Works小説,星々

 湯から引き上げたそれはてらてらと黒光りして、艶のある羽根は簡単に手で抜くことができる。その物体に命はない。しかし、それを形づくるすべての構成物に魂が宿っている。天野莉々は一度その物体の前で手を合わせたのち、カラスの死骸から一本一本そ ...

Works小説,星々

 黒い大地が一本の線を成して空の遠さを繋ぎ止めている。見渡す限り人の影はなく、私たちは途方に暮れる。いや、天を仰いでいるのは私だけか。現地で雇ったドライバーは、年代物のウォークマンから流れる陽気な音楽に身を浸し、遠くを見つめながら小刻 ...