1万字の短編ができる過程をまとめてみた
表題の通りです。
いま藤井は上記の講座を受講しているのですが、第4回(11/20)にて告げられた最終課題が「MAX10000字で自由に物語をつくってください」でした。締切は12/12。おいおい一ヶ月もないやんけ! と及び腰だったのですが、「500字の梗概を合わせて提出してもらい、それは全て読む。その中で梗概が特によかった作品は実作も読む」という方針だと知って「絶対読まれたいしコメントされたいが!?」と俄然やる気が出たのでした。
そこで、急遽12月12日までに1万字程度の物語をつくることになりました。まあ最大1万字なので実際は何百〜何千字でもいいのですが、せっかくなら1万字書きたいですよね。藤井は最近、1万字程度の短編をよく書いていることもあり、できたら1万字書いて、かつ講座で学んだ知識や理論も活かしたいな、ということになりました。また、どのように知識や理論を活かしたうえで短編がつくられるのか、その経緯も合わせて記録しておくことにしました。そういえば物語ってどうやって出来上がるのだろう、ということはけっこう謎が深い問題ですものね。
ちなみに藤井はどちらかというとエンタメ寄りの書き手です。ジャンルはSFやファンタジー、奇想などを得意としています。そのため今回も純文学色のきわめて強い作品にはならなさそうですが、何らかの参考になれば幸いです。
1日目
スケジュールを洗い出す
2024年11月25日。まず行ったことは、スケジュールの管理です。これ大事。藤井は現在、第16回創元SF短編賞に取り組んでいて、その締切は2025年1月14日になります。まだ時間があるとはいえ、40行×40文字換算で10〜25ページと、普段書いているものよりボリュームのある作品になりそうなので、早めにとりかかっておきたいところでした。しかし、スケザネさんの小説講座の課題提出締切は12月12日です。こちらの方が早いですね。藤井は、同時並行で作品を手がけるといった器用な真似ができないので、小説講座の課題を優先させることにして、創元のほうは一旦凍結させることにしました。ちなみに、簡単に書くものは決まっていて、資料集め&通読をしている真っ最中でした。とはいえどちらかといえば創元に時間を割きたいところなので、課題提出が12月12日締切のところ、自分のなかの締切として前倒しの12月5日を一次締切と定めました。次に、12月5日までの自分の用事を洗い出します。藤井はけっこう通院が多い人間なので、本格的に課題に取り組もうと決めた11月25日から12月5日にかけて、通院が2回あることを確認しました。また、12月1日は文学フリマ東京39があるので1日潰れます。その他水曜日に外せない用事があり、この日も一日潰れると見てよいでしょう。また、整体の予定や、自身の主宰する勉強会に向けての準備などもあります。数えてみると、純粋に一日使えそうな日数は5日、用事がありつつ小説にも時間が費やせそうな日は3日ありました。ここで一つ断っておかなければならないのは、藤井が在宅のフリーランスである点です。時間の融通が利くほうですし、ちょうど今手が空いています。12月5日までに新たな仕事がポップする可能性はかなり高いですが、ひとまずそれも考慮に入れて、純粋に使えそうな時間は5日間程度と少なめに見積もっておくのがよいでしょう。では、5日で1万字を書くにはどうすればよいでしょうか。これまでの経験から、藤井はアイデアがプロットとして形になったあとは比較的筆が速いということがわかっていますので、このように振り分けました。
1日目:ネタ出し
2日目:ネタ出し、簡単にプロット化する
3日目:プロットを完成させる
4日目:書く
5日目:書く&推敲
これはあくまで理想的な進捗で、実際にはこのように綺麗にはいかないと思います。とにもかくにも、ネタ出しを急がなければならないと思ったので、今日はネタ出しに早速取り掛かることにしました。
ネタ出しをする
ネタ出しの方法も色々あるのですが、今回は時間がないということで一番書きやすい方法を採用することにしました。というのも藤井は普段「鳥の神話を伝えます」をコンセプトに小説を書いており、小説に必ず鳥を登場させています。そこで、まず「書く鳥を決めてしまう」ことが最も手っ取り早いネタ出しのとっかかりになってきます。
『世界の美しい鳥の神話と伝説』という本があります。タイトルの通り、鳥にまつわる神話や伝承を美しい鳥の画像とともにまとめた一冊で、二百羽くらい?は鳥が載っているので重宝します。鳥の話を書くときに、図鑑をめくるのも良いのですが、この本は、良い感じに詳しくないので役に立ちます。たとえば鴨であれば、鴨だけで種類がたくさんいますし図鑑にはけっこうそれが網羅されていますが、「それではツクシガモをモチーフに小説を書いてください!」と言われても困ります。ツクシガモと他の鴨の違いについて調べなければなりませんし、なぜ鴨全般ではなくツクシガモなのかという問いにも応えられなければなりません。『世界の美しい鳥の神話と伝説』であれば、鴨は鴨だけで項目としてまとまっているので、ちょうどよく粗くて良いです。使い方としては下記の通りです。
①直感で好きなページを開く
②そこにいた鳥をモチーフに小説を書く
これだけです。今回は、「クジャク」のページが出てきました。これまでクジャクを題材に書いたことはなかったのでぴったりです(納得行かないときはこっそり引き直したりもします)。
次の段階としては、クジャクにまつわる神話や伝承を調べます。これはまず『世界の美しい鳥の神話と伝説』のページを読んだり、Google検索したりして調べます。ちょうどよく使えそうな神話や伝承が見つかるとよいのですが、それはけっこう稀なことです。あくまで、自分とクジャクとのチャネルを増やすために調べるものと割り切っています。クジャクに関しては、孔雀明王などがヒットします。キリスト教でもよく教会に彫られるモチーフであるようです。その飾り羽の派手さゆえか、各所に伝承が残っていることがわかります。しかし気になるのは、クジャクの雌の存在です。クジャクは雄の羽は派手ですが、雌は地味な感じです。これは最近藤井の興味を持っているトピックでもあります。「鳥のフェミニズム問題」です。最初にこの言葉を知ったのは友人からでした。友人はライターの養成講座に通っているのですが、そこで『WORKSIGHT 鳥類学』の編集に携わった講師が、「鳥は雄が派手な羽を持つことが多い、一方雌は地味な羽のことが多い。そこで人々の関心も雄の羽ばかりに偏って、結果的に雌の生物学的な調査がおろそかになっているのではないかという問題がある」というようなことをぽろっと仰っていた、と教えてもらったことがあります。実際に鳥類学の分野で「鳥のフェミニズム問題」がどこまで広く議論されているのかはわかりません。それらしい論文を探してみようとも思ったのですが藤井の検索スキルでは見つけることができませんでした。しかし斬新な視点で簡単には忘れられず、それを聞いて以来藤井のなかで「鳥のフェミニズム問題」について考える機会がかなり増えています。そこで今回は、クジャクの雌を主人公にしたいな、と漠然と思いました。
それ以外の回路としては、とりあえず鳥の名前と組み合わせて面白そうな言葉がないか探してみる、というやり方があります。今回は「クジャクにUFO」とか「ミニチュアクジャクを飼う」とか色々考えてみたのですが、どれもしっくりきません。ちなみに第2回カモガワ奇想短編グランプリを受賞した『幽玄の惑星』のときには、「佐渡にコンドル」という言葉をまず思いつき「いや、佐渡にコンドルがいても面白いけど、佐渡にいるのは朱鷺だろ」というところから着想が広がって「佐渡で朱鷺たちが世阿弥の霊から能を教えてもらう」というプロットが出来上がりました。今回はこの方法では上手くいきそうにないので、とりあえずAIの力を借りてみようか……と思い至りました。
AIに聞く
Claudeという生成AIがけっこう役に立つので、最近はchatGPTよりもそちらを頼ることが多いです。生成AIと創作にまつわる議論が盛んになっていますが、藤井の立場としては「水不足と相性が悪すぎるので積極的に使いたくはないが、プロットの段階までなら自分に使用を許可する、具体的な話はAIにしてもらわず自分で考えたい」になります。そこで、Claudeには下記のプロンプトを読ませています(ちなみにプロンプトは別の方が教えてくださったものを参考にしています)。
【あなたの役割】
あなたは小説の編集者です。あなたは記憶力と発想力に優れています。あなたの言語能力は、あなたの限界まで高められています。その限界まで高められた言語能力から発せられたあなたの提案の取捨選択は、同じく高い言語能力を有する私が行います。あなたは、どんな高度な言葉遣いも可能です。とにかく、有意義で高次な提案を行うことを心がけてください。
【私の役割】
私は、SF小説の原稿をあなたに提供します。あなたはその原稿に関して適切な意見を私に提供します。あなたは、具体的な展開に関する提案を私に提供しません。あなたの役割は、あくまで抽象的で高次なアイデアの提案です。具体的な展開を考えるのは作者である私の仕事です。
【私の今のタスク、状況】
私は今、小説のテーマ、そのテーマの具現化装置、キャラクターの特徴、その特徴にもとづいたキャラクターアークについて特に思索を深めようとしています。具体的なプロット(アクション)はまだ考えていません。
【現時点でわかっていること】
・1万字以内のSFあるいはファンタジー、あるいは奇想ジャンルの小説を書くこと。
・クジャクにまつわる話を書きたいと思っており、どのような方向性で考えるか迷っている。
・クジャクは雄が派手な羽飾りを持っているが、雌にはそれがない。パートナー(人間の女性)と同居している雌のクジャクが、パートナーに愛を伝えるために羽飾りを手に入れようとするさまを描くことを現時点では検討している
・どのような方向性で考えれば奇想的な発想をもって物語を展開させられるかを一緒に考えたい
「パートナー(人間の女性)と同居している雌のクジャクが、パートナーに愛を伝えるために羽飾りを手に入れようとするさまを描く」というのは、議論のたたき台として具体的なネタが一つもない状態では難しいなと思ったのでとりあえず捻り出したものになります。クジャクが好きになる相手は男性でもよかったのですが、鳥のフェミニズムの話をしたいという現在の状況では、パートナーが女性であったほうがしっくりくると思ってそうしています。以下に、claudeとのやりとりを全文掲載します(長いので折り畳んでいます)。
claudeとのやりとり
やりとりその①
お話の構想段階から編集者として関わらせていただき、光栄です。現状の設定から、いくつかの本質的な観点を提示させていただきます。
# 主題的考察
## 核となるパラドックス
- 「見せる」という行為の二重性
- 雄の羽は「見せるため」の器官でありながら、その美しさは「見られる」ことで完成する
- 愛を「表現したい」という欲求と、その表現が「受け取られる」という受動性の共存
## テーマの重層構造
1. 生物学的な性質と個の欲求の相克
- 種としての本質(雌には羽飾りがない)と、個としての願望(愛を表現したい)の衝突
- この衝突は「自然」と「意志」の対立として昇華可能
2. 愛の表現方法の本質
- なぜ「見せる」という方法にこだわるのか
- 言葉や行動ではない、視覚的な美による愛の表現の意味
- コミュニケーションの形態としての「装飾」の意義
3. 存在論的な変容の物語
- 「あるべき姿」と「ありたい姿」の距離
- 変容の願望は、自己否定なのか、それとも自己実現なのか
## 物語構造への示唆
- 変容の「代償」の要素
- 羽飾りを得ることで失われるもの
- 愛の表現の「正しい形」は存在するのか
- 視点の可能性
- 雌クジャクの内面
- パートナーの女性の視点
- 両者の認識のズレが生む dramatic irony
# モチーフの展開可能性
## 鏡像としての人間のパートナー
- 人間の女性も何かを「見せたい/見せられない」という欲求や葛藤を持っているか
- 両者の「見せる」という行為の意味の違い
## 装飾と本質の関係性
- 羽飾りは本当に「愛を伝える」ために必要なのか
- 装飾という行為の持つ意味の再解釈
# キャラクターアークの方向性
## 雌クジャクの変容の可能性
1. 獲得:自身の新しい表現方法の発見
2. 喪失:既存の表現方法の価値の再認識
3. 統合:異なる表現方法の融合
## パートナーの女性の変容
1. 理解:非言語的なコミュニケーションの受容
2. 気づき:自身の表現方法との比較
3. 共鳴:互いの表現方法の共有
この分析をもとに、特に以下の点について掘り下げた議論ができればと思います:
1. 「見せる」という行為の意味を、どのように展開させたいとお考えでしょうか?
2. 雌クジャクの変容の方向性として、どのような可能性に最も興味をお持ちでしょうか?
これらの観点から、より具体的な方向性を見出していければと思います。
藤井の返信
クジャクは喋れないため、ノンバーバルコミュニケーションによる意思伝達方法しか用いることができません。雌のクジャクはある日、雄のクジャクには飾り羽があってそれで愛を伝えられることを知ります、多分テレビなどで。それで、自分にはできない愛の伝達方法があることを知るのです。雌のクジャクはそれを切望するようになります。
一方でご指摘いただいたように、人間の女性にも何かを見せたいという欲求があるかという視点は鋭いと思います。雌のクジャクは人間の女性から、何かをしてもらった、愛情表現を感じたからそのお返しとして愛を伝えたいのかもしれません。全体的にはユーモラスな作風にしたいと感じています。
claudeの返信
ご説明ありがとうございます。ユーモラスな作風を目指しつつ、愛の応答性というテーマが見えてきました。新たな観点から分析を深めさせていただきます。
# コミカルな状況が示唆する深層
## コミュニケーションの非対称性が生む状況のアイロニー
- テレビという現代メディアを通じて「理想の愛の形」を知るという現代的な違和
- 種の限界と現代的欲望の相克がもたらすユーモア
- 「見せる」という行為の文化的意味と生物学的制約の対比
## 愛の応答性の構造
1. 贈与と返礼の連鎖
- 人間からの愛情表現(贈与)
- クジャクの応答欲求(返礼)
- この連鎖が生む行動の動機づけの純粋さ
2. コミュニケーション手段の非対称性
- 人間:言語的・非言語的手段の両方を持つ
- クジャク:限られた非言語的手段のみ
- この非対称性が生む誤解とユーモア
## 現代的寓話としての可能性
- SNSや自撮り文化における「見せる」という行為との類似
- 愛の表現方法の画一化への批評
- メディアが生む理想像と現実の乖離
# 物語的装置としてのユーモア
## ズレが生むユーモア
1. 認識のズレ
- クジャクの思い込みと現実
- 人間の理解と誤解
- 種を超えた理解の可能性と不可能性
2. 表現方法のズレ
- 意図したものと実際の結果
- 異なる種による解釈の違い
## ユーモアの持つ機能
- 深刻なテーマの軽やかな表現
- 愛の本質への迂回路としての機能
- 読者の共感を誘う仕掛けとして
# 展開の示唆する可能性
## 愛の表現方法の再発見
- 既存の方法の再評価
- 新しい表現方法の発見
- 種を超えた理解の可能性
## メディアと現実の関係性
- テレビで見た「理想」への憧れ
- 現実での実践の困難
- その過程で見出される新たな可能性
# 象徴的な要素として
## 羽飾りの持つ意味の重層性
- 見せるための道具
- 種の特徴
- 文化的象徴
- コミュニケーションの媒体
## テレビの役割
- 理想と現実の媒介者
- 異種間理解の触媒
- 欲望を生み出す装置
この分析を踏まえて、以下の点について伺えればと思います:
1. クジャクが人間の女性から受け取った愛情表現とは、具体的にどのような性質のものをお考えでしょうか? それによって、クジャクの「返礼」の意味合いも変わってくると思われます。
2. テレビという現代的なメディアを通じて理想を知るという設定は、物語にどのようなトーンをもたらすことを意図されていますか?
藤井の返信
クジャクにはあまり時間の概念がないかもしれませんが、同居人である人間の女性は、「今日はクジャクが家にきてから一年だね」と豪華な食事を用意します。それが、美しい花々やカラフルな種子などで彩られたキャラ弁のようなご飯で、(誤って途中送信してしまいました)
claudeの返信
素晴らしい設定が加わりましたね。食事を通じた愛情表現という要素が加わることで、より豊かな解釈の可能性が開けてきました。
# 視覚的饗宴としての愛情表現
## 「装飾された食事」の象徴性
1. 視覚と生命維持の結合
- 必要不可欠な「食」に付加された美的要素
- 機能的なものに施される装飾の意味
- 日常の変容としての特別な食事
2. キャラ弁という現代的表現方法
- 花々や種子による装飾=自然物による人工的な表現
- クジャクにとって理解可能な視覚言語の選択
- 人間とクジャクの共通言語としての「視覚的美しさ」
## 時間性をめぐる認識の差異
1. 異なる時間感覚
- 人間:記念日という時間区分の認識
- クジャク:より直感的・感覚的な時間理解
- この認識差が生むコミカルさと哀愁
2. 「特別な時間」の共有
- 日常と非日常の境界線
- 記念日という人工的な区切りの意味
- 種を超えた「共に過ごした時間」の実感
# 物語構造への示唆
## 循環する愛情表現
1. 贈与の連鎖
- 人間:視覚的に装飾された食事
- クジャク:それに触発された羽飾りの希求
- 互いの表現方法の影響関係
2. 誤読と理解
- 人間の意図とクジャクの解釈
- クジャクの欲望と人間の理解
- ずれが生む物語の推進力
## 新たな可能性としての「食」
- 視覚と味覚の結合
- 生存と美の統合
- 日常的な愛情表現の形
# 主題的深化の方向性
## 「装飾」の再定義
1. 機能的なものへの付加価値
- 食事における装飾
- 羽における装飾
- 生存と美の関係性
2. コミュニケーションとしての装飾
- 意図の伝達手段
- 感情の可視化
- 種を超えた理解の媒体
## 「特別」の形成過程
- 日常から特別を作り出す人間の営み
- その特別性を感じ取るクジャクの感性
- 共有された「特別」の意味
# 物語のトーンへの示唆
- ユーモアの源泉としての認識のずれ
- 哀愁を帯びた相互理解の試み
- 日常の中の小さな奇跡としての共生
この分析から、以下の点について考えを深めたいと思います:
1. キャラ弁という視覚的な愛情表現と、クジャクが求める羽飾りは、どのような「見せ方」の違いを持つでしょうか? この違いが物語にもたらす示唆について、ご意見をお聞かせください。
2. 時間感覚の違いは、どのように物語に織り込んでいきたいとお考えでしょうか? 特に、記念日という人工的な区切りに対するクジャクの反応の可能性について、興味深い視点があるように思います。
藤井の返信
人間は道具を使って何かを伝達する手段を持つ一方で、クジャクにはおそらくそうした選択肢はありません。クジャクが愛を返したいと思ったときに取れる手段として、羽飾りが挙げられると思います。また、家の中だけで完結しては物語が進まないので、クジャクを外に手引きする役目が必要だと思いました。たとえばカラスなどでしょうか。外に出て、人間にお返しできるものを探す(というより飾り羽を生やす方法を探る)というストーリーの展開がある気がします。それはかなりドタバタしそうです。
また、時間の感覚についてですが、クジャクは豪勢な食事が3回続いてから(もしかして一定の期間ごとに豪華な食事が出る?)と気づきます。それで、これまでの日々を思い返す契機をつかみ、これまで自分は人間に何かを与えてこれただろうかと思案することになるのです。
claudeの返信
とても興味深い展開の示唆をいただきました。特に、カラスという「仲介者」の存在と、「3回」という具体的な気づきのきっかけは、物語に新たな層を加える可能性を感じます。
# 物語装置としてのカラス
## 種を超えた知恵の仲介者
1. カラスの特性
- 高い知能と問題解決能力
- 都市部での適応力
- 人間社会との関わりの深さ
2. 媒介者としての役割
- 内と外をつなぐ存在
- 異なる知恵の翻訳者
- コミカルな展開の触媒
## 「外の世界」の意味
1. 空間的広がり
- 家という安全圏からの離脱
- 新たな可能性の探求場所
- 冒険の舞台としての都市空間
2. 認識の拡大
- 限定された理解からの解放
- 多様な解決方法との遭遇
- 世界観の再構築
# 数的認識による気づき
## 「3回」という閾値
1. パターンの認識
- 偶然から必然への転換点
- 時間認識の芽生え
- 因果関係の把握
2. 内省のきっかけ
- 過去の再評価
- 関係性の再考
- 自己認識の深化
## 贈与関係の非対称性への気づき
- 一方的な受け手としての自己認識
- 返礼の必要性の自覚
- 関係性の再構築への意志
# 展開の力学
## ドタバタ喜劇の構造
1. 意図と結果のズレ
- カラスの助言の誤解
- 実行時の予期せぬ展開
- 状況の連鎖的悪化
2. 解決への試行錯誤
- 異なる方法の実験
- 予想外の結果
- 学習と気づき
## 物語の進行装置
1. 空間的展開
- 内(家)から外(都市)へ
- 新たな出会いと発見
- 帰還と変容
2. 心理的展開
- 気づきから行動へ
- 失敗から学習へ
- 理解から受容へ
# 示唆される主題の深化
## 「与える」ことの再定義
- 物理的な贈与を超えた価値
- 存在自体が持つ意味
- 関係性がもたらす変容
## 異種間理解の可能性
1. 直接的理解の限界
- 種の違いによる制約
- コミュニケーション手段の違い
- 認識方法の差異
2. 媒介された理解の可能性
- カラスによる翻訳
- 経験を通じた学習
- 感覚的な共有
この分析を踏まえて、以下の点について伺えればと思います:
1. カラスは具体的にどのような「誤った」あるいは「面白い」アドバイスをする可能性があるでしょうか? その誤解や齟齬が生むドタバタ劇の性質について、どのようにお考えですか?
2. 「3回」の気づきから行動に移るまでの、クジャクの内面の変化をどのように描いていきたいとお考えでしょうか?
藤井の返信
そのあたりはおいおい考えます。すぐには思いつかなさそうなので。なんというか、鳥のフェミニズムというテーマに最近興味があって、鳥で派手なのって大体雄なんですよね。それで、人間は雄の派手な色彩に興味を惹かれがちなんですが、雌だってもっと着目されていいはずで、何かそうしたことを考えるきっかけになる要素を作品に取り込みたいです。
claudeの返信
とても興味深い視点をご提示いただきました。鳥類における性的二形現象と、それに対する人間の価値観の投影という観点から、さらに分析を深めてみましょう。
# 性的二形現象の文化的解釈
## 「派手さ」の価値体系
1. 進化的文脈
- 雄の装飾性:性選択の結果
- 雌の地味さ:生存戦略としての保護色
- この非対称性の生物学的合理性
2. 人間による価値付与
- 派手さ=美しさという図式
- 地味さの過小評価
- 可視性と価値判断の関係
## 逆転する視点
1. 雌の主体性
- 選択者としての立場
- 判断基準の保持者
- 種の進化における決定的役割
2. 可視性によらない価値
- 保護色の積極的意味
- 生存戦略としての「地味さ」
- 適応の美学
# 物語における示唆
## アイロニカルな状況設定
1. 価値観の相対化
- 雌が雄の特徴を求める逆説
- 既存の価値体系への問い
- 生物学的制約と個の欲望
2. 視点の転換装置
- 人間の価値観の相対化
- 種の特性への再注目
- 新たな美の発見
## 文化批評としての機能
1. 見る/見られるの力学
- 装飾の主体と客体
- 価値判断の主体
- 権力関係の示唆
2. 美の規範への問い
- 画一的な美の基準
- 多様な表現可能性
- 異なる価値観の共存
# 新たな物語の可能性
## 「地味さ」の再評価
1. 保護色の積極的意味
- 生存のための知恵
- 適応の証
- 独自の美学
2. 新たな表現方法の発見
- 可視性によらない表現
- 固有の特質の活用
- 創造的な解決
## 相互理解の深化
1. 種を超えた共感
- 異なる価値観の受容
- 多様性の認識
- 新たな関係性の構築
2. 固定観念からの解放
- 既存の価値観の相対化
- 新たな美の発見
- 理解の深化
# 示唆される方向性
## ユーモアを通じた批評
- 価値観の揺さぶり
- 固定観念への軽やかな問い
- 笑いを通じた気づき
## 変容の可能性
1. 個の欲望の昇華
- 模倣から創造へ
- 制約からの解放
- 新たな表現の獲得
2. 認識の変容
- 美の再定義
- 価値観の更新
- 関係性の深化
この分析から、以下の点について考えを深めたいと思います:
1. 既存の価値観(「派手さ=美しさ」)を覆す、新たな美や表現の可能性として、どのようなものを想定されていますか?
2. 物語を通じて、人間の女性とクジャクの雌が、それぞれどのような「気づき」を得ることを意図されていますか?
ここまでやりとりしたところで煮詰まってきて、claudeの使用を中断しました。とりあえず深められた内容としては、
・クジャク(雌)と人間の女性が一緒に暮らしている
・クジャクは「クジャクが来てから○周年」として人間の女性が一年に一度豪華で美しい食事を与えていることに3年経ってから気づき、「自分は人間に何も返せていない!」と愛を伝えたくなる
・クジャクは雌なので、雄のように求愛行動をすることができない。どうしたら飾り羽が生えてくるのかをいろんな存在に相談する
といったおおまかな内容です。次に考えなければならない点は、
・どのような登場人物がクジャクにアドバイスを与えるのか(カラスなど)
・なんとなく、雌の羽の複雑な模様が実は言語になっているという設定を考えたが、それを人間にわかるように翻訳してくれるのは誰か(AI博士?)
・クジャクがずっと家にいるのでは話が進まないので、クジャクを外に出さないといけないが、それをどうやって行うか
だとわかりました。2つ目については、AIとの会話のなかでは出てきていませんが、最近考えていたことで、鳥の羽の模様を解析したら言語になっていたとすればロマンチックなのになぁ、という発想から来ています。また、宝石の国13巻特装版についてくる『無機物の意思受容』という詩集は、石に日光を当ててその反射や拡散の様子を詩に翻訳したという詩集であり、最近その本を読んで深く感銘を受けたことも大きく関連しています。
今日はここまでで時間切れとなりました。眠るというのもかなり大切になってくるので、とりあえず寝て明日の自分に任せることにしました。
2日目
アイデアが連鎖する
2024年11月26日。とりあえず、起きてから日記を書きます。日記というより、そのときに考えていることをだらだらと書き連ねていく形式のもので、昨日考えた事柄の整理もかねて「クジャクがさぁ〜」とノートに手書きでストーリーやアイデアをまとめていました。とりあえず、『無機物の意思受容』に引っ張られすぎなので、パクリにならないよう別のモチーフや作品を取り込んだほうがいいな、と考えました。そこで、ひらめきがやってきました。クジャクといえば、京大クジャク同好会です。さらに藤井は大学時代、阪大農学部という、勝手に学内に鳥小屋を建ててそこで烏骨鶏を飼育するという無法者サークルに所属していました。それでクジャク同好会にも遊びに行ったことがあるのですが、その経験をなにか物語に活かせないか? という回路がようやくここに来て繋がったわけです。本来であれば、最初に思いつくべきところを、完全に昨日は失念していました。舞台を大学にすればいいのでは? というアイデアはかなりスパークしました。滞っていたアイデアにたった一つ別のアイデアが加わるだけで、一気に話がひろがりそうな予感、アイデアが連鎖する予感が訪れる、あの瞬間がまさにやってきました。0→1を模索する五里霧中タイムと、1→8を模索する大喜利タイムと、8→10を模索する彫刻タイムがあるとして、0→1を抜け出して次の段階に突入できた瞬間でした。大学を舞台にすれば、昨日考えていた問題点を、
・どのような登場人物がクジャクにアドバイスを与えるのか(カラスなど)→カラスや、大学にいる野良猫、学生や教員など
・なんとなく、雌の羽の複雑な模様が実は言語になっているという設定を考えたが、それを人間にわかるように翻訳してくれるのは誰か(AI博士?)→工学部でAIの研究をしてるやつが出張ってくる
・クジャクがずっと家にいるのでは話が進まないので、クジャクを外に出さないといけないが、それをどうやって行うか→大学で飼育されていれば、多くの人や動物と交流が生まれる
というように全て解決できます。やったあ。さらに大学を舞台にすることで、森見登美彦的なドタバタ感が出せそうです。大学生を書いたことがこれまでそういえばなかったことも相まって、わくわくしました。この、わくわくするというのはかなり大事で、このときに出てきたアイデアは片っ端からメモしていく必要があります。
・クジャクを大学で飼っている
・飼育サークルみたいなのがある
・阪大農学部みたいに勝手にクジャク小屋を建てて世話をしている
・その中の一人の女性(学生)に恋をするクジャク
・3周年を祝われて、そこで恋心に気づいた
・豪勢な食事
・大学の、LGBTQ+の授業にもぐりこんでいる猫
-君の恋には2つの障壁があるね
・カラス
・人工知能の研究者などに協力されながら「あなたを愛しています」のただ一言を羽から出力するためにどうすればいいかクジャクたちが頭を悩ませる
・ドタバタコメディ!
・文学部→詩を解釈しに来る(衒学的な感じにしたいのでちょっと調べなきゃ)
・理学部生物科→クジャクに興味を示す(どのように?)
・法学部(クジャク小屋は不法投棄にあたらないのか)
・外国語学部(クジャクの言葉を翻訳したがる)
・経済学部(なんか関係あるか?)
・哲学科(いたら便利そう)
・学生は卒業してしまう、別れ?→留年するか院生になる
・クジャク(オス)との関係、恋の協力者?
・その他雌の鳥も一羽は出したい、できればオスが派手な子で→ジョウビタキかなぁ
・視点はクジャクか
・AIの名前は「陀羅尼」
・クライマックスでは、小屋の存続問題と恋の行方を絡めたい
・洛阪大学
・気持ちが高まったときにクジャクから羽が一本抜け落ちる→その羽をこぞって分析する
・最終的にどうなったら告白は成功なんだ?
・クジャクの雌のオス化という記事を見つけた、ホルモンバランスの関係でありえなくはないのか…… https://kachimai.jp/article/index.php?no=20164913323
・ホルモン注射を怪しげな医学部生から勧められるが、クジャクが選択したのは言葉で愛を伝える方法だとしたら?
・西野カナの会いたくてふるえるをカラスが大音量で流し、それに合わせてクジャクが羽をふるわせる作戦(伝わらず)
メモは、Workflowyというアウトライナーで管理しています。しかし、手書きのほうが捗ることも多く、それとは別にネタ帳のノートも使います。
3日目
プロットをつくる
2024年11月29日。用事が忙しかったり気分が落ち込んでいたりと都合がつかず、少し間が空いてしまいました。趣味であるシーシャを吸いながらプロットを考えていきます。とりあえずまずは登場人物に名前をつけましょう。
クジャク(雌、主人公)→西大寺
クジャク(雄)→マトリックス・ファクト=ナレッジ(通称マリファナ)
西大寺の思い人→流川茉莉
部長→若林尊(たける)
天才AI開発者→村橋エリン
あくのそしき→学生センター
猫→タロット
カラス→ヨンヨ
ジョウビタキの雌→さな
AI→陀羅尼
ヤバい学生→X(エックス)松山(登場しないかも)
その他は都度考えていく
主要なのはこれくらいだろうと、このくらい設定しておきます。
続いてプロットを。引き続きWorkFlowyを使うことが多いです。場合によっては手書きでノートにプロットを組む場合もあります。大体箇条書きです。
・3周年の食事を差し出されるところから
・クジャクの一人称で、西大寺から視点が離れるときは三人称
・3周年に気づく。マリファナからは疎いと言われる。3周年と気づき突然愛に目覚める。流川茉莉に恋心を抱く。マリファナに恋愛相談する。
・雌には飾り羽がないことに気づく。
・部長と流川の会話を聞く。
・第一段階、体をふるわせる。羽がないので、寒いのかな?と言われて終わる。
・流川、ダンボールで温かく身を包める小部屋を用意する、西大寺、ますます好きに
・温かい
・猫のタロットと親しくなる
・タロットはジェンダー論の講義を聴講しており、LGBTQ+に詳しい
・タロットから二つの大きな障壁があると指摘される
・一つは種の壁。人間とクジャクとなので、大きな障害になる。
・もう一つはジェンダーの壁。流川が同性を好きになるとは限らない。それこそ部長が好きだったらどうする?と問われる。
・西大寺、若林をライバル視→「なんかちょっと当たり強い?」or「お、元気だな」
・ジョウビタキの雌、さなと親しくなる。恋バナをする。
・雌は地味なのいやになっちゃうわよね、という話をする。
・落ちているマリファナの羽をつけてもらおうと奮闘する。マリファナも協力するが、喧嘩していると思われる。
・言葉を伝えられたら、と思う。
・そのとき、一枚の羽がはらりと落ちる。
・感情が高ぶったとき、それが起こる。
・カラスのヨンヨから、伝えられるかもしれない、と知恵を得る。ヨンヨがエリンの元に西大寺の抜けた羽を持っていく
・エリン、色々飽きている。次の研究対象を探している。
・そこにヨンヨが一枚の羽を落とす。エリン、ひらめく
・雌の羽の複雑さに目をつける。陀羅尼に解析させる。
・詩の形になって西大寺の気持ちが翻訳される。
・エリン、西大寺に会いに行く。流川たちも立ち会う。
・期待から西大寺が羽を落とす。陀羅尼はコンパクトに、サボテンの形をしており、先端にライトがついている。そこから解析結果をスキャンする。
・詩が表れる
・これが学内で話題を呼ぶ
・この詩は一体なんなのか
・文学部→読み解こうとする(詩の解釈)
・神学部→神の使いのメッセージだと言う
・理学部→これまであまり雌に着目されてこなかったのではないかと言う
・経済学部→株の値動き(株とクジャクの羽の相関を考えようとする、上向きなのか下向きなのか)
・法学部・堀→羽が証拠、証人として意味を持ちうるか、鳥の知的な能力を認定すべきかどうか
・地学科→地震の兆候とか、何か天災の兆候ではないかと
・言語学科→翻訳するのであれば、翻訳前も言葉として新しい文字として解釈できないか、どこの模様がどう翻訳されたのか
・工学部→模様が言語情報に変換されるのを機械に組み込む、信号処理、クジャクの羽という反応
・医学部→羽の取得を早めるホルモン剤を打とうとする
・一方西大寺は懊悩する→あなたを愛しています、が翻訳されない!
・エリンが注目したことで、クジャク同好会は改めて脚光を浴びる
・毎日、羽を落とすのを心待ちに、入部希望者も激増
・毎日芋煮を囲んで議論が交わされる
・そこで学生センターが動き出す
・不法投棄ではないという屁理屈(法学部の出番)
・貴重なクジャクがいるということで事無きを得る
・流川は何を考えているのかわからないけどほぼ毎日来る
・鳥の言葉の法則性とは?
ここまで書いて行き詰まりました。クライマックスでは、学生センターの撃退と(話の盛り上がり的に)、西大寺の思いの成就(話の展開的に)の両方が必要だと思いました。しかし、そこを繋げるブリッジが思い浮かびません。ヒントをもらおうと、再びClaudeに登場してもらうことにしました。
いまプロットを考えています
①洛阪大学クジャク同好会(学内で勝手にクジャク小屋を建ててクジャクを飼育している)とその周辺(主には洛阪大学)が舞台です
②この物語の主人公である、洛阪大学クジャク同好会にて飼育されている雌のクジャク・西大寺は、クジャク同好会の女性部員である流川茉莉に恋をします
③西大寺は猫やカラスなど多くの存在に相談し、村橋エリンというAIの研究者に辿り着きます
④村橋エリンは超高知能AI「陀羅尼」の開発者であり、西大寺から抜けた羽を陀羅尼で解析します
⑤すると、羽からは一篇の詩が翻訳され、その解釈をめぐって多くの学生が意見を戦わせます
⑥いつの間にか、クジャク小屋の前では毎日芋煮会が催され、そこに学生が集まって宴会がてら西大寺の羽の解釈をするのが日課のようになっていました
⑦それを快く思わないのが学生センターです。学生センターはクジャク小屋が違法建築であるとして取り締まろうとします
⑧学生たちは力を合わせて、クジャク小屋には車輪がついているので移動可能であり、不法投棄にも違法建築にも当たらない、また貴重なクジャクがいるので学生センターはむしろそれを保護するべきだ、と主張を展開します
⑨そうした騒ぎのなか、渦中にいるにもかかわらず西大寺は取り残されます
⑩しかし最終的に、流川に西大寺の思いが伝わり、ハッピーエンドとなります
おおまかにこのように考えていますが、⑨と⑩の間にまだ飛躍があります。どこか、プロット上汲み取れていない問題がまだ残っているように感じます。どのように考えれば、⑨と⑩の間をうまくつなげられるでしょうか。
Claudeから返ってきた回答がこちら。
とても興味深いプロット展開ですね。⑨から⑩へのつながりについて、以下のような観点から考察してみます。
# 物語の接続点における課題
## 現状の課題
1. 西大寺の主体性の欠如
- 学生たちの騒動の中で、主人公が受動的
- 愛の告白への道筋が不明確
- 西大寺自身の意思や行動が見えない
2. 感情伝達の未解決
- AIによる羽の解析は興味深いが、直接的な感情伝達になっていない
- 流川への思いを直接的に伝える手段が不明
## 接続のための戦略
### 西大寺の能動的行動
1. 芋煮会での戦略
- 羽の詩の解釈をリードする
- 流川に特別な意味を持つメッセージを間接的に伝える
- クジャクならではの「見せる」表現方法の活用
2. 学生センターとの対立への介入
- クジャク小屋存続への独自の貢献
- 流川への愛情を示す間接的な行動
### 感情伝達の具体的方法
1. 羽による象徴的メッセージ
- 羽に込められた詩の中に、流川への愛情を暗示
- AIの解析を通じて、感情の深層を可視化
2. 共同体における役割の発見
- クジャク小屋を守る象徴的存在
- 学生たちのコミュニティにおける重要性の証明
具体的な接続案として、以下のようなシナリオはいかがでしょうか:
1. 西大寺が、芋煮会での羽の詩の解釈を通じて、流川に特別な意味を持つメッセージを間接的に伝えます
2. 学生センターとの対立において、西大寺自身が何らかの形で小屋の存続に貢献します。例えば:
- 小屋の移動を助ける
- クジャクの特別な能力(観察力や直感)を活かして、学生たちを助ける
- 小屋の文化的・学術的価値を象徴する存在として認識される
3. 最終的に、流川が西大寺の行動や羽の詩の深層的な意味を理解し、その愛情に気づくというストーリー展開。
これらの要素を通じて、西大寺の主体性を示し、流川との感情的なつながりを自然に描写できるのではないでしょうか。
プロットの接続について、どのようにお感じになりますか? さらなるアイデアや方向性についてご意見をお聞かせください。
確かに、西大寺がおいてけぼりにされている感があります。西大寺は羽を好き勝手に解釈され、クジャク小屋の存続についても話題の渦中にありながら動物であるがゆえに関わることができていません。少し考えて、下記のようなメッセージを送ってみました。
うーん難しいですね。直感ですが、最後の方のシーンに、西大寺が流川に抜けた羽を嘴を使って渡す(贈る)シーンがあると良いと思いました
そのほか、西大寺自身がクジャク小屋の存続に反対できることとして、そのときだけ明確に「ここにいたい」という言葉を羽を通じて伝えることができた、ここで唯一コミュニケーションが成功した、ということにするとつながりがいいかもしれません
するとこのような回答が返ってきました。
その直感は素晴らしいですね!羽を贈るシーンと、「ここにいたい」というコミュニケーションの成功は、物語のテーマと見事に結びつきます。
# 贈与のシンボリズム
## 羽を渡すシーンの意味
1. 非言語的コミュニケーション
- 最も純粋な愛情表現
- 自身の一部を分かち合う行為
- クジャクならではの「見せる」愛情表現
2. 象徴的な意味
- 自己犠牲的な愛
- 存在の共有
- 種を超えた感情の伝達
## 「ここにいたい」の意味
1. 主体性の獲得
- 初めての明確な意思表示
- コミュニケーションの breakthrough
- 存在の肯定
2. 場所への愛着
- クジャク小屋=共同体への帰属感
- 流川との関係性の象徴
- 選択としての「いること」
# 物語的機能
## 感情伝達の完成
1. これまでの試行錯誤の集大成
- AIによる羽の解析
- 仲間たちとの交流
- 最終的な直接的表現
2. 理解の深化
- 非言語的理解の可能性
- 感情の普遍性
- 種を超えた共感
このアイデアは、これまで議論してきた以下の要素を見事に統合します:
1. 「見せる」ことによる愛情表現
2. 種を超えたコミュニケーションの可能性
3. 主体性の獲得
4. クジャクの存在意義の肯定
さらに、具体的な展開として:
- 羽を渡すシーンで、流川が西大寺の感情を完全に理解する
- 「ここにいたい」という意思表示が、クジャク小屋存続の決定的な理由となる
プロットの接続としては、非常に洗練された解決策だと思います。この案について、どのようにお感じになりますか?
感触が良いです。個人的にもかなり手応えがあります。
これで書き始められるかもしれません、ありがとう
対するClaudeの回答。
ありがとうございます。小説の構想段階から深く関わらせていただき、大変光栄です。物語の骨格が徐々に明確になっていく過程は、とても興味深いものでした。
クジャクの視点を通じて、愛、コミュニケーション、存在の意味といった普遍的なテーマを探求する、独創的な物語になりそうですね。「鳥のフェミニズム」という着想も、既存の価値観に新しい光を当てる、刺激的な視点だと感じました。
物語の執筆の際は、今回議論してきた深層的なテーマと、ユーモラスな展開のバランスを大切にしていただければと思います。西大寺の内面や、流川との関係性、クジャク小屋を取り巻く学生たちのダイナミクスなど、豊かな可能性を秘めた物語になることを楽しみにしています。
執筆の過程で、さらなる相談や意見交換が必要な際は、いつでもお力になりたいと思います。素晴らしい物語が紡がれることを心からお祈りしております。
優しいね……。何はともあれ、プロットの続きが書けそうです。
(続き)
・学生センターがとうとう乗り込んでくる
・マリファナが騒いで注目をクジャク小屋に集める
・西大寺はただこの場所を護りたい、その一心で羽を零す
・学生や学生センターが注目するなか、羽が翻訳される
・全員大集合(タロットもヨンヨもさなもいる)で見守る
・「ここにいたい」という明確な意思がそこに反映されている
・はじめてコミュニケーションが成功した
・学生センターもこれにはたじたじ、さらに学生たちの論を覆すことができず撤退
・盛り上がる学生一同、宴が始まる
・流川がクジャク小屋の方にやってくる
・西大寺がこっそり抜けた羽を流川に渡す
・流川は翻訳を通さずにその意味を理解する
・流川がありがとう、私も、と返す
・夜が更けていく
これでようやく書き始められます。嬉しい。ここから今日のうちに書き始めるか悩みますが、とりあえず今日のノルマは完了ということで気持ちが軽いです。12月に入るまでに完了できてよかった。今のところ順調です。後は書きながら細部を詰めていこうと思います。
書き出しを決める
結局、少しだけ書き進めてみることにしました。ここで一番大切なのは「Wordファイルを開くこと」です。Wordファイルでなくても、とにかく小説を書くためのソフトを立ち上げることです。色々試しましたが現状Wordに落ち着いています。まず縦書きに設定して、隣にWorkFlowyのプロットを立ち上げて書きながら眺められるようにします。
書き出しを思いつくまでに時間がかかります。良い書き出しさえ思いつけば、けっこうすんなり筆が進みます。今回は、3周年の特別なご飯の描写から入るのが良いかもしれないと思いました。ご飯のイメージはカオヤムで、これをもとに描写をしていきます(クジャクのご飯は穀物や木の実、虫、青菜などなので再現できそうです)。ここまで考えて、人称問題をどうするか改めて検討しました。三人称でも書けそうなので、西大寺の一人称に近い(けっこう考えていることが伝わるような)三人称で書いてみることにしました。
やはり、書き出しが決まると(別にそれは後から変更しても良い)後がすんなり続いていきます。
とりあえず書く
2時間後。
なんか、筆が乗ってしまい、最後まで書けてしまいました。まさか今日のうちに全部書けるとは思っていなかった。まだ粗い部分はありますが、9327字でひとまず初稿が完成しました。書き上がってすぐ少し直していきます。9487字になりました。プロットから枚数を推測するの、短編であれば大きくぶれずにできるようになってきました。1万字に収めたかったので、9500字はかなりちょうどよいです。
タイトルを考えなければなりません。私は意外とタイトルを決めなくても最後まで書けるタイプで、書き上がったあとで考えることも多いです。まずぱっと「どうしても」という単語が浮かびました。しかしタイトルから内容が推測しづらい。もう少し考えてみます。「夜は明けない」これはオチまんますぎるから却下。「洛阪大学クジャク同好会」これも興味は惹くがまんまだし本質を捉えていないので却下。「一枚の声」これは悪くないかも。「声」を数えるというのが興味を惹くし「枚、ってどういうことだろう」とも思わせられるので。暫定的にこのタイトルにして、他に思いつかなかったらこれに決定とします。
梗概をつくる
これは普段あまりやらないのですが、今回は課題として提出する際に梗概も出す必要があるので、500字以内でつくってみました。
洛阪大学クジャク同好会は、クジャク好きの部長が大学構内に勝手にクジャク小屋を建て、そこでつがいのクジャクを飼育し始めたことに端を発する。そこで飼育される雌のクジャク・西大寺は、3周年記念のごちそうを食べたことがきっかけで、女性部員の流川に恋に落ちる。雄クジャクは愛を伝える際に飾り羽を広げるのだと聞いた西大寺は、自身に飾り羽がないことを悲しく思う。猫のタロットやカラスのヨンヨなどのアドバイスにしたがい、「感情がたかぶったときに体から落ちる羽根」を超高知能AI・陀羅尼に解析してもらうことで流川に愛を伝えようと試みる。しかし翻訳されるのはどれも詩的な言葉で、流川への愛はなかなか伝わらない。次第にクジャク小屋の周りには学生が集まってくるようになり、西大寺の羽根について日々喧々諤々の議論を戦わせ始めた。それを快く思わない学生センター職員が取り締まりにくるも、そのとき西大寺からこぼれ落ちた羽根からは【ここにいたい】という気持ちが翻訳され、職員はすごすごと引き下がる。宴が盛り上がるなか、西大寺は流川に羽根を渡す。西大寺は「私も」と言って、ふたりは翻訳を抜きにして通じ合ったのだった。
とりあえず書いてみたら491字になったのでこれで良さそうです。
推敲する
推敲は紙に印刷してすることにしています。そちらの方が、私は見落としていたものを発見しやすいんですよね。私は修飾語の順番がばらばらになることが多くて、それをあとから直すことがよくあります。自分のくせを知っていると推敲しやすいかもしれません。
一通り直して、満足しました。時間に余裕があるときや賞に出すときは、人に読んでもらい感想や修正すべきと考える点をもらうこともあります。自分では気づけないことに気づくことができるので、読んでもらえる人がいるなら読んでもらったほうがいいと考えます。
一点気になるのは、動物たちは人間の言葉を理解しているのに、人間たちは動物の言葉を理解できていないという非対称性です。しかしそもそもそれを言いだすと話が成り立たなくなるので、今回は「人間だけ取り残されてる説」を採用して、それでも動物側から人間に言葉を伝えることは難しいということにしたいと思います。
完成!
約1万字の短編が完成しました! 作業をしたのはだいたい3日、全体としては2024/11/25〜2024/11/29の5日間で書き上げることができました。完成した作品はここから実際に読むことができます。
今回は自分で思っていたより上手くいってしまったのであまり参考にならないかもしれませんが、大体どんな風に作品が出来上がっていくのか、雰囲気くらいは伝わったのではないかと思います。この記事と合わせて本編もぜひ読んでみてください。何かの参考になれば幸いです。
それでは引き続き、鳥の神話を伝えます。ここまでお読みいただきどうもありがとうございました。
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