小説書く前のルーティンの話
まだ2回しか試していないのですが。
そういうのはあった方が良いよねと思うわけです。いま私は、『見習い鳥卜』という初の短編集の制作にかかりきりで、書き下ろしの表題作「見習い鳥卜」の執筆にスパートをかけているところです。
しかし、まあ書ける日と書けない日があって執筆が安定しない。今日は書けました。昨日と一昨日は書けなかった(意地で一文だけ書き足したがそれで力尽きた)。3日前は書き出せたわけです。書けた日の共通点として、「以下のルーティンを実行した」点が挙げられます。
よく、書き始める前にルーティンをつくっておけば書きやすくなるという話を聞きますね。そういえばルーティンがなかったなと思ったので、この際つくってみたのです。そしたら、それがとても上手くハマっています。というわけで、知見の共有です。
今後どうなるかはわからないです。とりあえず、2回同じルーティンを試してみて、2回とも書き始めることができました。しかも一度目は7000字、二度目は12000字とかなり書けている。字数は重要ではない(不安定にガッと書けるより、毎日2000字書けた方が偉いと私は感じてしまう)のですが、まあ今のところ効果を実感しているので、書く前に何をやっているかをメモしておこうかな、というのがこの記事です。
効果を保証するものではありません。おそらく、人によって最適なものは違うと思います。しかし、なんとなく基本は同じなんじゃないかという気がするので、それについても書いてみようと思います。
書く前のルーティン
- イヤフォンをして外界の音を遮断して音楽を流す
- 蒸気でホットアイマスクをして目を閉じる
- その間に身体のあらゆる場所をマッサージしまくる
- アイマスクが冷めてきて、曲のきりが良いところで切り上げる
- 書き始める
こんな感じです。一つずつ説明していきます。
まず、大前提としてこのルーティンは「一人の部屋」で「目の前にPCもしくは原稿用紙がありすぐに書ける状態になっている」ところから始めるようにしてください。座ってやったほうがいいと思います。寝そべりながらやると起き上がれないリスクが高まりますし、立ってやるとリラックスできません。誰も来ない環境でやってください。私はあまり外で執筆が捗るタイプではなく、人によっては喫茶店とかのほうが捗るという人もいるかもしれませんが、これはあくまで私の方法なので、ご了承ください(別に外でやると言うなら止めませんが、わりと無防備な状態になるので不安になると思います。自分の安心できる場所でやった方が良いです)。
イヤフォンは、なんでもいいです。
私はTRN-CONCHというのを使っています。
Amazonで4000円くらい。これがめちゃくちゃ良いです。この価格帯でこの品質ならもう全部これでいいだろ、という感じです。耳の裏側にコードを引っかける形なので苦手な方にはおすすめしませんが。私は耳の形が一般的な形状からずれているのか、普通のイヤフォンはすぐ取れることが多いので、がっちり固定できるこのイヤフォンは重宝しています。
音楽は、歌詞のないもののほうが良いのではないかと思います。私は上海アリス幻樂団を流しています。最近は七夕坂夢幻能ばかり聴いています。東方などのゲーム音楽はかなり良いのではと思っていて、リラックスしすぎず、興奮もしすぎずという感じで重宝しています(私は原作未プレイです)。ゲーム音楽は、実際にプレイしているものだとそれをプレイしているときの記憶や感覚がよみがえって逆に邪魔かもしれないので一長一短。なんか、とりあえず自分がリラックスできる音楽であればなんでもいいと思います。
次に、蒸気でホットアイマスクで視界を遮断します。普通のアイマスクでもいいのですが、蒸気でホットアイマスクは15〜20分すると自然に時間の経過がわかるところが良いと思います。あなたが見落としている事実をお伝えします、確実にいまあなたは疲れています。起きた直後だろうが、自分では元気だと思っていようが、絶対にあなたは疲れている。その前提で執筆に臨んだほうが良いです。まず目をほぐしましょう。そして、視界を遮断しましょう。脳に入ってくる情報を減らしましょう。そのために音楽を聴いているところもあります。視覚を遮断すると聴覚が鋭敏になるかと思いますが、そこで外の物音が気になってしまっては仕方がないので、強制的に音楽を聴いてそれを打ち消すのです。
次に、全身をマッサージします。主には上半身や顔ですが、私はふとももやふくらはぎもほぐします。最初は目元をアイマスクの上からマッサージすると良いと思います。絶対にあなたは疲れていると言いましたね、どこを押さえても痛くて驚いているはずです。目、痛い、頭、痛い、首、痛い。なんだこれ、全部痛い。そうですね。鎖骨に沿ってリンパの流れをよくしてください。どこを押しても痛いと思うので、とにかく自分の身体を押しまくってください。触りまくってください。マストでやると良いのは合谷です。あの、親指と人さし指の間のとこですね。今から小説を書くので、ここが凝っていると話になりません。断言しますが、絶対に凝っています。ほぐしましょう。手をマッサージしたあとは、腕も押さえていって、最終的に背中とか腰とかもマッサージできると良いですね。どこを押さえても痛いはずです。痛くない人もマッサージしてください。自分の身体に触れるのが大事です。今から小説を書くのはこの身体です。脳で小説を書いているのではありません。身体で小説を書いています。その身体の照準をちゃんと今この場所に合わせてください。
マッサージしていればそんな暇はないと思いますが、特に何も考えなくていいです。小説のこととか考えないでください。ひたすら目を閉じ、音楽を聴き、マッサージをして身体に触れてください。それで十分なはずです。少しずつ、アイマスクが冷めてきます。曲が終わるタイミングなどで切り上げると良いと思います。頭がさっぱりしていませんか? このタイミングで水分を摂るのも良いと思います。それが終わったら、書き始めてください。
書けると思います。書けなかったらそれ以前の問題であることが多いと思うので、何を書きたいのか、何を問いたいのかという根本的なところに戻ってください。
以上になります。これをやるのは一日に一度で良いと思います。一日に二回以上試したことがないのでそれについて私からは何も言えることがないし、この一度でその日書けるところまではすべて書けてしまうはずです。
……というのを、まだ私も試して2回目なのですが、かなり効果を実感しているので、今後も小説を書くときはこれを取り入れようかなと考えています。重要なのはおそらく、
・視界の遮断
・聴覚の限定
・身体の強張りをとること
です。小説って身体が強張っていると書けないです。なんか無理だなってときは、とにかくマッサージをしてください。その後書く予定がない場合は普通のマッサージで良いです。視界を遮断したり聴覚を限定するのは小説を書く前だけにしたほうがルーティンが強化されて良い気がします。
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というわけで、藤井佯初の短編集はこういうルーティンを実行しつつ書いてみています。「鳥の神話を伝えます」をコンセプトに書き溜めた13編を収録した短編集です。鳥という「人間以外」の存在を核に、型の定まらなかった人たちのための小説を書いています。
最後に。
続きものを書くときは、ルーティン実行前にあらかじめ前回書いた箇所を読んでおくことをおすすめします。そして、ルーティン実行中はそのことは忘れる。その気力すらないときは、とりあえずルーティンを実行してから読んでください。大丈夫です。なんとかなります。小説書くの怖くない。書いていきましょうね。


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