Works,公募小説,阿波しらさぎ

 折野から連絡があったのは土曜の晩だった。フェリーの外観を添えた海景色をインスタグラムに投稿したところ、わたしが乗っているそれが南海フェリーの「かつらぎ」であることを指摘されたのだ。折野のアカウントは数年動いていなかったので突然のDM ...

Works,公募コバルト短編小説新人賞,小説

 目が覚めると、フラミンゴが部屋にいた。
「うわっ」
 フラミンゴは俺の勉強机の前に片脚で突っ立っていた。長い首をくねらせながら、のんきに羽繕いをしている。ふいに、フラミンゴと目が合った。反射的に体がこわばったが、フラ ...

Works,公募小説,幻想と怪奇SSコン

 黄金の草叢を二つの影が横切ってゆく。老人と、その後ろに少女。老人は右腕を掲げながら進む。その手には羽根が握られていた。それは、吸い込まれそうなほど深い青色をしている。二人が通り過ぎたあとには一本の線が引かれた。上から赤・橙・黄・緑・ ...

Works,公募エッチな小説を読ませてもらいま賞,小説

 パリュケイヤ(Morsitapete annihilians)は、主にネガラ大陸南部に群生する食人植物である。人体に作用する固有の神経毒によってヒトをおびき寄せ、海綿状の捕人葉から養分を吸収する。円形の捕人葉は直径約二メートルで、そ ...