かかった右足
両翼をばたつかせどうにかしようとする 鴨
血を覚えた芝刈り機が匍匐をやめない
しばし切り株に横たえられる
返った眼界
左足をさまよわせどうにかしようとする 鴨
羽を得た輪転機が蠕動をやめない
二つの力を目隠しの女がおさえつける
上がった三日月
嘴をおしあけてどうにかしようとする 鴨
海を知った月面掘削機が礼拝をやめない
鴨はしゅんとした
鴨や 鴨や
杯にそなたの血を注いで飲み干したとき
月に穴があいたぞよ
鴨や 鴨や
低い炎がそなたを優しく包むとき
草木は皆々泣いたぞよ
鴨や 鴨や
やめるときも すこやかなるときも
微笑を定められた鴨たちや
そなたが死んでもここは変わらず地獄ぞえ
そなたの羽毛が蚯蚓に暖をやったぞえ
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