筒井康隆『旅のラゴス』感想
筒井康隆『旅のラゴス』(新潮文庫)

https://www.shinchosha.co.jp/book/117131/
読み始め:2023/5/11 読み終わり:2023/5/11
あらすじ・概要北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。
読んだきっかけ
おすすめしていただいた。
コメント・感想
なんて人間への希望に満ちた連作長編だろうか。読みやすいし面白い。集団転移、壁抜けといった超能力も面白いが、なんといっても知識を求める旅であることそのものに魅力を感じる。二度も奴隷になり、そのうち一度は七年も時が経過する。しかも奴隷からいつの間にか管理者側になっている。王国に留まっているうちに過ぎ去る時間も長い。一人分の人生の時間と向き合うことになる。あと、やはりタッセオのことを愛さずにはいられない。旅の中で見知ったものに再会するとどうしてこんなに嬉しくなるものか。良いところで物語が終わるなと思った。旅や人生、人類そのものへの祝福に満ちている。
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