浮揚の練習

Works,俳句,

   浮揚の練習
                 

屠蘇飲んでのらりくらりと愚者になる

朧月女教皇留守につき

赤ポスト隠者の手にも蚊が止まる

影のある場所まで歩く月が追う

雨あがり教皇を待つかいつぶり

目借時魔術師たちと土を見る

力込めハンカチーフを振る赤子

恋人よ案山子担いでどこへゆく

寒灸かんやいと寂しくはある皇帝も

節制のカードを引いて辛夷かな

菓子は見ず放り込むだけ#夏至#女帝

歯車に星を見出し菊枕

正義にもいくつかあって玉子酒

春霞遠い話だチャリオット

運命の輪を横切って青蜥蜴

秋湿り悪魔へ売れるものもなく

かまいたち太陽が裂け手で戻す

遠足や吊られた男通りすぎ

死神の血を吸った蚊が落ちている

塔を降り手帳を捲る神無月

山眠る審判のときまた逢える

それは光世界に請われ初鴉