロットだった。仲間たちと力を合わせ作り上げた機体、その翼とともに天を翔ける権利を得た唯一の ...

Works,公募公募,小説,文藝賞短篇部門

「メインターゲットは二十代から三十代の女性、カップル、ファミリー、羽田匠ファン、M♡N(モノ)Φの藍川芽乃ファン、ラブコメ好き、原作ファン。サブターゲットは森川信介ファンの四十代から五十代、コアな映画ファン、流行に乗りたい新しいもの好 ...

Works,公募コバルト短編小説新人賞,公募,小説

 飛沫があがり、子どもたちがこちらへ向かってくる。ストン、ストンと次々にプールへ飛び降りて、ゴーグルをかける。私が合図に手をパンと鳴らすと、子どもが壁を蹴ってスタートする。バシャバシャと威勢がいい。バタ足で十五メートル。それを三本。こ ...

Works,公募小説,阿波しらさぎ

 折野から連絡があったのは土曜の晩だった。フェリーの外観を添えた海景色をインスタグラムに投稿したところ、わたしが乗っているそれが南海フェリーの「かつらぎ」であることを指摘されたのだ。折野のアカウントは数年動いていなかったので突然のDM ...

Worksカフカ,小説

 二◯二三年、七月九日。日曜。また日記をつけることが、是非とも必要になって来た。わたしのあやふやな頭脳、書くことが体力的に出来ないこと、及び書くことへの内面的欲求。
 
 
 七月十二日。眠っては眼を覚まし、眠 ...

Works,公募コバルト短編小説新人賞,小説

 目が覚めると、フラミンゴが部屋にいた。
「うわっ」
 フラミンゴは俺の勉強机の前に片脚で突っ立っていた。長い首をくねらせながら、のんきに羽繕いをしている。ふいに、フラミンゴと目が合った。反射的に体がこわばったが、フラ ...

Works小説,造鳩會

 材料は、豆五百グラム、にがり大さじ二杯、ソブリン金貨一枚、子どもが失くした片足の靴、ラスコヴニクの茎一本、月の砂五グラム、チュニジア産の砂漠の薔薇七.八二グラム、タマルを蒸し終わったあとのバナナの葉、オーストリア産シーグラス少量、忙 ...

Works,小説

 カーン。
 その音からすべてが始まった。
 その音で、彼らは見た。木漏れ日の揺れる影、雷を湛えた紫雲、黄金色の風、零れ落ちんばかりの赤い実、肌凍る雪礫、眩く突き抜けるあの青の涯。
 彼らは包まれている。明るい ...

Works小説

 遠くから波の砕ける音がする。空は高く、黄色い凧が飛んでいた。凧糸を辿ると、子どもが走り回っているのが見えた。
 草原を歩いていた。見渡す限りなだらかな丘だが、果てまでゆくとぶつ切りの断崖絶壁が広がる。崖を、目指している。シャ ...

News告知,小説

表題の通りです。人格OverDriveさんで始まった、千文字以内の文芸作品を募集する企画に『落下と旋回』という掌編を応募しました。こちらから読めます。

こちらにも上げておきました

毎月テーマが変わるようで、今月は「はじまり」 ...