さらわれる
心身が、千々の紙からできていることを知る
剥がされて 揉まれる
空気がはげしい
狙われている
天は愛想笑いしている
地は隙あらば吸いつく
春に生まれないでいてよかった
めくられてしまうから
なびかざるをえない
代わりに流れてくれる川を見るとか
鳥が飛び立つとき空が裂けるのは錯覚じゃなくて
恐竜は春に絶滅した
それを追悼しているのです
春というのは粘性で
全身を刃にして
隙間に身を捩じ込むようにして
進んでいくほかない
窓際が最も適しているでしょう
あるいは電車や飛行機も悪くありません
ともかく、動きを発明することです
気取られないように
近づくように 逃げるのです
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